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紅き軍靴は少女に微笑む  作者: フローレンス
1章 大戦のはじまり
4/51

座学

翌日からは、午前が座学、午後が実技訓練というスケジュールが続いた。


 


 教室は簡素な石造り。窓もなく、閉塞感が漂う空間。

 黒板ではなく、魔導スレートに記された戦術図。

 兵士の卵たちが眠そうにそれを見つめる中、リシアだけは一字一句を頭に刻んでいた。


 


「ヴェルン。戦術問題に答えろ。敵軍が右翼を突出させてきた場合の基本対応は?」


「前線を後退させ、中央突破を誘導しつつ左右に罠を展開。可能なら、突出部を迂回殲滅」


「……正解だ」


 


 教官の目が細まる。


 


 この少女、ただの“速い兵士”ではない。

 明らかに、知識と実戦感覚を伴っている。


 


「次。魔導通信の仕組みと盲点について」


「魔素粒子は高魔力空間では乱れやすく、通信阻害を受ける。代替には光波通信か、中継符を使用」


 


 またしても即答。


 


 他の兵士たちが彼女を見る目が変わっていく。

 恐れと、畏れと、そして――小さな警戒。


 


 ただの孤児が答えられる範囲ではない。


 


 リシアは無表情のまま、淡々と答えていた。

 この世界の理屈も、魔導の法則も、記憶力と論理的思考があればすぐに飲み込めた。


 


(思った通り。基礎座学は、むしろ現代日本の高校教育より緩い)


 


 座学でも突出し、実技でも圧倒する。

 リシア・ヴェルンは、訓練所の中で“異常値”として浮かび上がっていく。



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