忘れ物
「どうしたのって、それ僕のセリフ」
冬木さんこそ、何で学校にいるの?
すると頬を少し膨らました
「私が質問したんだから答えてよ」
「あ、ごめん。古典の教科書忘れたから取りに来たんだ」
「何だ、少し期待外れ」
そんな事言われても困るんだけど・・・、それに何を期待してたの?
「そうゆう冬木さんこそ、ここで何してるの?」
「私? 私は教室の窓から景色を眺めてたの」
景色って、家で見ればいいのに。
「ねぇ、綺麗じゃない?」
「そうだね」
でも確かにその通りだった。朝見た時と同じ景色だが、今は雪が降っていて綺麗だった。
そこで、改めて冬木さんが僕の方を見た理由を考えみた。僕じゃなくて景色の方を見たのか?それとも・・・って、何でこんなに考えてるんだろう?
「どうしたの?急に黙り込んで」
「いや、何でわざわざ学校の教室で見るのかなと思って・・・」
何で、席に着く前に僕の方を見たのかを考えていたとは言えず、別の事を言った。
「家の窓より教室の窓の方が大きいし、大きな動く絵みたいていいじゃない」
確かにそう見えない事みもないけど、大きな動く絵・・・、一瞬言葉から〇〇〇の動く〇を連想してしまった。
「あ、今変な事考えたでしょ!」
「えっ!」
何、その感の鋭さ。
けれど、冬木さんと話しているとどこか違和感を感じた。何だろう、そう思っていると廊下から先生の声がした
「おーい、誰かいるのか?」
まずい、見回りの先生だ!見つかったら面倒な事になる。
するといきなり手に柔らかい感触が伝わった
「え?」
手をみると冬木さんの手が握られていた。
「え?、え?」
いきなり手を握られた事に動揺してると、冬木さんが僕の手を引いて走りはじめた。
「え? ちょっと、冬木さん?」
「早く行こ、見つかっちゃうよ」
そう言って、手を引く冬木さんはいたずらが成功した子供のように笑った。