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新年明けました!


人によってめでたかったりめでたくなかったりすると思うので、おめでとうとは言いません!!


いつも通りのちょこちょこ更新です。



私もルイザさんの隣に腰を下ろして尋ねる。


「体力のつけ方を教えてください!」

「体力?筋力じゃなくて?」

まぁ、ルイザさんにわざわざ聞きにきたんだからそうなるよね。


私の知る体力作りは、ランニングなどの有酸素運動だ。

走ったりして疲れても頑張って走り続けているうちに、体力が付くんじゃないかと思っている。


でも訓練が始まる前にルイザさんに回復しても筋力つくよって言われて、調子に乗って回復しまくってしまった。

おかげで前半の体力トレーニングの時間に、全然疲れる事がなかったのだ。


ルイザさんが意地悪で言ったわけじゃないのはわかるけど、この先もこの方法でトレーニングしていたら体力が付かないままなんてこともあり得る。

だから今のうちにちゃんとした体力の付け方を教わらなきゃいけない。


そして何よりルイザさんは筋トレマニアなだけじゃなくて、その筋トレをするだけの体力を持っている。

これはもう効率的な体力向上術を知っているに違いない、そう言うわけでルイザさんに聞きにきたのだ。


「リリィちゃんが言ってる体力ってのは、持久力の事で合ってる?生命力の事を言ってるんだったら私は力になれないよ?」

「生命力…ですか?」

生命力って何だ?私に足りないのはスタミナだから持久力で合ってる気がするけど…


「生命力って言うのはそのままの意味だよ。どんなに殴られても、倒れないような人は生命力が高いって言われてるね。逆に数度殴られただけで、気絶するような人は生命力が低いって言われる。」

なんだかHPの話をしているような気がする、この世界にもHPの概念があったのか。


「そして生命力ってのは鍛える事が出来ないんだよ、私だって頭を何度も殴られれば気絶しちゃうからね。まぁこれでも私は騎士だから、生命力が高いはずだけど無限には耐えられないよ。」

騎士は他の人よりも生命力が高いのだろうか、騎士のジョブが無いから良くわからない。


「リリィちゃんも他のジョブになれば生命力を上げられるかもしれないけど、せっかく聖職についているんだし他のジョブになろうなんて思ってないんでしょ?そうなると後はマジックアイテムくらいしか生命力を上げる手段が無いから、私にはお手上げだね。」

マジックアイテムってのがあれば生命力が増やせたりするのか、ふむふむ。


ルイザさんは私が他のジョブにならないと思っているようだけど、場合によっては他のジョブのふりをしようと思っていた。

もしかしたら聖職者ってのは私が思っているよりレアな職業なのだろうか?

今までは大っぴらに信徒と言ってきたけど、これからはただの治癒師と名乗った方が良いかもしれない。



「それでリリィちゃんが言う体力ってのは持久力の事でいいんだよね?」

「あ、はい。持久力の事です!」

生命力とか聖職者の事は置いといて今は持久力だ、その為に来たんだし。


「持久力に自信が無いってだけなら、私からのアドバイスは特にないよ。トレーニングを続ければ持久力もついて来るからね。」

「ほんとに大丈夫でしょうか、だってさっき…」

さっき少年に負けた話をする。


「さっきのは私も見させてもらってたよ。だから余計に生命力かと思ったんだけど、ドジって転んだんじゃなくて疲れて転んじゃったんだね。それは確かに持久力不足かもしれないけど大丈夫だよ、まだトレーニング初めてばかりなんだしそのうち持久力もつくさ。」

随分と簡単にいってくれるけど、この自信は何なんだ?


また生命力とか言ってるし、転んで頭を殴られたくらいじゃ気絶なんかしないでしょ。

まぁ身体が頑丈ってのはさっき知った事実だけど、この世界の人達が皆そうだとしたら私の事をこんなに心配しているのはちょっと変な気がする。


「リリィちゃんは何か勘違いをしてるみたいだけど、筋力も持久力も体力の一部だからね?トレーニングをして筋力だけが付くなんて事はないよ。もちろん筋肥大もするけどそれ以外にも筋持久力や心配能力も向上して、心配持久力が付くようになるはずさ。」

うわ…ジムのトレーナーさんみたいな専門用語が出てきた。


「リリィちゃんはスキルで回復出来るんだし、私達みたいに回復を待つ必要が無い分体力向上は速いんだ。何を心配しているのか分からないけど、焦らなくてもすぐに持久力も付くよ。」

えっと、つまり回復しまくっても大丈夫って事…だよね?


「それでもまだ心配なら、太ももを中心にトレーニングをしたらいいんじゃないかな。太ももは身体の中で一番大きな筋肉だから…」

まずいまずい、ほんとにトレーナーさんみたいになってきた。

通っていたジムの人も太ももが大事みたいな事を言っていたけど、別に筋肉に詳しくなりたいわけじゃない話題を変えなきゃ。


「えっと、さっき生命力の心配をしていたみたいですけどどうしてですか?さっきの手合わせを見ていたならわかると思いますけど、一発殴られただけでしたよね?」

「え?あぁ…。確かに一発しか食らっていないけど、かなりいいのを貰っていたでしょ。」

よし、話題を変えられたようだ。


「リリィちゃんはただの棒を使っていたけど、相手の子は木剣を使っていただろ?アレは相当痛いはずだからね。」

ん?木剣って剣の形をした木の棒じゃないの?

それにやられたのは脇差みたいな短い剣の方だ。


「ちょっと何本か持って来てくれる?」

ルイザさんが騎士さんに指示して送り出した。

木剣を持って来てもらうのかな?


