An event to marriage-2:今後についての話し合い
サブタイトルが長い。
とほほ。
プロポーズしてからというもの、ジュードは仕事の都合がつくと私の店にきて夕食をともにし、ときには朝の出勤時間に合わせて帰っていくようになった。
夕飯を終えて、二人でお茶を飲んでまったりしているときにジュードが口を開いた。
「ベルは、結婚してもお店を続けたい?」
まるで、私の聞きたいことを知ってたみたい。私はジュードに「お店を続けたい」と伝えようと思っていたから。
「続けたいです。私、自分のつくったお菓子やパンを食べて幸せな気分になっている人を見られるこの仕事が好きです」
「俺は、ベルが無理じゃないなら仕事を続けてほしいと思ってる。カフェで働いているときのベルは、とても生き生きしてて、仕事を心の底から楽しんでいるのがわかるから。その雰囲気が周囲に伝わっているから、お店も繁盛してるんじゃないかな」
「いいの?ジュードの仕事に差し障りがあるのなら閉店も考えたの、実は。」
ジュードはマグをテーブルに置いて、私の肩を抱く。
「俺の仕事に差し障りがあるわけないでしょう?だって、お茶を飲むついでに愛する妻の顔を仕事中に見に行けるんだよ?夜まで見られないよりずっといいじゃないか。」
ジュードは「愛する」とかさらっと言う。そういうセリフに私はいまだに慣れることができない。
「ジュードの家族の方に、いろいろ言われませんか?」
「大丈夫。言われないよ。」
「え?」
「俺の義理の姉は、王立図書館で司書をしてるんだ。子供が産まれても仕事は辞めないって宣言してるし、兄のほうも喜んで応援してる。ついでにいうなら貴族のお嬢様じゃない。義姉さんの実家は王都で商売をしているんだ。
両親は、兄と義姉が結婚するときに、母は義姉が貴族じゃないうえに、仕事を辞めないって言うので反対し、なぜかめったに会わない遠い親族までが母に同意して異議を唱えてきてさ。
血縁の濃い親族たちはとっくに亡くなってる。ほとんど血縁のない人間が反対して何の意味があるんだか。父が怒って、親戚たちとは疎遠になったんだ。
無事に二人は結婚して、とても幸せみたいだし、父も俺も親戚たちと疎遠になって清々してるんだ」何を思い出したのか、ジュードがニヤリと笑う。
「そうだ。俺の両親に会う前に、兄夫婦に会ってみる?」
「え!!お兄さん夫妻にですか?」
「そう。ベルのことは間違いなく気に入るよ。たぶん、義姉のほうは見たことあるんじゃないかな」
ジュードはますます笑顔で言う。
私が見たことある人?うーん、図書館かな。それともカフェに来たことがあるのかな。
ジュードは考え込んでしまった私をみて、「大丈夫。俺たちの強力な味方になってくれるよ。今度休みが合うのは・・・・2週間後だね。よし、兄たちに会いに行こう。大丈夫、楽しい人たちだから」と今度は優しく笑ってキスをした。
なんか、店を続けることができるのは嬉しいけど・・・・ジュードのお兄さん夫婦に会うことが決まっちゃったよ・・・。
このあと、1話「新居探し編」のあとに、お兄さん夫妻が登場です。
まずは自分たちで今後のプランを立てた後に、家族へ挨拶のほうが流れがいいかな~と思いまして。