力を使いすぎてしまったようです。
初めて魔導科の魔法訓練が行われる。魔導科は2クラスしかないので教室を使わない授業は基本合同みたいだ。
「授業を始める前に問う。そこの君、魔法属性は何がある?」
ある生徒に先生が問うた。
「はい、火属性、水属性、風属性、地属性、雷属性、氷属性、光属性、闇属性、無属性の9属性です。」
と生徒が答えた。
「そうだ。君は何種類の属性魔法を使える?」
同じ人に先生はもう一度問う。
「今は水属性しか使えません。」
そう言ってすこし萎縮する。
「そこの君はどうだ?」
また違う生徒が聞かれる
「わたくしは、火と土の二種類ですわ。」
ふふんとドヤ顔で答える生徒に先生は鼻で笑った。
「2種類使えるだけで魔導科に居座れると思うな。2学年に上がるまでに果たして何人魔法科へ落ちるだろうか。この魔導科と魔法科は移動が激しい。魔法科からのし上がってくるものもいれば、魔法科へ落ちる者も多い。2学年に進級する時に属性魔法が3種類使えなければ魔法科への移動になる。その他にも訓練中魔導の見込みなしと断定されれば即魔法科へ落ちるぞ。そのローブの色を変えたくなければ努力をすることだ。」
先生の言葉に皆の顔がサッと青くなる。
「この魔導科には3人、特殊科がいるようだな。そこの3人、何種類の所属魔法が使える?」
私たちに先生は問うてきた。
「わたしくはまだ、火魔法と他はあまり得意ではありませんが、一応風魔法、雷魔法、地魔法、無属性ですわね。他はまだできていませんわ。」
フレイヤはそう答える。
「僕は、氷魔法と水魔法は大方できます。他に風と地と闇が少しばかり、残りは、まだです。」
続けるようにエドモンドは答えた。
「この学年の特殊科はあまり大したことないのかね。」
少し馬鹿にしたように言う先生に二人の眉間に一瞬、皺が寄った。
近くにいた補佐を行う先生は雰囲気を感じ取りオロオロし始めた。
私も少しばかり、いや二人をバカにしたことに加え他の皆もバカにされたように感じかなりムッときた。
「最後は君だね、あまり期待はしていないが、、ははっ。特殊科なら1学年で全種類使えるぐらいでないとね。もちろん、全属性使えるよな?」
何が面白いのか笑いながら聞く先生。私以上にフレイヤとエドモンドの顔が怖い。
私は、即答してあげた。
「使えます。」
先生の顔も他のみんなの顔もポカンとする。
「は・・・?」
ようやく先生の口から言葉が出た。
「だから使えます。全所属魔法。入試の時にも書いたはずです。」
その言葉にみるみる先生の顔が赤くなる。
「嘘も休み休みに言え。全属性の魔法なんて一流魔導士ぐらいしか使えないにきまってるだろ」
少し正体を見せた先生に私はニヤリと笑う。
「嘘ではないですよ?何なら見せてあげましょうか?」
ニッコリ笑って言う私に先生は気持ち悪い笑みを浮かべた。
「出来なかったらわかっているだろうな?教師に嘘を付くとは大罪だ。即、退学。特殊科が初日の授業で退学か、、。随分面白い事になるな。」
下衆な笑みを浮かべた先生が言った。
「私が全属性魔法が使えたら先生あなたの解雇を学園長へ伝えます。この位、リスキーな取引でないと。全権力、私の周りにいる権力をも使って。異論はないですね。」
私の言葉に先生は笑った。
「あぁ、言ってみろ。出来るはずがない。お前みたいな庶民が俺の解雇を取り付けるとは思えないね。」
はっ、と笑い答える。
「では交渉成立ということで、ここにいる全員が証人です。」
私はそう言ってスタスタと前に出て全員から見える場所に立つ。
フレイヤとエドモンドが不安そうな顔をしてこちらを見たがウインクを返した。
「では、まずは火魔法ですね。えっとでは、火柱。」
威力を強め爆炎の火柱を作った。
全員の息をのむ音が聞こえた気がした。
「次に水魔法。水龍」
水魔法で龍を造り、先程できた火柱を飲み込ま火柱を消滅させた。