しばらくして騎士さんが木剣を4本持って来てくれた。

私とルイザさんの話を聞いていたみたいで、1m位の木剣と半分よりちょっと長い60cm位の木剣がそれぞれ2本ずつだ。

確か少年が使ってた木剣はこんな感じだった。


「ありがとう、いいね完璧。あとはこの子が持ってるくらいの棒もおねがい。」

立ち上がったルイザさんが木剣を受け取り、一本ずつ振ってからそう言った。

棒ってのは私の棒と比べるって事なのかな?

そう言えばさっき使った棒を持ってきちゃってた、なんなら腕に付けた板もそのままだ。


「ちょうど良いしその板を使おうか。リリィちゃんその腕についてるやつ貸してもらえる?」

「あ、その…勝手に付けられちゃったので外し方がわからなくて…」

ルイザさんは一瞬変な顔をしてから、笑いながら板を外してくれた。


「自分でつけられなかったら意味ないじゃない、きっとキアン君の的にされたんだね。まぁそれでも事実勝ちだったし、リリィちゃんセンスあるよ。」

やっぱり的にされてたらしい、あの騎士さんは丁寧に教えてくれたけどそんな意図もあったのか。


「キアン君はサーティの騎士団推薦で学校に通う予定だから、みんな期待してるんだよ。ずっと騎士と戦わせる訳にもいかないし、リリィちゃんは相手にちょうど良かったのかもね。」

あの少年は有望な子だったのか、探検者相手は危ないけど私程度なら問題ないって事かな?


「さて、それじゃあこの木でこの板を叩いてみて。」

板を外し終えたルイザさんが木剣を渡しながらそう言ってくる。

短い方の剣だ、これならまっすぐ振り下ろせる。


「思いっきりやっても良いからねー。」

「はい、行きます!」

ルイザさんの持った木の板目掛けて、木剣を振り下ろす。

コーンという気持ちいい音を響かせて、私の攻撃が弾かれた。


「まぁ、こんなもんかな。じゃあ、次はこれね。」

今度も同じサイズの木剣を渡してくる。

片手にはさっきの剣があるので反対の手で受け取った。


「えっ?」

さっき使ったのと違いずっしりと重い、見た目は同じなのに片手じゃ振れそうにない。

無骨バットより短いのに、あれより重いかも?


「さあ、それでもう一度だよ!」

「あ、はい…」

とは言え片手じゃ無理だ、両手で持って振り下ろす。


今度はバキッっという音がして板にヒビが入る、弾かれることもなかった。

ルイザさんはウンウンと頷いてからポイっと板を放り投げた。


「流石に壊せなかったかぁ、でも全然違うのわかったでしょ?キアン君が使ってたのは、この木剣なんだよ。」

「こ、こんなので人の頭殴っちゃダメだと思います!」

板がバキッって…こんなの危険すぎる。


「でも本物の武器ってのは重たいものなんだよ、軽いもので練習してたって使えるようにならないでしょ?」

「それはそうかもしれませんけど…」


「はい、次はこれ持ってみて。多分リリィちゃんじゃ振れないから、持ってみるだけでいいよ。」

今度は長い方の木剣を2本同時に手渡される。


軽い方はなんとか持てたが重い方は地面についてしまった。

重いのを手渡された方が利き手なのに、全く持ち上げる事ができない。

むぐぐ…重い…


「はい、お疲れ様。じゃあ最後にこれ持ってみてね。」

私の両手から木剣を回収したと思ったら、今度は木の棒を渡してきた。

いつのまにか騎士さんが持ってきていたらしい。

きっとこれも重いんだろう、しっかり両手で受け取る。


確かに重いけど両手なら持てないこともない感じだ、剣よりも長いはずなのに細いからかな?

これなら使えるかもと思い、構えを取って突き出してみる。

突き出すまでは上手く行ったのに、引き戻せずに棒の先っちょが地面についてしまった。


「うーん、残念。」

ルイザさんがそう言いながら手を出してきたので棒を手渡す。

受け取った棒を持ち直した後、おもむろに棒を投げる。


バギャンというあり得ない音を立てて、棒は地面に突き刺さった。

棒の刺さった場所を見ると、さっきの板が粉々になっている。

あれを狙って投げたみたいだ、もちろん片手で…


ルイザさんの方を向くと、変な決めポーズをしながら私のことを見ている。

もしかして「すごーい」とか言われるのを待っているんだろうか。

いや、普通にドン引きなんだけど…



その後はなぜか一緒に筋トレをさせられた。

結局私は体力不足って判断されたようだ。

もちろん生命力ではなく、体の力の方。


ルイザさんの話だと持久力も付くって話だから、おとなしく筋トレに付き合っている。

いまいち納得できないが、そもそも私の知ってる世界じゃないしこの世界ではそういうものだと思うしかない。


生命力の件もそうだ。

あんなもので殴られたのに死なない時点で、真面目に考えるだけ無駄だ。

郷に入っては郷に従え、今はとにかく筋トレすべし。


今日の訓練でわかったのは、とにかく私が弱いってことだ。

生命力は鍛えられないって言っておきながら、私の事を心配してたってことは体力で生命力をカバー出来るって事だろう。


ルイザさんは昨日の時点で私がひ弱なのを知っている。

体力が無いときっと防御力的なのも低いんだ。

筋トレするだけで生存率が上がるなら、いくらでも筋トレしてやる!


「あれ?」

「リリィちゃんどうしたの?」

今更だけどおかしなことに気づく、ルイザさんって全然マッチョじゃ無くない?











いつも『ダンジョンと白の魔女』を読んで頂いてありがとうございます。


これからも皆さんに面白いと思ってもらえるようなお話を書けるように頑張っていきますので、応援していただけると嬉しいです。

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