えっと、、困惑しました。
入試の前日、今日は鍛錬はお休み。怪我したらいけないからね。そう言った理由をつけてようやく初めて帝都の観光をしにきた。
一番大きな市場に来ているが祭りの縁日のように賑わっている。
「ベルン!これ食べたい!!」
たくさんある屋台に目移りしてしまう。
「そんな急がなくても肉は逃げません。あ、この串焼き2本ください。」
そう言ってベルンハルトは、店員さんに注文する。
「あいよっ!そちらのお嬢さんは別嬪だから1本おまけだよ。」
そう言って私にもう一本くれた。優しいありがとうおじさん!
「嬉しいです。ありがとうございます。」
ふふふと笑って串焼きにかじりついた。
「!!おいしーー」
炭火焼を久しぶりに食べた私はその味を堪能した。
「ほんと美味しそうに食べるな。」
ベルンハルトも私の表情を見て満足そうに串焼きを口に入れるのであった。
それから私は両手に花もとい、両手に食べ物を持っていた。
「エラお嬢様、、、。俺も気付くの遅かったけど流石に両手に食べ物は絵的にどうかと思うぞ?」
ベルンハルトは苦笑いをしつつそう答えた。
「そう?大丈夫だと思うよ。これも美味しいよベルン。」
私はそんな事は気にせずもぐもぐと食べる。そして右手に持っていたイカみたいなやつのタレ焼きをずいっとベルンハルトの口元に寄せる。
パクッ「・・・・うん、美味しい。でもほどもどにしとかないと明日身体が重くて動かなくなるぞ。」
あーんを率なくこなしたベルンハルトに内心驚きつつ(赤面すると思った。)すっかり忘れていた明日の試験の事を思い出した。
「うっ、、、、。すっかり忘れてたよ。じゃあ、後はデザートだけ。ねっ?いいでしょ??」
すがるようにベルンハルトにお願いした。
「それ買ったら帰りますよ。」
ため息をつきつつデザートがありそうな店へエスコートしてくれるベルンハルトは優しくて紳士的な人だなと思いつつ手に持った串焼きを頬張った。
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そしてとうとう運命のヴォルバッハ帝国学園の入学試験の日がやってきた。
試験は2日に分かれて行われる。
1日目は筆記試験だ。それぞれの科ごとに問題が違う。社交科、冒険家、商業科はこの日で受験は終了する。そして2日目は騎士科、医学科、魔導科を受験するものは実技が行われる。
勉強が苦手な私とベルンハルトは筆記試験の勉強をエヴァンにしっかりとしごきを受けた。
やってきました!ヴォルバッハ帝国学園。
はははははは、人がごみのようだ。って言いたかっただけだが、受験を受ける者は1万以上はいるのではないかぐらい多かった。
まずは、書類受付それによって受験番号が配布される。
「ベルン、いよいよだね。お互い特殊科に入らないとエヴァン兄様が怖いから全力でやっていこうね。」
よっし!と私は気合いを入れ直す。
「そうですね。魔導科と騎士科お互いに頑張りましょうね。」
ベルンハルトはそう言ってポンポンと頭を撫でた。
そして筆記試験、驚くほど解けた。というか魔法に関する簡単なテストだった。
質問もいくつかついていた。
Q.魔法を使う際は杖を使いますか?
いいえ。ない方が動きやすいです。
Q.どの程度まで短縮詠唱できますか?
程度がわかりませんが、ほぼ全て短縮魔法使えます。
Q.得意な魔法は何ですか?
