好きと言うまで -2
ヒーローが登場です。
が。名乗ってません・・・・
店は3の時を過ぎると、のんびりする。
よほど忙しくなければ、ここから6の時の閉店までは一人で充分だ。
3の時過ぎにお店に来る人は、カフェでくつろぐ人が多い。
お茶にはクッキーが必要だろう、という私の好みゆえなのだけれど店ではお茶を頼んだお客様には必ず、クッキーを2枚つけるようにしている。
お客様には好評らしく残す人はいない。
この日も、店は閑散としていて私もこのさいとばかりに洗い物を片付けることにした。
しばらくして、ドアベルが音を立てた。
洗い物を中断して顔を上げると、店内に一人の男の人が立っていた。
私の店には、王都で魔法騎士として働く2番目の兄クリス・アイルズバロウが時々・・・というか週に1度は必ず来て、あらゆる防御魔法をかけて満足げに帰っていく。
そういえば、クリス兄は「ベルに悪意を持つ全てのものの侵入を許さない、害虫を完全防御、自然災害の防御・・・思いつくもの全部かけてあるからな。万全だぞ~♪」と浮き浮きしてたっけ。
この男の人は初来店だけど、普通に店内に入ったということは、悪意はないんだろうな。
群青色の髪の毛は肩甲骨くらいの長さを首あたりで一まとめにしてたらしてる。瞳の色は青緑色。ちょっと冷たい感じのハンサムで、こりゃあ、モテモテの顔だな。
「あなたがベル・アイルズバロウさんですか?」
男の人は、なんの前置きもなしにいきなり本人かどうかを確認してきた。
む。なんだこの人。が、ここは店内。愛想よくだ。
「はい。そうですが・・・・あの、どちら様でしょうか」
男の人は、「クリス・アイルズバロウから、あなたの店に防御魔法をかけるように頼まれまして」
「・・・え、兄から? ・・・ちょっと、待ってください。あの、いま確認しますから」と私は言ってクリス兄へ通話魔法で呼びかけた。
<クリス兄様、ベルです>
<・・・お~ベル。どうした?>
<今、店にクリス兄に頼まれたから店に防御魔法をかけに来たっていう男の人が来てるよ。
長い群青色の髪の毛でね~>
<なんだって!!!それって・・・・!すぐにそっち行くから、その人引き止めておけ!>
クリス兄様はあわてて通話を断ち切った。
引き止めておけって・・・・とりあえず、この人にお茶を出しましょうか。
読了ありがとうございました。
誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。
時間や曜日の概念ですが、作者は根っからの面倒くさがりなので
異世界とはいえ、日本と同じにしてしまいました。
本当は、もっとこう異世界っぽくしたかったのですが・・・無理~。
せいぜい、1~12時を
1の時、2の時って考えたくらいです・・・・
すみません。