好きと言うまで -7
主人公の災難、続きです。
中途半端な終わり方ですみません。
男女が現れるタイミングといい、もしかして店内から出ない私が外出するまで見張っていたのか。
すごいお嬢様の執念。私は、見張りを命じられた人にちょっと同情してしまった
それにしても、きつく縛られすぎのような気がする。腕が痛い。
帰ったら薬草と治癒魔法かな・・・・これ以上危害を加えられたくないなぁ。
冷静でいられるのは、魔法防止の結界が張られている感覚がなくて、いつでも伯父に連絡できるからで、ずいぶん詰めの甘いお嬢様だ。
とりあえず、伯父に連絡をとった。
<伯父様、ベルです>
<ベル!!時間が過ぎてるというのに来ないから心配してたんだぞ!!>
<実は、いま知らない人たちにさらわれたみたいで・・・・>
<なっ??>
<あの、どうやらジュード・クラドック卿に好意を抱いているお嬢様が、私とジュード様の間を誤解しているようでして>
<・・・・クラドックの若造のせいか・・・・・あの野郎・・・・>
伯父様、声が怖いです・・・・公爵家の次男を「若造」だの「あの野郎」はまずいです、伯父様・・。
<今どこにいる?>
<意識を失っていたので、どこだかよくわかりません。今椅子に縛られてる状態で動けなくて・・・>
・・・・・言ってる途中で伯父が通話を断ち切った。通話魔法から私の居場所を推測してるのだろう。
「本当に、ジュードはあなたなんかのどこがよかったのかしら?身分も家柄もわたくしのほうがふさわしいのに。ふん、何その髪の色は」お嬢様が嘲るように笑った。
「私の容姿はたしかに地味ですけど、髪の色は祖母ゆずりで、それを悪く言われる筋合いはありません」
「わたくしに口答えをする気?そう。その髪の毛はあなたの数少ない自慢のようね。目障りだわ。」
私が口答えしたことがよっぽど腹がたったのか、お嬢様は私にぶつかってきた女性(侍女らしい)に命じてハサミを取り出した。
「パンを焼くときに、そんな長い髪は邪魔よね?わたくしが切ってあげますわ。」髪の毛にハサミが近づき、私は取り乱した。
「や、止めてください!!やだっ!!」
どうしよう、何もできない!!こんなことが起こるなら防御魔法も勉強しとくんだったよ!!ピンチ!!
ふと、そこに低い声が響いてきた。
「ベル・アイルズバロウに害をなすものを制御」
そこには、いつも涼しげな顔をしているジュード様が息を乱して怒りの表情をにじませ立っていた。
読了ありがとうございました。
誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。
ジュード・クラドック卿の表記ですが、以前は「クラドック卿」と書いていましたが、彼は爵位を持つ家の次男ですので、以後「ジュード卿」に統一します。
★姓に「卿(Lord)」を付けて呼ぶのは長男とされているため、次男は名前に「卿」を付けて呼ぶ方が正しいとされている(「ウィキペディア/ピーター・ウィムジィ卿の項」より」の記事を参考にしました。