第2話 来たぜ異世界
白い輝きが消えて行き目を開けると、左には森、右には草原そんなところに俺は立っていた。
「おーぉ!ここが異世界か!空気がうめぇな。服装はって、制服のまんまなのか。とりあえず、イェータが言うにはこの辺に襲われている貴族がいるらしいけど、どの辺にいるのかな?」
ソウヤは、耳を澄ませ辺りを見渡した。すると、金属のぶつかり合う音、呻き声、下品な男たちの声が聞こえてき少し向こうに戦っている人影が見える。
「くそ、持ちこたえろ!こんな奴らにお嬢様を渡すわけにはいかん!」
そちらの方向から男の声が聞こえる。どうやら、あれがイェータの言っていた貴族の人たちか。
「ほらほら、しっかりしないと、死んじゃうぞう。まぁ、そこの女と金を置いて行ったら見逃してもいいけどな!」
この声の感じからして盗賊だな。どうやら、盗賊が出てきて兵士がそれを撃退しようとしているようだ。しかし、今のところ盗賊の方が優勢である。なるほどね、じゃぁ、異世界初スキルと行きますか!
「物質創造:正義の鉄槌」
(武器創造とは: 絶対神イェータより授かった加護の中のうちの一つ創造の力。物質、魔法、スキルなどさまざまなことができるチート能力の一つ)
イェータ曰く、唱えて創造した方がいいと言われている。唱えることによってイメージが鮮明になるらしい。あと唱え方は勝手に頭の中に浮かんできた。
ソウヤの手には光が集まり始め、次第に形を作り出し黄金に輝く金のハンマーが出てくる。
「おぉ!感動だわ。というかこれかっこいいな!とりあえず、異世界初戦闘行きますか!」
ソウヤは、一歩足を踏み込んだ。すると、予想以上のスピードで走れた。先程盗賊までの距離が50メートルごえだったが、一瞬でその距離を0に近づけた。とりあえず、
「ジャッジメント・ブロー」
技の名前が頭の中に浮かんでき、正義の鉄槌を地面に叩きつけると黄金の波動が発生した。その波動は、近くにいた盗賊たちを貫いた。貫かれた、盗賊共は倒れていく。こいつは強いな。
「君はだれだ!とりあえず、我々の仲間であるなら助かる!もう少し力を借りていいだろうか!」
さっきの声の主であろう。そちらをみると鎧を着ているがもうボロボロで、ところどころ血が滲んでいた。しかし、この人はいい方で、他の人は、気絶していた。どう考えても絶望的な状況。まぁ、普通の人だったらな。
「わかりました!力を貸しますよ!ところで——」
すると、一人の盗賊が、
「誰だがしらねぇが、まぐれで当たった攻撃でいい気になるなよ!」
と言い、ソウヤに飛び掛って来る。しかし、ソウヤは、
「うるさいんだよ。今話してんだよ!どっかいけよ!」
飛びかかってきた盗賊の腹に蹴りを入れた。すると、空のアルミ缶を蹴っ飛ばしたように飛んでいき、数回バウンドして止まった。完全に気絶している。
「俺は、クロイソウヤ。一応あんたたちの味方だからな。」
「あ、あぁ、それは、有難い。我々は、今護衛任務を受けている。この馬車の中にいるお方を守らなければならない。今は、馬車の中で寝ていますが。」
うわ、こんな状況で寝てんのかい。と思ったが口に出さないでおいた。
「そう言うことね、了解。」
とりあえず、今持っている武器と自分の身体能力が高いことが確認できた。というか、そろそろこの戦いも終わらしたいな。
ソウヤは正義の鉄槌を振りかぶった。
「ゴッドオブジャッジメント」
それを唱えハンマーを地面に叩きつけると、ゴーンと鐘の音に似た音が響き、黄金の波動が半円に広がり盗賊共や俺、鎧の人たちを包み込んで行く。全員を包んだ瞬間、鎧の人たちの傷が塞がっていき、盗賊共は、苦しみ泡を吹いて倒れていく。どうやら、俺が敵と思ったやつに対しては攻撃をし、味方は回復をする技らしい。盗賊共は、気絶しているだけだった。
