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冬の記憶  作者: 夜霧
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探検

 5 探検


「なぁ、時計塔を探検しないか」


「時計塔? 町の中心部にある壊れて動かない時計塔の事?」


 この町の中心部にある時計塔。今はもう動いていないが、この時計塔の歴史はなかなか古い。外壁が黒く汚れているが、これは戦時中に空襲を避けるため全体を黒くした名残だそうだ。


「ああ、冬木さんの歓迎会としてどうかと思ってな」


 歓迎会が時計塔の探検って奇抜すぎるよ。


「でも、あそこ入れるの?」


「知らん。もし駄目だったとしてもばれなきゃいいだろ」


「いや駄目でしょ!」


 不法進入なんてしたくないよ!


「冗談だ。あの時計塔、入るの自由だってさ」


「それを聞いて安心したよ」


 出入り自由なんだ。知らなかった。


「決行は明日夜8時、時計塔前に集合な」


「ちょっと待って! やる事決定済み? それに夜?」


 歓迎会が時計塔の探検って事だけでも奇抜なのに、夜って肝試しでもするつもり?


「ああ、メンバーは俺と高橋と安住、冬木さんにはもう伝えてある。それに、夜にやった方がなんか雰囲気出るだろう?」


 なんの雰囲気だ・・・


 冬木さんもこんな歓迎会よく受けたな、僕なら絶対に嫌だ。




 そして当日、全員ちゃんと8時に集合した。


「う〜ん、やっぱり夜の方が雰囲気出るね。ふさちゃん」


「そうだね、たかちゃん」


 女子二人はノリノリだ。冬木さんは、ふさちゃんか。これも高橋さんと同じように、冬木の”ふ”と桜の”さ”でふさちゃんなんだろう。


「よし、全員揃ったな。それじゃあこれから冬木さんの歓迎会を行う。暗いから足元には注意しろよ、落武者の霊が出だらすぐに逃げる事」


「いや、時代考証おかしいよね」


 そんなもの出てこられても困るけど。



 時計塔の中に入ると、老朽化してるのか歩いていると時々ギシギシと音が鳴る。大丈夫かな?


「ところでこの時計塔、一つ謎があるの知ってるか?」


「謎?」


「え? 何それ。私も知らない」


「へ〜え、謎なんてあるんだ!」


 上から僕、高橋さん、冬木さんの順である。


 謎か、それは聞初めて聞く。


「実はこの時計塔、一度修理しようとしたらしいんだが、機関部への行き方がわからないんだってさ。」


「どうゆう事?」


「この時計塔を管理していた人が高齢で亡くなったんだけど、跡継ぎがいなかったんだってさ。それで誰も管理しないからそのまま壊れたらしい。で、修理しようとしたけど機関部への行き方がわからないから、この時計塔について色々調べてみると設計者が変わった人だったらしい。この設計者、人と同じのを造るのが嫌で、機関部への行き方をからくり屋敷みたいにしちまったんだってさ」


 へぇ、そんな事があったんだ。


「それで、私達でその機関部への行き方を見つけようって事?」


「そうゆう事だ、高橋。行き方が見つかれば金一封か、新聞に載るかもしれないぞ!」


「いや、それはないでしょ」


 むしろ西村よ、君は歓迎会というよりそっちの方が本命ではないのかな?


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