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Perfect Day  作者: 高崎 祐
6/22

放課後の日常

「今から10分休憩なー」


顧問の声が響く。

放課後、記録会も近いため、ユニフォームを

着て練習をしている。

今ちょうど、200mの5本が終わったところだ。

ガチな練習のため、なかなかツラい。


「先輩、とりあえずお疲れ様っす」


後輩の凛子が汗をダラダラと流しながら

私に声をかけてきた。


「あぁ、お疲れ」


「心なしか先輩、疲れてないですね」


タフっすね、と凛子は珍しい物でも

見るような目で言う。


「そう?割と疲れてるつもりだけど」


「汗ほとんど出てませんよ」


「じゃあ、きっと私は代謝がよくないんだ」


凛子は、ほー、と額から流れる汗を

拭いながら呟いた。


「奴村」


顧問が手招きをしてきた。

女のクセに妙にガタイのいい身体をしている。

「クセに」と言ったが別に悪い意味で言っている訳ではない。ちなみに若い。


「なんでしょう」


練習の打ち合わせかと思ったが、違った。


「お前、南と仲良かったよな?」


何故奴の名が。


「別にそうでもないです」


「家が昔から隣接してるのにそんなこと

ありえないだろう」


何故知っている。そして先生、小説、

漫画の読み過ぎだ。


「・・・悠介がどうかしたんですか」


「ほう、下の名前で呼んでるのか。

仲いいんだな」


ニヤニヤしながら顧問は言う。


「先生・・・?」


「悪い悪い。冗談だからそう睨むな」


そうだ。さっさと本題を言え。


「南のやつ、この前の総合の時間にやった

作文をまだ出さないんだ。本当は別にいい、

って話なんだが、あの作文どっかに送る

みたいで、締切が今日の6時なんだ。」


それで、と顧問は続ける。


「ヤツの所に行って作文を取ってきてくれ」


「今ですか?」


「そう、今」


時計を見た。今は、5時近くだ。


「あと数分したら練習再開しますけど」


「そこは気にしなくていい。私が許す」


「あいつ書いてない可能性もありますよ」


「そうだったら脅してでも書かせてくれ」


「・・・マジですか?」


「マジだ。時間がない。私もさっき言われて

焦ってるんだ。お前なら、4階の書道室まで

1番早く行けるだろう」


「いるんですか?書道室に」


「あぁ、さっき通りすがった三浦に聞いたが

今日は部活出てるみたいだぞ。もっとも、

今帰られたら非常に困る」


悩む私に顧問が、


「頼む。このままだと北島先生にまたドヤされるんだ。この前も南、国語の作文出してなかったらしくて私が注意された。」


この顧問は私のクラスの担任でもある。

たったそれだけの繋がりで叱られるの

だから先生も被害者だ。


「わかりました。持ってきます。」


そう言うと熱く礼を言われた。


「あれ?先輩どこ行くんですか?」


「ちょっと用事。すぐ戻るから」


私は、校舎へと走りだした。


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