好きと言うまで -8
主人公の災難、解決しました。
ただし、別のことに巻き込まれたような気がする。
私の前に立つ人はジュード様の声で、その場から動けなくなってしまった。
どうやら声を出すことも止められてしまったらしく、ぱくぱくと口を動かすだけだ。
ただ、お嬢様と、その侍女の顔面は蒼白だった。
「お茶をいただこうとお店の前まで来たところ、アイルズバロウ魔道士長と出会いまして・・・・・・すみません、ベルさん。あなたに迷惑をかけてしまいましたね・・・・・」
私の前では、いつもにこやかなジュード様の顔が後悔でゆがんでいる。
そんな顔、見たくないのに・・・・
ジュード様は、お嬢様を見て
「私があなたと付き合ったのは、たったの一度で、あなたのお父上から頼まれたからです。 それすらも、この人と出会うずっと前のはずですが?
ついでに言うなら、私はあなたのような家柄しか誇れないような女性は好みではありません。
ところで、このことは陛下に報告してよろしいですね?ワイラー伯爵令嬢殿。
さらに言うなら私はあなたに名前を呼ぶ許可を与えた覚えはありません。
・・・・・ずいぶん、ふざけたことをしてくれましたね。これは後日が楽しみだ。」とニヤリと笑い冷酷な声で言い放った。
顔面蒼白、泣きそうなお嬢様たちを静止させたまま、ジュード様は私の縄をほどき、当然のように私を抱き上げた。
は?これって「お姫様抱っこ」ですか?!
「ジュード様、おろしていただけないでしょうか。私、重いですし、歩けます。」
「あなたは、まるで羽を抱いているように軽い。意識を失っていたのでしょう?降ろすなんて私には出来ませんよ」
あ、いつものにこやかなジュード様の口調に戻った。
「勘弁してください~。あ!!伯父様!!」
「ランス様からの伝言を頼まれました「今日はゆっくり休め」だそうですよ」
「はあああ???ジュード様がなんで伯父から伝言を?」
「おや、ベルさんのその口調は素ってやつですね?嬉しいなぁ。素の口調が聞けるなんて。ついでに私のことも、様抜きで呼びません?ベル」
・・・・・・ん?今この人、私のこと「ベルさん」じゃなくて「ベル」って言ったよね。
自分のことも「様ぬきで呼んでくれ」とか。
「ジュード様を「様抜き」で呼ぶなんて、できません!」
「呼んで欲しいですねぇ。好きな女性からは」
・・・・・・・は?
今、なんか聞きなれない言葉を聞いたような。気のせいだ、きっと空耳ってやつよね。
「気のせいと思い込もうとしていますね。許しませんよ、ベル」にっこり笑うジュード様。
・・・・・・ダメなのか、気のせいにしたい思い込みはダメなのか・・・・・
読了ありがとうございました。
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甘い雰囲気をどうやって書いたらいいのか、と考えた結果
ベタな少女マンガをイメージしてみたら、なんとかなるのでは?と
書いてみたのですが、いかがでしょうか。