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第14話 クコの町 Side.エウリュカ

 アサヒが起きた。ヤワな男ではないと思っているが、丸1日寝続けていたから少し心配してしまった。

 ずいぶん疲れが溜まっていたんだろう。


 これまでの行軍でだいぶ汚れていたということもあり、疲れを癒すためにもとりあえず湯浴みをしたらどうかと提案した。

 アサヒが快諾したので、浴室に案内してから近くのメイドを探して湯浴みの手伝いを命じる。

 別に一人でできないことはないだろうが、風呂場で倒れられても困るからな。


 数ヶ月は湯浴みしていないと思うので、さぞ気持ち良かろう。

 私もここに着いて最初の湯浴みは天にも登る気持ちだった。

 さて、今日は何をしようか。

 まだ朝である。

 休暇ではあるが、盗賊の監視のため詰所を出ることはできない。できることは限られている。

 肌寒い季節になってきているので、ひとまず茶でも飲んでゆっくり考えるか。


----------------------------------------


 コーヒーを飲みながら武器の手入れをしていないことに気付き、武器庫で砥石を拝借してその場で戦斧の手入れをしていた。

 ふと入り口を見ると少女が歩いてくるのが見える。

 見ない顔である。

 燕尾服に緑のパンツ姿で、体型は150cm程と小柄である。

 少女が燕尾服というのもミスマッチだが、何より目立つのはその顔である。

 肩の上あたりで切り揃えられた綺麗な黒髪に庇護欲をそそる愛らしい顔立ち。

 どこぞの貴族令嬢だろうか?

 ここまでの見た目であれば一度は噂に聞こえてきそうなものであるが、生憎心当たりがない。

 そもそも、騎士団の詰所に貴族令嬢がいるなどほぼないことである。


「...誰だ?」


「アサヒです」


「!?」


 まさかの返答である。

 確かに髪色はアサヒと同じ黒であるが、そこにいるのはどう見ても少女だ。

 確かに体型は近いが、口調や髭を蓄えているところからドワーフ辺りの混血の年上の男だと思っていた。

 森での生活で全体的に薄汚れていたのもあって気付かなかったが、ものすごい美少女である。

 よくよく考えれば声もハスキーな女性のものと聞こえなくもない。


「ひ、髭がないと印象がだいぶ変わるな...。年上かと思っていたぞ」


「そういえばエウリュカさんっておいくつなんですか?

 あ、女性に年齢を聞くのは失礼でしたね」


「いや、構わん。私は18だ」


「俺は27です」


「兄上と同い年...?いや、そんなわけは...。

 というか、女だったのか...?」


 どう見ても少女だ。それ以外の何者でもない。

 本人は27歳と言っているが、どう見ても12歳やそこらである。


「いえ、男ですよ」


「そうなのか...?」


「そうなんです。お頭のところに案内してもらってもいいですか?」


「あ、ああ...」


 心なしかちょっと不機嫌な気がする。

 ドワーフではなくエルフとの混血か?だが、黒髪のエルフなど聞いたことがない。

 本当に男なのか、そもそも人間なのかなど疑問は多々あるが、本人がコンプレックスに思っている可能性がある上、貴族霊場だった頃のトラウマで(少なくとも見かけ上は)年下の女子に苦手意識があるので、それ以上の追求はできなかった。


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