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かえる

作者: あお

 私はかえる。

 家に帰る。土に還る。ひっくり返る。

 

 ガマガエル、ウシガエル、アマガエル。

 私はかえる。ガエルではない。


 着替えるではある。着替えるには、まず服を着なければならない。明るい服、暗い服。派手だったり、意地悪だったり。面白くても、無口でも。自分に合った服を着てみよう。似合わなかったら着替えればいい。素直な気持ちが大切です。

 ただ、裸の姿も魅力的。派手な羽で着飾るのもいいかもしれないが、皆同じで個性がない。その割に、集まると強者面をする。多勢に無勢。それでも私は裸でお腹を膨らます。ゲコゲコ。


 私はかえる。家に帰る。

 学校に行きます。仕事に行きます。買い物に遊びに。おはようの人もお休みの人も、みんなに生活があって、嬉しいことも悲しいことも、一人一人にドラマがある。それぞれが主人公であり、脇役だ。

 他人の幸せが羨ましい。比較などする必要もないのに。そのような時は我に返る。お父さん、お母さん、私を産んで育ててくれてありがとう。蛙の子は蛙。私は十分に幸せです。

 色々な情報が飛び交っている。知った方がいいこと、知らなくてもいいこと。案外、井の中にいて何も知らないのも悪くないかも。疲れたので家に帰る。


 家に帰ったので、ビールで一息つきたいところだが、飲めません。かえるなので。下戸下戸。

 でもやっぱり飲んでみたいので、くっと一口いってみると、そのままひっくり返る。そして朝になる。


 今日は朝から機嫌がいい。占いが一位で、快腸で、ベランダの花が咲いてる。古池にでも飛び込んてみようかしら。どんな音が鳴るのだろう。

 いい事が続くと不安になる。なぜかというと、死亡frog……、

 以前、山椒魚が岩穴から出れなくなったのを見に行った友人が、それっきり帰ってこない。どうしたのかな。


 蛇に見込まれ、どうしようもない時がある。怖い、逃げ出したい、泣き叫びたい。ついには車に潰されてしまう。するとなぜだか安堵する。これで終わりだ、何もしなくていいんだ。

 それでも気になってしまう。このままでいいのか。まだやれることがあるのではないか。方法なんて思いつかない。とにかくまずは生き返る。たとえこの後、潰されても。何度だって蘇る。


 私はかえる。お別れの時です。ぴょんぴょん跳ねて遠くのところへ。

 振り返る。手を振る。


 それではみなさん、さようなら。



 


 

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