An event to marriage-3:今後についての話し合い-新居決め
少し長いです。
「ベルの仕事の件は解決。あとは今後の住まいだね」そういうと、ジュードはお茶を飲んだ。
普段、ジュードは騎士団の独身者用宿舎、私は店の2階で暮らしている。
お店自体も小さいので、2階の部屋も二人暮らしに向いているか、というと微妙なところ。王宮で働くジュードと王宮近くの旧市街に店を持つ私。
「やっぱり、王宮の近くだよね」
「お兄様夫妻のように、家族用住宅でいいのではないでしょうか。確か王宮の隣に武官住宅ありましたよね。」
「・・・・仕事以外で王宮にいたくない・・・それに、俺の相手がベルだと判明してから、この店、魔法騎士団の客が増えたでしょう?武官住宅に引っ越してきたら来客が増えて落ち着かない。」
確かに、ここのところ店に魔法騎士団の制服が増えたのよね。アデルは「魔法騎士団の男性ばっかり。眼福。」って喜んでたなあ。
私は知らなかったけど「宰相府、魔法騎士団、魔道士団はハンサムなエリート男子が多いので王国の女性たちには絶大な人気がある」とアデルが言ってたっけ。クリス兄ってハンサムでエリートの部類だったのか。見慣れてるとよくわからないな。
「はい。おかげで店の売上げがアップしました。ありがとうございます」
「・・・・そこ?ベルにはかなわないな。」ジュードは笑った。
「それで、家なんだけど何件か候補を持ってきたんだ。まず二人が家から出てそれぞれの職場まで歩いていけることが大前提。俺はともかく、ベルは絶対店まで徒歩圏内で道が明るくなきゃ俺が心配だし・・・・」と言いながら何件か見て行く。
一番目を引いたのは、旧市街にある家。2階建てで1階に部屋が4つ。2階に3つ。店のある通りから1つ先の場所だ。店まで極端に遠くない。
王宮通り寄りのほうだから、王宮に近いかも。日当たり良好で書類でみた限り設備もよさそうだ。値段も悪くない。
「ジュード、この旧市街にある家の実物を見てみたいですね」と私は書類を差し出した。
「俺も、その家が一番いいと思うんだよね。二人ともの職場に近いしね。今から見に行ってみる?」
「え。だって、不動産屋さんに都合を聞いてみないと。」
「大丈夫。実はベルが絶対ここがいいと言うと思って、鍵を預かってきたんだ」と鍵を見せてきた。
これで、私が違う家を選んだら、どうするともりだったんだろう・・・・?
ジュードは、あっけにとられた顔の私を見て「ほら、紙で見せた物件の鍵、全部預かってきたから。」ニヤリと笑って複数の鍵を見せた。
実際に見た家は、外見は私の店と変わらない壁の色で、えんじ色の窓枠と屋根。中もきちんとしている。家具は取り付けてあるらしく、こげ茶色の私の好きな年代の家具だ。掃除をすればすぐに住めるようになっていた。
「気に入った?」ジュードがにっこり笑った。
「はい。とても」私もにっこり笑った。
こうして、私たちの新居は決まったのだった。
後日、家に取り付けてあると思っていた家具は、実はジュードが私の家族と密かに連絡をとって私の好きな年代の家具で買い揃えを頼んで取り付けてもらったと聞いて驚いた。
お金を払う、という私にジュードは「ベルは豪華な宝石やドレスは、いつもいらないって言うだろう?だから、これくらいはプレゼントさせてほしいな」と子犬のような目をして言われてしまい、何も言えなくなってしまった。
読了ありがとうございました。
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次回、ジュードのお兄さんが登場です。