ふたりは恋人 –12
らぶらぶモード・・・のつもり。
治療院のバザーは、今年も天気に恵まれて人がたくさん訪れている。
バザー会場で、思わぬ掘り出し物を見つけて喜ぶ人、模擬店で何を食べようか迷っている親子連れ、ゲームを楽しむ子供たち。
会場で、私はクッキーとケーキの小ぶりな詰め合わせを販売。ジュードはボールプールで行われている宝探しの監督。ジュードは初めてで戸惑うかと思ったら意外と様になっている。
私はといえば、お菓子を購入していく人たちから同じことを言われていた。
「ベルちゃん、あの宝探しの男の人、彼氏なんだって?ノーラから聞いたわよ~~。」
ノーラの部分がリサに変わるだけで、言ってることはほぼ同じ。どこまで広めたんだ・・・祖母&母・・・・・。
ようやく、私の当番が終わり販売を母に交代。「ジュードも交代したみたいだから、二人で見てきなさいよ。あとは最後まで楽しんでいていいから♪」となぜかウキウキしている母に押されて、私はジュードのところへ行った。
ジュードのところへ行くと、渋い顔をしたユアン兄に見送られているところだった。
二人で会場を見て歩くことにする。
「ジュードも交代したところですか?」
「そう。ベルも?」
「はい。それで一緒に会場を見ようかと思って」
「うん。俺もあちこち見たいと思ってた。こういう賑やかな催しは楽しいね。」
「ちゃんと子供たちを監督してたのが意外でした。あまり子供たちと触れ合ったことないでしょう?」
「確かに。でもね、騎士団に毎年見習いが入ってくるから監督の仕方はなんとなく同じだよ」
模擬店で食べ物を買って、会場を回ってみる。あちこちから「ベルちゃん、彼氏かい?かっこいいじゃないの」とか「ベルちゃんを大事にしないと、治療院の先生方が怒るから気をつけなよ」とか言われてしまって、ちょっと恥ずかしい。
「すみません、みなさん小さい頃からの知り合いで・・・」
「俺も監督してるときに、子供たちから“おにいちゃんは、ベルおねえちゃんと、ままとぱぱみたいになるの~?”と聞かれたよ。」と笑うジュード。
「うわああ・・・ほんっと、すみません。」
子供たち、ジュードを困らせないでほしい。
私とジュードが「ぱぱとまま」・・・・そ、想像すると照れてしまうっ!!
顔が赤くなった私を見てジュードは楽しそうに笑っている。
読了ありがとうございました。
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治療院は郊外にあって、地域密着型。皆が知り合いみたいなイメージです。




