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夕立と傘と

作者: みなした

結果だけを見れば確実に間違いだったのだろう。

しかし朝の時点で予測される天候にすべてを賭けたことは間違いだったとは思っていない。


一本の傘を差しながら、もう一本を私に差し出す彼女に向かって言葉を続ける。


これを失敗と見做すかはどの段階でそれを判断するかだと思うのだ。

例えば今この瞬間においては私の判断は間違いだったと認めざるを得ない。

しかし1分後に雨がやんでいたとしたら、私は正しかったのだと覆されることだろう。


朝の段階でのおそらく正解であった「持たなくてもよい」という選択がその後たった8時間と45分の後にこれほどの陰鬱と後悔をもたらしたように、また逆に1分後の景色によって私に多大なる自信と万能感を与えてくれる可能性が確かに存在するはずなのだ。


「うん」とだけ彼女は返す。


今抱える感情の大きさの分、もし1分後に雨が上がるという奇跡が起こればそれが私にもたらす喜びは8時間45分の落差など比にならないものであろう。

つまり朝にその時点で最高であろう正しい選択をした分に加え今後訪れる可能性がある幸福の期待値が加算されるとすれば総合的には傘を持ってくるという現時点において正しいとされる行為を上回るとさえいえる。

つまり私はより正しさに身を置くことができた分メリットの多い選択をしたのであってそこに間違いや不利益など生じるはずもないのだ。


捲し立てるように紡ぎ続けた私に対し彼女が申し訳なさと、それ以上の嬉しさをその顔に表す。


「ありがとう、ごめんね?私がお姉ちゃんの折り畳み傘も持って行っちゃったもんね。」



申し訳ないなどと思ってほしくない、彼女の存在だけでどんな状況であろうと幸福が上回るに決まっている。

つられて微笑んだ私は彼女に帰り道好きなアイスでも買ってあげようと提案する。


「ダメだよ、一時的な幸福に対して金銭面や健康面に対するデメリットのほうが多いからね!」


ふむ、この応対方式は中々に面倒で要反省だ。

何気ない柔らかい日常...を書きたかったはずなんです

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