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優しく気高い想い

作者: 雨月 宙

あなたは何を思って

今を生きていますか?

 漆黒に如く艶やかな毛が全身を包み、その毛を靡かせる風に身を任せ、一人崖に上に立つ狼がいる。

 毛の色と一緒の漆黒の黒い瞳は、優しさと哀しみの色を宿しながら真っ直ぐに前を見ている。

 すうっと、顎が天高く上がる。


 アオーーーーーン


 と雄叫びが大地を揺るがすように響く。


 何かを弔うように。そして、優しさに包まれた願いのように。


 アオーーーーーン


 何度も、何度も、何度も。


 ひとしきり鳴いた狼は、正位置に顔を戻す。そこには、キラキラと光る温かな涙が一筋零れ落ちていった。


 何を思ってかの涙なのかは、分からない。


 流した涙が枯れる頃には、優しくもとても強い意志を持った瞳が宿る。


 にーいと楽しげに口角が上がり、獣特有の鋭い牙が見えた。


 そして、もう迷いは無いというように、


 アオーーーーーーン


 と最後に、散々してきた雄叫びの中で、力強く、元気で、楽しげな声を上げた。


 それは何処か、歌っているようにも、美しい鍵盤楽器を奏でているようにも聞こえた。


 狼は、崖を猛スピードで駆けて行く。誰も決して止められない程、速く、速く、速く。


 長く、長く、長く走ったその先には、仲間達が待っていた。

 髪の色、目の色、耳の形、肌の色もそれぞれ違う、普段なら会い慣れないような種族が、心が繋がったように笑顔で出迎えた。


 一斉に、違った言語が飛び出した。

 普通なら理解できないはずが、

 皆、心が通い、通じ合い、発した言葉が違えども、理解しあえるのだ。


 強く願う、慈しみの想いが、一つにしたのだ。


 仲間の輪の中に入り、狼は中心で最高の笑顔を魅せた。


 それに伴って、仲間達もいい笑顔を讃えている。


 さあ、新世界の始まりだ!


 というように、その者達を優しく包み込む様に、天から一筋の光がさしたのだった。

 

 


 

これを見て、哀しく泣いたなら、きっと次には笑顔が待っている。

そう願った作品です。

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