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駅馬車

さて次は地図だ。

お姉さん曰くあっちの壁に街の地図があるはずだ。

壁際に行くと大きな地図があった。


ほんとに街全体が十字になっているんだ、って事は中央にあるのが役所だね。

お店とかは全部中央道路沿いにあるみたいで、雑貨屋さんは北東ブロックにあるらしい。

私の泊まっている宿屋さんは南西ブロックって言ってたから多分これかな。


そんな感じでめぼしいお店に当たりを付けていく。

ふむふむ…

大体把握できたので記憶を頼りに今度は雑貨屋さんへ向かうことにする。



役所を出て東の方へ向かって歩く。

しばらくするとそれっぽい建物を発見した。

多分これかな?2階建ての普通の建物だ。

宿屋さんみたいに壁から生えた看板には、リュックのようなマークが描いてある。


1階が店舗で2階が住まいとかかな?

それじゃ早速入店だっ!


〈カランコロン〉

扉を開けるとドアベルが音を奏でる。


中に入ると左右と正面の壁がすべて棚になっていて。

それを守るかのようにカウンターがコの字に繋がっている。

商品は見れるけど直接触れないって感じだ。


カウンター奥にお店の人の姿は無いが、正面のカウンターに卓上ベルが置いてある。

御用の際はお呼びくださいって事かな。

じゃあドアベルいらなくない?まぁいいか。


私はアパレルショップとかで店員さんが居ると落ち着いて物色できないタイプだし、お店の人が居ないうちにどんな物が置いてあるのか見させてもらおう。

とりあえず、タオルや手ぬぐいみたいな物を探してみる。

水を出せてもタオルが無くちゃ顔も洗えないもんね。


何だかそれっぽい物はあるけど、折りたたんであるからサイズ感がわからないなぁ。

実際に持ってみないと質感もわからないし…

タオルは後回しで他の物を見てみようかな!


その後も手ごろな袋やペンやノートみたいな物を見つけたが、やっぱり手に取らないと全然わからない。

困った…。


〈チーン!〉


「お待たせいたしました、必要な商品は見つかりましたでしょうか?」

結局卓上ベルを鳴らしてお店の人を呼んでしまった。

商品を見ている間も奥の方から人の気配はあったし、私みたいのがじっくり見れるようにしてくれたのかな。

良い店主さんだ。


職業はアイテム商人ではなく、ただの商人さんだった。

アイテムを取り扱ってないお店だし、そりゃそうか。


「すみません、商品を手に取ってみる事って出来ますか?」

「もちろんです、どの商品でしょうか。」

あ、手に持っても良いらしい。

最初からお店の人呼んだ方が良かったかも?




「ありがとうございました、またのご来店をお待ちしております。」

〈カランコロン〉


「ふぅ~、結構買っちゃったなぁ。」

猫リュックを置いてきちゃったから、ショルダーバッグも買ってしまった。

ビニール袋とかあるわけないし、紙袋に入れてくれたりもなかった。

手ぶらで買い物出来てたのって凄い事だったんだ。

結構大きめの鞄なのにパンパンになっちゃったし、とりあえず一旦ホテルに戻る事にする。



「猫ちゃんただいまー」

猫リュックの頭をひと撫でして、バッグをベッドに降ろす。

買った物を一通り並べてみるとこんな感じだ。


・ショルダーバッグ

キャンバスっぽい多分麻の鞄。

(同じくらいのサイズで良い感じの革のバッグもあったけど、高いし重かったのでこっちにした。)


・食器色々

(飯盒みたいな物にちっちゃいお皿、フォークやスプーンなどが入ってる。すべて木製。)


・筆記用具

鉛筆っぽい物。紙の束とそれを挟んでおく木の板。

(革製カバーが付いた良い感じのノートもあったが以下略。)


・小型のナイフ

(ほんとにちっちゃなナイフ、ちゃんと鞘もついてるので安全。鉛筆を削る用に購入。)


・櫛とブラシ?

(安っぽい木の櫛とブラシ、木製だからパスタブラシっぽい…思ってたのと違う…)


・各種布

(ハンカチ位の小さい物からバスタオル位の大きな物まで、布大事!用途色々!)


・各種袋

(種類ごとに仕舞うのに使う、入れ物はあればあるだけいい!)


・各種紐

(ボタンやジッパーなんか無い、紐で何とかする!)


