表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
渡時過行  作者: いせゆも
1/48

全てが始まり

 ある温かな家族。なんてことない普通の団欒。いつも通りのふざけ合い。

 無理だって。ユキが大きくなったって、菜瀧には絶対に行けないって、

 そんなことないもん! 頭もよくなって、お兄ちゃんなんかコテンパンにしちゃうんだから! 早く大人になってやる!

 食事時だというのに、四人家族のうちの一人、妹は、まだ食器におかずが僅かに残っているというのに、椅子を飛び降り、リビングを飛び出した。その姿はさながら弾丸。所属しているスポーツクラブでは、これこそが最大の武器な妹だ。

 困ったことに妹は、反論できなくなるとこうして自分の部屋に閉じこもってしまうのだ。ちなみに残してあるおかずは、全て嫌いな食べ物。食べないぞという意思が込められていたりもする。家族は全員知っているから、父も母も兄も皆、微笑ましく見守る。

 けれど、不機嫌になるのは妹だ。こうなってしまった以上、誰かが呼びに行かねばなるまい。今回は妹を怒らせた張本人の、兄が慰めにいくことになった。「やれやれ、困ったやつだなあ、ユキは」なんて、まるで他人事。けれど、兄も楽しくて妹をからかっているのだから世話はない。

 兄も、妹と同じ進路を通って、妹の部屋へ行く。

 その途中、ドシンと大きな音が、夜のマンションを襲う。

 まさかユキがなにかやったな? と兄は思いながら、ドアをノックする。反応はなし。ドアノブを捻って押しても、開かない。立て付けが悪いのだ。要領よく力を込め、ゆっくりと妹の空間へ侵入すると。


 大きくなった妹が、そこで倒れていた。



・・・

・・


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