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序章

 少年は荒野を(はし)る。


 ヘルメットの風防に内蔵されたスクリーンごしに色()せた太陽を見る。


 強化炭素繊維で編まれた対Gスーツごしに空気抵抗という形で熱を帯びた風を感じる。


 TFU(Tactical Faint Unit=戦術飛行ユニット)の排気が枯れた草花を(はかな)く散らす。


 TFU────背部と腰部と脚部にブースターが付いている装置で、機動力に劣る魔術師の、唯一無二の騎馬だ。







『G1より各機へ。前方500メートルに敵性反応を確認。用意はいい?』


 ヘルメットのスピーカーから凛とした少女の声がする。


 スクリーンには時速300キロと表示されている。


 まもなく敵と遭遇するだろう。


『G2りょーかい』


 こちらは青年の声。


 今から戦闘だと言うのに、これから夕御飯の食材を市場に買いに行くような気安さだ。


『じ、G3了解』


 少年は青年のように気安く戦場に向かうことはできなかった。


 声は自然と固くなる。





 


 何もない荒野に、異物が1つ。

 

 黒い塊がある。


 いや、それは正確には1つではない。


 黒い塊の正体は敵の艦隊と、TFUを装備した魔術師、魔術猟兵の群れだ。


『G1より各機。敵勢力を目視にて確認。G1とG2は敵勢力を牽制。G3は前に出て対軍行動をせよ』


『G2了解っ』


『G3了解ッ!!』


 3人は編成を解き、散開する。



 


『はっ!!』


 少女は掛け声とともに自分の得物を展開する。


 巨大なレールガンが16丁。


 16丁のレールガンはそれぞれ意思を持つかのように浮遊し、飛行している。


 一斉に鋼鉄の牙を吐き出す。


 ただ独りで1個中隊規模の弾幕を展開する。


 撃破することではなく牽制(けんせい)することが目的なのだが、決して少なくない数の魔術猟兵が鋼鉄の雨の犠牲になる。


────魔術。


 万物を思いのままに操る、人の(ごう)を超えた(わざ)


 科学の対岸にして常識の対極。


 そして魔術師の傲慢の根源────。





 青年はTFUによる高速機動によって敵の弾幕を避けながら、圧縮水素が入ったカプセルを前方に投擲する。


 そして(ふところ)からライターを取りだし、点火。


 火は前へと射出され、カプセルの中の圧縮水素に達する。


 産み出された爆炎は、通常のように周囲に拡散せずに幾条の(ほむら)の蛇となって敵に向かって(ほとばし)る。


 敵に多大な恐怖を植え付けるのと同時に、多くの艦船を焼き払った。


 その結果一時的に弾幕に穴があいた。



 そして少年はその隙を逃さなかった。


 一気に加速し、前面に躍り出る。


 掌を前に。


 掌に、熱を感じる。 


 熱が放てと、全てを壊せと訴えるように掌のなかで暴れる。


────限界まで熱を押さえ込み、そしてすべてを解放した。





 刹那。


 黒い光線が、莫大な熱エネルギーを伴って砲撃される。


 景色が歪む。


 熱エネルギーによって部分的に蜃気楼が発生したからだ。


 それは千の艦船を、百の魔術猟兵を一瞬で蒸発させる。


 それは暴力そのものだった。


 戦力の大部分を削られた敵勢力は撤退していった────。





────幻想荒野。


 これがこの荒野の通称だ。


 三つの大勢力の中間にあるこの荒野は、大陸最大の激戦区である。 


 ここでは崇高な理念も、愛する人への思いも、何もかもがも敵の剣によって無慈悲に散っていく。


 まるで儚い幻想のように。


 それがこの荒野が幻想荒野と呼ばれる由縁だ。


 そしてそこに立つ少この年こそが、後の大陸最強と言われる砲滅元帥カスタトロフィ・インペラートル姫宮空斗(ひめみやそらと)その人である────。

 異世界ものを作りたくて、この「幻想荒野に散れ」を連載することにしました。

 異世界ものといっても、モデルにしているのが近現代なので皆さんが思っている異世界ものとは少し違うかも知れませんがwww   といっても普通に王国やら騎士やらも出てきますけどね。


 この物語が少しでも皆さんの心の琴線に触れたのなら、それは僕にとっての最上の喜びです。



※用語とか多すぎて解らないとかあったら報告お願いします。

出きるだけ善処します。


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