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マジックマネーと「買って借りて死ぬ」戦術

作者: 西田啓佑

手品のタネって、ロマンがあるのは知らない間だけだよね

 冷蔵庫の中にいるかのような厳しい寒波の中、日本の皆様はいかがお過ごしでしょうか?

 もちろん私も、その日本に住んでおります。

 他人事のような、自分事の時候うかがいはこの辺にして、本題に入りたいと思います。


 つい最近、といっても夏ごろのWSJの記事だが、そこで「買って借りて死ぬ」という興味深い金融戦術が紹介されている。

 WSJでは南カリフォルニア大学の法律学の研究者であるエドワード・マカフェリー教授が、BBCでは米節税政策センターのスティーヴ・ローゼンタール氏がそれぞれ簡単に解説してくれている。


 証券(株式)を担保にできるほどたくさん保有し、それを元手に銀行から借金をし、さらに証券を購入し、それを元手に銀行から借金をし、日々の生活費や贅沢品を購入して生活し、最後には返済することなく死ぬという戦術である。もちろん、死亡時には相続税が発生するが、相続税についても借金で処理するようである。


 保有している証券の資産価格が金利を上回り続ける限り、得をすることになる。

 株式に関する税金は、キャピタルゲイン税とインカムゲイン税のみで、株式を保有する事そのものには、不動産における固定資産税ような税金がかからない。これは少し調べた感じでは日本でも同じようである。

 つまり、最初の元手で買った証券を担保に「価格が上昇している資産」を借金で購入すれば、より長くそれらを保有できる。そして、より長く保有するほど、節税の額も大きくなる。

 最終的には、お金がお金を呼ぶ状況になるわけだ。


 さらに、遺産として証券を相続した場合は、キャピタルゲイン税が元の資産保有者の死後に値上がりした分に限られる。つまり、より多く証券を保有して子孫に相続させれば、その分節税できるというわけだ。なお、この辺りは、日本でも適用されるのかどうか、私は調べていないので注意してほしい。


 さて、この「買って借りて死ぬ」戦術というもの、何かに似ていないではないだろうか?

 私は、この戦術を知った時に、二つの事象を思い出した。

 一つは前回の記事で言及したマジックマネーの元ネタ的存在である「現代貨幣理論」であり、もう一つは、「20世紀末直前の土地バブル」である。


 似て非なるものであるが、その根幹は「銀行を利用した信用創造」であり、事実上の無からの購買力創造である。現代貨幣理論では、国力がそのまま元手であり、通貨発行権でまさに信用創造をしているのである。また、土地バブルでは土地などの投機対象が証券替わりだったわけである。


 今思えば、なぜ原発問題が発生した時に、東電が補填されたかも、この仕組みを鑑みれば一目瞭然だったわけである。電力株が崩壊すれば、それを担保にこの戦術を採用していた人たちが、破産して様々な分野が大混乱するからである。


 蓋を開ければ私利私欲まみれのばかばかしい話だと思う。


 そして、なぜ金融土方と揶揄もできるデイトレーダーたちが、もてはやされるのかも、この仕組みから見えてくる。彼らによって証券の流動性が確保され、証券が値上がりしなければ、この戦術を最大限に活用できないからである。なんとも迂遠で、途方もない戦術だろうと思う。そして、だからこそ四半世紀もの間、この戦術が猛威を振るったのだとも思う。

 

 ただ、こうやってこの戦術が周知され、陳腐化された以上は、この時代のパラダイムも長続きしないのかもしれない。


 ちなみに、今回は詳しく言及しないが、この戦術が周知され陳腐化されたことによって、超富裕層たちの次の乗り換え先候補に上がっているのは、マイニング式の暗号通貨である。



 

まあ、こんな仕組みがある以上、MMTなんて認められるわけもないわな。

なんせ、超富裕層の特権そのものなんだから。

ベーカムやMMTが欲しけりゃ、超富裕層に成れって事なんだろう

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