たいそうなものを編み出したみたいです。
帝都へ向かう道中はいたって平和だった。
盗賊とか出てくるのかな?と少しワクワクもしたが、一応辺境伯の娘である私が乗っている以上、護衛がたくさん付いているので下手な盗賊は近寄って来れないのだろう。
魔物だ!!と誰かが叫びよっしゃー出番だ!と飛び出してみたが兵士によって一瞬のうちに倒した。確かに、わが領の隣にこの大陸で一番といって良いほどの危険な山であるラキラナ山が隣接している。その為、鍛錬として山へ魔物討伐にも行くし、そこそこの魔物は倒せるのだ。だから今更、ランクFやEなどもモンスターが出ても難なく倒せる。なので・・・・
「うーーー、、、身体が鈍る~、動きたいっっ。。」
私は窓の外に向かって不満を声に出した。
「我慢して下さいよ。エラお嬢様は貴族なんですから今は世間体を考えて大人しくしておいてください。」
私の乗っている馬車の横を並走しているベルンハルトが困った顔でそう言った。
「ベルンはそうやって私より身体を動かしているからそんな事が言えるんだ。もうずっとこの馬車から出てないんだよ?歩いても数歩だよ?寝て食べて寝ての繰り返しうーーーーーー、、、、、」
私はそう言ってがっくりと項垂れる。
「あーー、、、エラお嬢様?帝都着いたらとことん鍛錬付き合いますから。あとは観光にも。なっ?」
ベルンが困った顔をさらに困らせて宥めるように私に言った。
「うーーーー、、その言葉忘れないからね。」
そう言ってしぶしぶ暇つぶしに馬車の中で魔法の練習をするのであった。
「混合魔法とか面白そうじゃない?たとえば火と闇とか・・・。」
そう思ってうーーーーん?と考える。
≪闇炎と言ってみよ≫
頭の中でその言葉が響いた。
「ん?女神様の助言??まっやってみるか。闇炎」
すると手のひらに真っ黒だが火のように揺らめいている。ためしに紙をその黒炎にあてがうとポッと紙が消滅した。いろいろ試した結果、この黒い炎は消したいものを想像すると一瞬で燃えて闇に消えるみたいだ、まったく恐ろしい魔法を手にしてしまった。
≪ふふふっ、因みに花嵐か花大嵐って言ってみて。≫
また、頭の中に声が響いた。
「えっ、嫌な予感しかしないけど・・。やr≪やるの≫あー、はい。花嵐」
突然、突風の如く花と共に風が吹き荒れた。外にいるみなは何事かと大慌て、私も威力を最小限にしたつもりだったが地と風の複合だった為威力が足し算されたみたいで少し驚いた。
「エラお嬢様~~。」
犯人が分かったベルンハルトは私をジト目で見る。
「えへっ、魔法の練習してたら暴発した。」
てへっおどけたように言う私にベルンハルトは大きくため息をつき護衛たちに私のせいだと報告しに行った。
「でも、これどんな効果が・・・?」
うーんと頭を悩ませるのであった。
氷と風で応用できるからまぁ、良しとしようとうんうんと納得するのであった。
≪二人がそんな助言するなら私もするわ。疲れを癒すものよ。祝福の雨よ。光と水の複合魔法≫
またもや頭の中で声が響いた。まぁ、これならいいかと私は唱える。
「祝福の雨。」
300mほどの範囲にキラキラとした粒が天から降り注ぐ、それを受けた者の疲れを癒した。
報告に行っていたベルンハルトはその光の粒を見てポカンと口を開けていたが、雨がおさまるとベルンハルトはグワっと私の方へ振り向いた。こわっ、、。またエヘッととぼけてみせた。
「エラお嬢様?何か言うことがあるのではないですか?」
エヴァン兄さま直伝のブリーザードスマイルを見せるベルンハルト。
「あははは~、ごめんなさい。」
ゴゴゴとベルンハルトの後ろに黒いものが見えたので素直に謝った。
しゅんとした私を見て少し溜息をついて
「1人で何かするのはいいですが、周りが混乱するような事はしないでください。それよりどんな魔法使ったんですか。見たことありませんでした。」
ベルンハルトはそう言った。
「ははは、聞いて驚け!複合魔法を使ったんだ。1つ目は、闇と火で2つ目は、地と風、3つ目は、光と水だよ。」
ドヤ顔で答えるとポカーンとしたのちにハァァと大きなため息をつかれた。
「複合魔法とか帝国の帝国魔導士でもトップレベルの人しか使えないし、しかもどうせ短縮詠唱でしょ?帝国魔導士でも長ったらしい詠唱するんだろ?だから、はぁ、もうほんと、複合魔法とかぽんぽん使わないでよね。悪い人に狙われたらどうすんの?俺が近くにいなかったらどうするの?魔法封じ込められて剣豪でも現われたらエラお嬢様でも負けるよ。しかも女神加護持ちだからほんっと悪い人に狙われたらとことん狙われるよ。もう」
敬語を忘れてくどくどと長ったらしくベルンハルトに説教される。
小一時間ほどお小言を言われ、おそらく半分以下しか頭に入ってません。
そして長い道のりだった。ようやく帝都へと到着した。
「ようやく、、、、ついたーーー。もう一時馬車は乗らない。」
馬車からおりて直ぐに私はぐーっと背伸びをした。
「エラお嬢様、それは部屋でやってください。」
ベルンハルトがそう言って急かすように背中を押した。
「ベルンわかってるでしょうね?身体がめっちゃ鈍ってるからね。とことん付き合ってもらいますよ。」
私はそう言ってニヤリと笑う。
「仰せのままに、、、。まぁ、試験までは気が抜けないしな。」
ベルンハルトもニコっと笑う。
鬱憤をぶつけるかの如く、私は鈍った身体に鞭を打ち鍛錬と言う名のもとに暴れた。