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ぼくの詩集

ゴムの人形

作者: 桜井あんじ

ある朝ぼくは

いつもの街角で ふと立ち止まり

そして気づいたのです


ぼくはぼく自身にすら 置いてけぼりをくらって

ひとりぼっち

ぼくのぼく どこにいったの

ぼくはきょろきょろと 辺りを見回し 見失ったぼくを探すも

それは見当たらず

世界はプラスチック製の玩具にしか見えず


ここにいるぼくは いったい何だろう

ぼくの形した ゴムの人形

ぷぅと空気いれて むりやり ふくらまし

なんでもないよと なんでもないんだよと

周りの人々を 騙しています

だって空気しか詰まってないって 分かっちゃったら

いろいろと 不都合があるのです だから


あっちでにこにこ

こっちでへらへら

ほかの人に愛想ふりまくのにいそがしく

気が付けば

ぼくはぼく自身にすら 置いてけぼりをくらって

ひとりぼっち


ぼくの形したゴム人形は

人ごみの中を おいっちに さんし

ふと ぼくは

このたくさんの人々も ほんとうは ぼくとおんなじ

空気入れてふくらましただけの ゴム人形 なんじゃないかな

なんて


ぼくはやっぱり ぼくがいなくなると 困る

どうしてって聞かれても 困るけど

やっぱり 困る


まだぼくは ぼくのこと 全部しらない

まだぼくは ぼく自身とはなすこと たくさんある

まだぼくは ぼくを やり終わっていない

だから 困るのです


そうしてめぞめそしながらおふとんに潜り込むと

いつのまにやら

ぼくが 戻ってきて

ぼくに添い寝してくれているのです

日々は そんなふうに すぎてゆくのです

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