鍛錬時はよく火と氷を使います。剣に擬態させるのであれば闇が使いやすいです。
と素直に答えていった。
一通り回答を終え見直しを行ったがおそらく全問大丈夫であろう。ホッと一息ついた。
筆記テストが終えベルンハルトと合流した。
「エラお嬢様、筆記テストどうでした?」
ベルンハルトが心配そうに私の顔を見る。
「ビックリするぐらい解けたんだよね。ベルンはどうだった?」
私もそう返す。
「俺もビックリするぐらい問題が簡単で驚いた。エヴァン兄さんのお陰だな。」
そう言って二人で笑いあった。
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翌日、
今日が本命の実技テストだ。お金を払って学園に入る貴族も騎士科、医学科、魔導科へ入るにはこの実技テストを受けなければならない。よって今日は貴族も来るからちゃんとした身だしなみしろと親から渡された動きにくいドレスを着る。ベルンハルトも護衛としてシャキッとした服装をして動きにくいのでかなり憂鬱だ。
「ベルン、その恰好で動ける?」
私はかっちりと着こなしているベルンハルトにそう聞いた。
「困らない程度には動けますよ。ただ、汚さないなどか破けさせないだとかは自信ないですが、、。」
そう困ったようにベルンハルトは答えた。
少し憂鬱だが改めて気合いを入れ直す。
そして到着した学園、貴族と思う方がわらわらといた。
おほほーだとかうふふーだとか声が聞こえてき混ざりたくないとゾッとする。
「エラお嬢様、あの輪に参加しなくてもよろしいのですか?」
ベルンハルトがニヤっと笑って私にそう耳打ちした。
「冗談はよして。」
私はそう言ってベルンハルトを睨み返した。
「ふっ、ごめん」
そう言ってベルンハルトは私の頭をポンポンと撫でた。
私たちはお互い別々の試験場所へ向かった。
魔導科の試験場所へ行くとキャーキャーと人だかりが出来ている場所があった。
中心には長身でイケメンが笑顔を振りまいて対応していた。うわーあの女の人たちは中心にいる者目当てなんだろうなと冷めた目で見てしまった。
パチッ
中心にいるイケメンとバッチリ目が合ってしまった。さっと目をそらしたがジーッと私を見られている気がするが、気付かない振りを延々と続ける。
そして始まる実技試験。
まずは水晶を使っての体内魔力の容量を調べるそうだ。水晶が光ればOK、水晶が色に色がついたら優秀、光らなければそく不合格だそうだ。この試験で半数は落とされるらしい。
キャーキャー言われていた彼の順番みたいだ。
「こうかな?」
透明だった水晶が白色に輝く。
まぁ、そうだろうと思った。だって見るからにチートみたいに優秀そうだもん。
そして取り巻きっぽい女性たちが次々と試験を行うが誰一人光らず、少し笑ってしまった。
次の方、と呼ばれて水晶がある元へ向かう、受験番号と名前を伝え水晶に手をかざす。
試験を受ける者たちの視線を集め少し緊張して手元に力が入り過ぎた。
あっ!と気付いたときには時すでに遅し
銀、金、緑に順に輝いた後、パンッッ!と水晶が割れた。
「・・・・・・・・・・・。ご、ごめんなさい。緊張で力み過ぎてしまいました。」
元に戻そうと試みたが、あまりにも粉々に粉砕していて修復不可能だった。
「・・・・。ま、まれに魔力に絶えれず割れますから気にしないでください。色も発していたので合格ですよ。」
引きつった顔でそう答える試験監督者。
先生方が集まり粉々になった水晶を見て何やら話していた。
大変居た堪れなくなり、さっと隅の方へ逃げた。
「うーーー、、、ちょろちょろ威力を強めようと思ったのに~」
さっきの試験を振り返り深く反省する。
次の試験は攻撃魔法のテストだ。
「では、5人づつ目の前の的へ好きな攻撃魔法を当ててください。」
試験監督がそう言って2つ目の試験がはじまった。
「我の内に秘める炎よ、今こそ目覚めの時だ、集い炎よ、敵を貫け 炎の矢」
「栄光を軌跡を描く雷よ、敵を貫き焼き焦がせ 雷の矢」
などなど皆自分の技を披露していく
的を外す、不発や的に届かないなどは不合格である。これでまた1人、1人と脱落してゆく。
「氷の弾丸」
長ったらしい呪文の中、久しぶりに聞いた短縮魔法詠唱。
パッと見ればそこには案の定、イケメン君だった。
的はボロボロで多くの氷が的に突き刺さっていた。
それを見ていた者は皆おぉ!と驚くのであった。
次と呼ばれた私は的の前に立つ、今回は何故か興味深そうに先生方にも注目されている。
まぁ、なんだ特殊科に入る為にはあれを壊すほどの威力を打たないといけないと思い片手を的に向け魔法を唱える。
「炎爆弾」
バスケットボール程の球を3つ程作り勢いをつけて的へ当てる。
ボフッ!と勢いよく爆発し的が炭とかした。
おぉ!と先生方からの歓声を受けた。