An event to marriage-4:親族と会う-ジュード兄編
どうも最終章に入ると長くなりがちです。
また長いです。
2週間はあっという間に過ぎていき、お兄さん夫妻を訪ねる日がきた。
朝に焼いたナッツとオレンジのケーキを包装し、迎えに来たジュードと一緒に店を出て歩いて向かう。
「緊張してる?」
「少し・・・いえ、結構してます」
「大丈夫。いつものベルで大丈夫だよ。」とジュードは私の手を軽く握った。
「はい」不思議。なんだか落ち着いてきたみたい。
お兄さん夫妻は公爵家とは住まいが別らしく、案内されたのは王宮そばの文官住宅。てっきり公爵家の屋敷に住んでいるのかと思った。
「文官住宅にお住まいなのですか?」思わずジュードに聞く。
「兄は宰相府の役人なんだ。実家はちょっと距離があるからと、ここに住んでる。」
ドアベルを鳴らすと、ドアが開いて中から群青色の髪の毛でメガネをかけた男の人が顔を出した。メガネの奥の瞳の色は青緑。
「いらっしゃい、ベル・アイルズバロウさんですね?お待ちしてました。待ってたぞジュード。さあ、中へどうぞ」にっこり笑った顔が、ジュードと似てる。
応接間は薄いグリーンと茶色で統一されていて、落ち着いた感じ。
「まずは、自己紹介しましょうか。私はジュードの兄でピーター・クラドックです。
どうぞピーターと呼んでください。親しい人間は皆ピーターと呼ぶのでね。
申しわけないのだが、妻は、急に仕事が入ってしまってね。でも、さっき図書館を出たと連絡があったからすぐ帰ってきますから」
「はじめまして。ベル・アイルズバロウと申します。あの、今朝、焼いてきたのですが、よろしければお二人で食べてください。」私はケーキをピーターさんに渡した。
ピーターさんは「これがベルカフェのケーキですか。妻が美味しいと絶賛しているので、食べてみたかったんです。」
ん?ということは、奥様はうちのカフェに来たことがある人?
さっそく切ってきますね。と、ピーターさんが席をたったときに「ただいまー!!」とドアが開いて栗色の髪の毛に銀灰色の瞳の女性が入ってきた。
「ごめんなさい、遅くなって。本当は休みだったはずなのに、急遽出勤になってしまって・・・と、あら、いらっしゃいジュード。こんにちは、ベル」とこちらを見てにっこり笑った女性・・・・あれ?この人。
「あの・・・常連の方ですか?もしかして」
「顔を覚えていてくれて嬉しいわ!いつもお茶の時間に長居してしまって、ごめんなさいね。一応ジュードが来る3の時は遠慮してたの。」といたずらっぽく笑う。
「改めて、始めまして。ピーターの妻のハリエットです。嬉しいわ。ベルが私の義妹になるなんて。」とハリエットさんはにっこり笑った。
「おかえり、ハリエット。きみが着替えてる間にお茶を入れておくからね」
「ありがとう、ピーター。じゃ、ちょっと着替えてくるわね」
ピーターさんはケーキを持って台所へ、ハリエットさんは別の部屋へそれぞれ移動していった。
後に残された私たちは、ソファに座ったまま二人を待つことになった。
「そういえば、ピーターさんがお茶を入れるって先ほどおっしゃっていましたね」
「ああ、それは・・・」とジュードが言いかけたとき、ブラウスとスカートに着替えたハリエットさんが応接間に入ってきた。
「お待たせして、ごめんなさいね。ベル、うちはねピーターの手が空いてるときは、彼がお茶を入れてくれるの。私もお茶を入れることがあるけど、ピーターの入れたお茶にはかなわないわね。」と、ハリエットさんは、椅子に座る。
「ベル、兄の趣味というか、隠れた特技がお茶を入れることなんだ」と言いかけた続きをジュードが教えてくれた。
程なく、「お待たせしました。」とピーターさんが切り分けたケーキと、いい香りのお茶を入れて部屋に入ってきた。
確かに、ピーターさんの入れるお茶は「最高」の美味しさ!
カフェの経営者として、これはコツを伝授してもらわなくては!!と意気込んだ私に、ピーターさんはきちんと紅茶を入れるときのルールを守ることと「相手への心からの愛情ですよ。今はハリエットを思って入れてますから。」とさらっと言った。
「ピーター、そういうことをサラッと言わないでよ。ベル、この兄弟は、こういう甘いことをサラッと言うから今のうちに耐性をつけておいたほうがいいわよ」
顔を少し赤らめたハリエットさんが言う。
ハリエットさん、もうサラッと言われています。・・・・やっぱり耐性つけないとだめなんですね・・・。
読了ありがとうございました。
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