役目を終えたハンマーは、光の粒となり消えて行った。先ほどのやつで、全回復とまではいかないが、鎧の人たちが立ち上がった。
「君のお陰でお嬢様だけでなく、我々も助かった。遅れたが、俺の名前は、オスカル = クレウス。王国第12騎士団の団長を務めている。ありがとう、ソウヤくん」
騎士団の全員がソウヤに向かい頭を下げた。ソウヤは慌ててみんなに頭をあげるように言った。
「いやいや、困っている人を見かけたら助けるのは当然ですよ。」
「とても優しい人なんだな、ソウヤ君。」
そういうかんじでオスカルさんと話をしていたら、ほかの騎士の人たちもソウヤの強さの秘密や着ていた制服に興味があるらしく話をして盛り上がっていた。
ワイワイと話をしていたら、
「ふわぁ〜、あ?皆さまどうしたのでしょうか?」
と、馬車の中から一人の女の子が出てきた。金髪で目の色も綺麗な色をしていてとても可愛い。そして、青いドレスを着ている。歳は、俺の少し下だと思う。地球で俺の周りにあんな子はいなかった気がする。と言うレベルで可愛い。
「あら、あなたは誰なのでしょうか?」
あ、やべ、自己紹介してなかった。見るからに貴族とか偉そうな身分だわ。丁寧な言葉遣いしなければ。
「俺は、いや、私は、クロイソウヤと言います。たまたまここを通ったら盗賊があなた方を襲っているのを見かけたので協力をしにきました。」
「それはありがとうございました。私はヴィルナ = モリコーネと申します。是非お礼がしたいので、近くの街の私の家まで来ていただけないでしょうか?」
おぉ、可愛い女の子にお呼ばれされちゃったよ。人生で初めてだわ。これは断る理由がないな。
「いいですよ。あと、俺にはそんな丁寧に喋らなくてもいいですよ。」
「じゃ、わたしにもそんなかたいことばじゃなくて、大丈夫ですよ。」
それから、近くにあるドリニカと言う街まで、馬車にのしてもらうことにした。ヴィルナさん—ヴィルナちゃんに、どこから来たのか、その服はなんなのかと、色々と質問攻めにされたが名前以外記憶がないと言いったところ、少し疑いの目があったが納得してくれた。
それからしばらくして、ドリニカに到着した。ドリニカは高さ10メートルくらいの壁で囲まれていた。関所を通り過ぎると、そこには中世ヨーロッパを思わせるような風景が広がっていた。その中でもここが異世界なんだと思わせることは、街に歩いているのが人だけでなく獣人やエルフがいることだ。
「うわぁ、すげぇ。」
そこですごく感激しすぎて思わず言葉に出てしまった。外を眺めていると「いい街でしょ」と、ヴィルナちゃんが言ってきて「すごくいい街だよ」と即答した。
「ここがわたしの家です。」
馬車から降りるとそこには、どデカイ屋敷があった。イメージとしては、東京駅だった。それ以外考えられない。あれが白一色になった感じである。
「では、中に入りましょう。」
「お、おう」
こう言う屋敷は、アニメでよく見てたりするけど、いざリアルで見ると圧巻だね。
中に入ると多くの使用人がおり、みんな頭を下げている。イメージ通りと言うか、入って中央に上に上がるための階段がある。そこから、一人の男性が走って降りてくるのが見えた。
「ヴィルナ!怪我はないか!」
「はい、大丈夫です。お父様。ここにおられるソウヤさんが助けてくれました。」
「よかった、オスカルから話を聞いた時、お前に怪我がないか心配だったんだぞ。」
どうやらこの男性は、ヴィルナちゃんのお父さんらしい。
「おぉ、君がソウヤ君か、娘を救ってくれてありがとう。なんとお礼を言ったらよいか。」
「いえいえ、当然のことをしたまでですよ。」
まぁ、とりあえず入ってくれと言われ、ヴィルナちゃんのお父さんに応接間に案内された。
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