第15話 クコの町散策
盗賊たちがいる部屋の前に来た。
エウリュカさんがドアの鍵を開けてくれたので、ノックをしてお頭を呼ぶことにした。
「お頭、いますか?」
「お?髭の兄ちゃんか。ちょっと待ってな」
少し待ってドアが開く。
「おん?騎士様と...嬢ちゃん誰だい?」
「あー、アサヒです」
苦笑いをしながら返すと、お頭の頭の上に?マークが浮かぶのが見える。
「そうかそうか、で、騎士様、髭の兄ちゃんはどこですかい?」
あ、そういえば名乗ってなかったな。というかお頭の名前も知らないじゃん。
「あー...なんだ、この子がお前の言う髭の兄ちゃんだ」
「そういえば自己紹介してなかったですね。佐藤朝日です」
お頭の頭の上に2つ目の?マークが浮かんだ。
「あ、ああ。これはどうも。
ゲルハルトです。
いやいや、髭の兄ちゃんはもっとこう...あれ?背丈は同じくらいだし...声も確かに髭の兄ちゃんだな...?」
お頭の頭の上に三つ目の?マークが浮かんだ。
「いや、なんだ。信じられんかもしれんがこれがあの弓手だ」
「えー...んー...いや、そういうこともあるのか...?」
お頭改めゲルハルトさんはいまいち納得してなさそうな顔だったが、そういうこともあるということでなんとか納得してもらった。
「それで髭の兄ちゃ...嬢ちゃんは俺に何の用なんだ?」
「いえ、俺は男ですよ。町に散策に行きたいんですけど、一緒にどうですか?」
後ろから盗賊たちの囃し立てる声が聞こえてきた。
男同士でデートも何もなくない?
「男...?
あー...なんだ、これ以上混乱したくないから情報を渡さないでくれ。
それで町に散策ってぇとなんか行きたいところでもあるのかい?」
「いや、そういうわけではないんですけど、来たことない町に一人で出るのもちょっとなあと思いまして。
エウリュカさんは忙しいのでお頭と一緒なら心強いな、と」
エウリュカさんは詰所で盗賊たちの監視をする必要がある。
他の騎士団の面々では数が少なく、暴動を起こされると心許ないとのことだった。
それにエウリュカさんは多分この町のことを知っているので付いて来られるとただの観光になってしまう。
時間に余裕があるので、せっかくだから初めてきた町を探索をしたい。
「そういうことなら構わねぇよ。髭の...嬢...呼び方がわかんねぇな...。
あー、アサヒが一人で行ったら拉致られそうだしな」
「よかった、ありがとうございます。
準備の時間は必要ですか?」
「いや、持っていけるもんもねぇし大丈夫だ。
それより金の持ち合わせがねぇけど大丈夫か?」
「それくらいなら俺が出すから大丈夫です」
「すまねぇな。じゃあ行くか。
オイ、俺はちょっとアサヒと出てくる。下手なことするんじゃねぇぞ」
後ろからさらに囃し立てる声が聞こえてきた。
いや、男同士なんだけど...。
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町に出るために詰所のドアを開いた。
正面には広い庭があり、高い塀を隔ててわずかに町並みが見える。
中世ヨーロッパ?っぽい感じである。ヨーロッパ行ったことないけど。
異世界に来たんだなぁとちょっと感動した。
町に来てからちょっとしたことで感動している気がする。
「さて、まずはどこに行くんだ?」
「武器屋に行きたいですね。前から使ってる鉈がもうダメになりそうで」
そう言ってゲルハルトさんに異世界に来てから最初にゴブリンから奪った鉈を見せる。
刃渡りはそれほど大きくないが、髪を切ったり枝を切ったりとなんだかんだで結構お世話になっているので愛着が湧いている。
「おうおう、町の真ん中でそんなもん出すんじゃねぇぞ。しょっ引かれちまう」
「了解です。武器屋ってどこら辺にあるんでしょうか?」
「大体どこでも冒険者ギルドの近くにあるな。そんでもって冒険者ギルドは大体町の南の入り口の近くって決まってる」
「なるほど。なんで南なんでしょうか?」
「さぁな。大体どこでも貴族街は北にあるから、そこから遠い南に荒くれ者を隔離したいって理由じゃねぇか?
ちなみに俺たちが入ってきたのは西の入り口だから、俺もまだ南には行ってねぇ」
「そうなんですね。じゃあとりあえず南に向かいましょうか」