とりあえずこのくらいを買っておいた。

欲を言えば裁縫道具とかも欲しかったけど断念、その分袋や紐を多めに買った。

傘や合羽みたいな物も欲しかったけど売って無かった。

レインコートは服屋さんって事かな?


紙も手に入ったし、役所に戻って地図の写しでもしよう。

ショルダーバッグに筆記用具を入れてもう一度ホテルから出発する。




街の地図も中央通りの事しか書いてなかったけど、周辺地図もかなり大雑把だ。

北の方に首都があるらしく、途中に村や街がいくつもある事。

東の方は海に面しているらしく、いくつかの村の先に港を備えた街がある事。

西の方もいくつかの村があって、その先に迷宮街がある事。

南に至っては森しか書いてない。

その程度の事しかわからなかった。

一応南の村から来たはずなんだけど?


バッグから紙と鉛筆を取り出して書き写しておく。

カバーも何もないただの紙の束だけど、木の板を下敷きにしたら意外と書けるものだ。

ただ紙の質はお察しなので、力を入れ過ぎて破けないように注意しなきゃ。


うーん…これからタビーレムって街に行くには西に進むと思うんだけど、村までの距離もわからないから歩いて行けるのかすら怪しい。

地図に載ってる村だから宿屋さんとかもあるとは思うけど、ほんとにただの農村だったら村まで行けても結局野宿になっちゃうのかな?

クリスにもっとちゃんと聞いておけばよかった。


しょうがない、もっかい受付のお姉さんに聞いてみよう。


「すみませーん。」

「あら、さっきぶり。今度はどうしたの?」

かくかくしかじか…




という事で、役所から歩くこと数分。今度は街の西の方にやって来た。


お姉さん曰く隣の村までは歩いて1日くらいとの事だった。

歩いても行けるけど、駅馬車ってのがあってみんなそれで移動しているらしい。


街の東、西そして北から定期便が出ているって事だけど…南はどうした。

村が1個あるだけだし、定期便を出す必要が無いって事なんだろうきっと。

駅馬車は定員になったら乗れない事もある、と言われたのでこうして見に来たというわけだ。


街から少し離れたところに厩舎や馬車らしき物が見える。

ちょうど出発時間が近いのか馬車の周りに人だかりが出来ていた。

もうお昼くらいのはずだけどこんな時間に出発するのか、てっきり朝早くに出発すると思ってた。


人だかりの辺りまで来ると、ガヤガヤと賑わっている。

遠くからでもわかるくらい大きな馬車だったが、なんとお馬さんが4頭も並んでいた。

クリスの馬車は1頭だけだったのに、人を一杯乗せるとそれだけ馬力が必要って事なのだろう。


その後ろに車輪の付いた大きな箱型の客車があり、天井には扇状の幌が付いている。

遠くから見た時は幌の馬車かと思ったけど、客車の天井裏だけ幌になっているようだ。


後ろの方を見ると、階段みたいなもの使って天井裏に荷物を運んでいる人が居る。

手荷物以外は屋根裏に積むらしい、客室に荷物があったら邪魔だもんね。


そして客車の側面にはドアが付いていてバスっぽい。

すでに何人かの人が中に座っているようだった。

思ってたよりもちゃんとしている、大事な交通手段なんだろう。



馬車を見学していると男の人に声をかけられる。

「お嬢さんすんません、今日はもう満員なんですわ。」

きっとこのバスの運転手さん…じゃなかった、馬車の御者さん?だ。


「あ、いえいえ。馬車を利用しようとは考えていますけど、今すぐ乗ろうと思っていたわけでは無いので…こちらこそ紛らわしくてすみません。」

今日のお客さんと勘違いされてしまったみたいだ、申し訳ない。


「そうでしたか、駆け込みのお客も結構いるもんで…こちらこそ失礼しやした。」

お姉さんの言っていた定員になってしまったパターンなのだろう、繁盛するのは良い事だ。

「ところで、明日以降の予約をする事とかって出来ますか?」

折角話しかけられたし、ちょっと聞いてみる。


「あっしらはこのまま出発しますが、あっちの小屋に明日以降の御者が詰めているのでそちらでおねがいしやす。」

言われた方を見ると確かに小屋が立っている。

「ありがとうございます、行ってみますね。」

軽く会釈をしてその場を離れた。


男の人はまたすぐに他の人に話しかけているようだ。

そりゃそうだ、馬車のサイズに比べて人が多すぎる。

私は違ったけど当日の駆け込み客が多いのだろう、彼には対応を頑張ってほしい…



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