嫌な予感がする二人
時は流れ、見事、私とベルンハルトは狭き門である魔導科と騎士科に合格できた。
ベルンハルトと二人で喜び合い入学式に発表される特殊科に心を躍らせるのであった。
「ねぇ、ベルン似合ってる?」
なぜこんなご時世にこんな制服があるのかすごく疑問に思ったが女神曰く創造神様の趣味らしい。とにかく触れないでくれと言われた。
白のカッターシャツにグレーのベストそして黒の膝上タイトスカートに黒のタイツ、男性は黒のスラックス。学年ごとに色が違う斜めストライプのネクタイ。今年のカラーは青だ。そして羽織るはフードの付き胸元には学園の紋章の入った黒いローブ。裏地は学科ごとに色が違う。因みに騎士科は赤色で魔導科は橙色だ。
「似合ってるよ。今日、特殊科に選ばれたら安堵できるんだけどな。」
不安のみえる顔色でベルンハルトはそう言った。
「そうだね~。」
私はドレッセル領にいるエヴァンを思い浮かべ不安になった。
私とベルンハルトはドキドキしている気持ちを内に秘め学園内へ踏み入れた。
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入学式は講堂で行われる。
ステージに近い順に騎士科、医学科、魔導科、社交家、兵士科、魔法科、冒険科、商業科と順に座る。やはり騎士科、医学科、魔導科の人数は他の学科に比べたら少ない人数だ。
私は物珍しく辺りをキョロキョロと見渡す。確かに学科ごとにローブの裏地が違う。上位学科は暖色系でその他の学科は中性色、寒色で分けられている。騎士科から順に赤、桃、橙、水色、青緑、青、深緑、紫と各学科の色を覚えておこうと頭の中にメモを残した。
「ふふっ、さっきから誰か探しているのかい?」
キョロキョロとするのに夢中で隣りに誰か座ったのかなど気にも留めていなかった私は突然話しかけられ驚きビクッ!と肩を揺らした。
バッ!っと隣りに座る人に目を向ければそこには実技試験で見かけた銀髪の長い髪を一つにまとめ、アイスブルーの瞳を細めてニッコリと笑うイケメン君がいた。
「!ご、ごきげんよう。いえ、どのような方たちがこの学園に来ているのだろうかと気になって見渡していただけですわ。」
驚いた心を落ち着かせながらニコッと笑ってそう答えた。
「ふふっ、そうか。ついてっきり実技試験の時に一緒に帰っていた彼を探しているのかと思ったよ。」
ニッコリそうイケメン君はそう言った。
「え?あぁ、ベルンのこと。彼はわたくしの護衛ですわ。彼は騎士科ですので前の方ですわ。」
私はそう言ってベルンハルトの後ろ姿を探し見つめた。
「そうなんだね。」
そう言ってイケメン君はニッコリ笑う。
「お隣同士になったご縁ですわ。もしよろしかったら名前を伺っても?」
名前は知りたかったのでそう言った。
すると彼は驚いたのか目を見開いた。その後にニッコリ笑い答えた。
「知ってるかと思ってたよ。自己紹介が遅れたね、僕はエドモンド・オリバー・シュタール。お隣同士よろしくね。」
私はその家名を聞いてサーーっと血の気が引いた。シュタール家は公爵家なのである。
「も、申し訳ございません。シュタール家のご子息様とは知らずご無礼な態度をとってしまって!」
私は慌てて立ち、深く頭を下げた。
「ふふっ、本当に知らなかったんだね。大丈夫だよ。気にしないで、それより君の名前教えてくれるかな?」
ペコペコしている私の頭を撫でそう言って落ち着かせる。
「わたくしはエラ・ステファニー・ドレッセルと申します。ご無礼な言動申し訳ありませんでしたわ。」
そう言って貴族っぽくスカートをちょんと掴み挨拶をする。
「ドレッセル辺境伯の、、。全然大丈夫だよ。気にしないで、それにこの学園内では貴族だとか平民だとか差別せずみな平等が規則だから同級生だし気軽に話してね。えっとエラって読んでもいいかな?」
エドモンドはそう言ってニッコリと笑う。
「そうなのですね。エラとお呼び下さい。エドモンド様。」
そう言ってお辞儀をすると少し不満そうな顔をされた。なぜ?頭にハテナマークを頭に浮かべる。
「エドモンド様って固いよ。呼び捨てでいいよ。」
そう言われてギョッとした。
「えっと、、、、。」
私は困ったようにあたふたした。
「じゃあ、エドはどうかな?そっちの方か言いやすい?」
エドモンドからそう呼べっていう笑顔の圧力がかかっているような気がした。
「え、エド様で、、、、。今のところはご勘弁ください。もう少し親しくなりましたらそう呼ばせていただきます。」
手で顔を覆いながら私はそう答えた。
「ふふっ、君の顔はコロコロと表情が変わるから面白い。これからが楽しみだよ。」
エドモンドはそう言ってニッコリと笑った。
嫌な予感がバシバシと感じる私であった。
その頃、ベルンハルトは、、、、
あんなキョロキョロして目立ってるよ。しかも回りの男がジロジロ見てるし、あー、やっぱり俺も魔導科にするべきだったか、、。
あ、あいつエラお嬢の隣に座ってニコニコとお嬢を見やがってよりによってエラお嬢に近づくなんて、、
「隣りいいか。」
エラお嬢に気を取られ周りの気配に注意を怠ってしまった。
パッと隣を見るとそこには超絶イケメンがいた。
金髪ワンレンで肩に着くか着かないぐらいの長さでロイヤルブルーの瞳をした人がキラキラのオーラを放ちながらそう言った。
「はい、もちろんです。」
気を取り直してニッコリ笑って言った。
「お前の戦い見てたぞ、今度手合せをしよう。」
イケメンはそう言ってニィっと笑った。
「畏まりました。フリッツ皇太子殿下。」
片膝をたて胸に手を当て深く礼をする。
少し驚いたような雰囲気になったがすぐに変わった。
「よく気が付いたな。髪も切ってみたんだが今は同じ騎士科で学ぶ者同士、皇族も平民も関係ない。気軽に頼む。改めてフリッツ・マリウス・ジークフリート・レオンハルトだ、よろしく。そして護衛として共に入学したユリウスとルディだ。」
フリッツはそう自己紹介をした。護衛の二人は紹介された時に軽く頭を下げた。
「ベルンハルト・フレンゼル、ドレッセル家子女であるエラ・アメリア・ドレッセル様の護衛として共に入学致しました。」
「帝国指折りの騎士であるフレンゼル家の者か、なるほどな。」
ニヤッと笑って椅子に座るフリッツ。
ベルンハルトは何故か嫌な予感をひしひしと感じるのであった。