私の造った龍に腰を抜かす者もいた。先生も唖然としていた。
「風は、、竜巻」
竜巻が水龍に衝突し水しぶきと共に消えた。
「次は地ですね、落石」
ドスンドスンと大きな岩を落とす。
「雷魔法は、落雷」
大きな岩に雷を落とし砕けさせた。
「氷魔法はと、、氷牢獄」
割れた岩を氷の中へ閉じ込めた。
「光魔法でと、、、光槍。」
氷牢獄を光槍で砕けさせ消滅させる。
「闇魔法は、、影分身。」
私の影よりもう1人の私が出てきた。これに攻撃するのはちょっと複雑なのでそっと魔法を解除し消した。
「ふう、ラストかな?無所属か~、、目に見えて分かるのって~?」
少しうーんと考えていると
『我を呼べ。召喚魔法だ。』
頭の中に話し掛けられた。
『私でもいいわよ。』
「(いや、女神様たちを呼んでしまったら大騒ぎになります。)」
『大丈夫だ。我を呼べ。』
『それなら人族の女神として私が召喚された方がいいのではないでしょうか?』
3人の女神様たちがガヤガヤと喧嘩しているその間に他の魔法をと思いついた
「浮遊。」
そう唱えその場にいた全員を空中に浮かせた。みんなの驚いた顔を見れたのでそっと地面に降ろす。
「以上ですかね?」
ニコっと笑って言う私に皆騒然としている。腰を抜かしている者もいれば初めて見るような魔法で恐怖を覚える者もいる。先生に関してはこれでもかというほど口が開いていた。
そんな沈黙を破ってパチパチと拍手が聞こえた。そちらの方を見るとそこにはブランド先生、ルチア先生それに学園長5人ほどの騎士とそしてひときわ目立つ威厳を放った人、、、、この国の皇帝陛下が私に向かって拍手をしていた。。
慌てて低く頭を下げた
「見事な魔術であった。これほどの威力の魔法を短縮詠唱かつ複数回放つとは帝国魔導士でも難しいと思う。」
帝国閣下直々に誉めてもらえた。
「お褒めの言葉を頂き大変有難く存じます。」
そのままの体制でそう言う。
「名は何と申す。」
皇帝陛下はそう言った。
「レオナルト・ホラーツ・ドレッセルが娘、エラ・アメリア・ドレッセルと申します。」
そう私は名乗った。
私の横目で息をのむ先生がいたような気がした。多分さっき私を庶民と言ったからだろう。
「ほう、レオナルトの娘か。どうりで聡明で勇敢な訳だな。先程の教師との契約は聞き届けたぞ。見た目で生徒を判断するとは不埒千万。儂からも学園長にも頼んでおく。それと父としての願いだが我が息子と同じ特殊科だそうだが、良い学友になってくれ。」
最後は声が少し柔らかくなったきがした。皇帝陛下は少し親ばかなのかと失礼な事を考えた。
「承知いたしました。不束な者ですが良きご学友になれるよう精進致します。」
私はそう言った。
そうこうするうちに、皇帝陛下は戻っていった。
絶望している威勢の良かった先生は他の教師に連れられて出て行った。
残った補佐の先生は取り残されオロオロとする。
驚きが続いたのでそのまま茫然としていた。
「エラ、すごかったよ。」
私もの元へ来て頭を撫でてくれたエドモンド
「ゆっくり寝ていいですわよ。」
フレイヤはフワッと笑い私をみつめる。
「医務室へ運んであげるから大丈夫だよ。」
そう言ってニッコリ笑うエドモンド。
私はそんな二人に疑問になった。
「別に眠たくないよ?」
私がそう言った言葉に二人は目を見開かせる。
「えっ!?あれだけの魔力を使ったのに魔力切れてないの?」
驚いたようにエドモンドが言う。
「んーーー。まだまだ有り余っている感じかな?」
自分の魔力残量を感じとり確認する。
「す、すごいわね。」
顔が引きつったように笑って言うフレイヤ
「んーー、いずれ言う機会があると思うからそれまで待っててね。」
少し困ったように笑い言うエラに二人は頷く。
「あんな魔法を使う奴が、、、、、、、」
不穏な気配が漂うが当の本人たちは何も知らない。