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翌日、私たちは惑星から出た。

このときには、それ以上のことを考えなかった。

だから、家に帰った時、本当に驚いた。

彼らと別れる前に、私の家に来るように頼んだ。

どうせ明日の教科書とかは、学校に置いているからだ。

「本当にいいのか」

「ええ、別にかまわないわよ」

私はそう言った。


家に帰ると重装備の人たちがうろうろしている。

「どうしたんですか」

「この地域一帯に戒厳令が布告されたんです。現在、軍が全力をもって国民をお守りしています。どうか、隠れください」

全身防弾服で身を包んだ兵士が私たちを家の中へ誘導した。


家の中の食堂へ案内されると、色々な人が入り混じっていた。

「お父さん、どういうことなの?」

「フロッピーだよ。すべてはこのフロッピーにあるんだ。おかげで、世界は崩壊しかねない」

「どういうことですか」

父親がここまで動揺することは、生まれて初めてのことで、私はどう対処したらいいかわからずにおろおろするばかりだった。

「とにかく、お前は部屋にいなさい。いいね。出てはいけない。分かったね」

「…はい」

私は二人を連れて2階の私の部屋へといった。


「で、何が起きているんだよ」

「さあ……」

二人は私のすぐそばに来て、携帯を見た。

「えっと、兵武卿と言っている人が、惑星国家連合政府に対して宣戦布告をしたらしいの。それで、その人から守るために、こうやって戒厳令が布告されたらしいんだけど……」

「その人がどこにいるのかわからないと」

私はうなづいた。

「そう。でも問題はそれだけじゃないの。その人は、私設の軍を持っているらしくて、その軍事力をもって、惑星一つを占拠しているらしいわ」

「すげー人だな。惑星一つを占拠し続けるなんて、早々できる芸当じゃないぜ」

直斗は正直に驚いている。

「人数は9師団に匹敵して、軍事制圧力だけを比べたら、こちらの正規軍と遜色ないらしいわ。その上、向こう側は兵器も独自開発をしているらしいわ」

「本当かよ」

匡が聞いてくる。

「ええ、とりあえず公式にはそうなっているわ。問題は、今回どうして宣戦布告なんかしたかということよ」

「…昔の伝承を聞いたことがあるか」

直斗が急に改まった顔をして話し始める。

「兵武卿というのは、昔の日本国にあった本当の役職だ。今でいう軍の総司令官だな。で、ここからがその伝承なんだが、その兵武卿というのはパスワードらしい」

「パスワードって、何の」

私は彼に聞く。

「地球にあったといわれている量子コンピューターTeroだ。その起動パスワードになっていたといわれている。もっとも、地球が木端微塵に粉砕されてからこっち、誰も近寄っていないから彼女がいるかどうかは誰も知らないんだが」

「すごいね。なんでそんなこと知ってるの」

「いや…親から聞いたんだ」

なにか妙に引っ掛かる言い草だったが、私たちは気にしなかった。

「それで、このフロッピーはどうするべきなんだろう」

「持っていくべきだろうね。その中のデータはしられてはいけないはずのものだった。祖先の人たちが大事に持っていたということは、何かしらの情報が隠されている可能性もあるし」

「そうか…裏情報とでもいうべきものがあるかもしれないわね」

そう思うと、私はますますこのフロッピーの重大性を考えられる羽目になった。


その日から、学校へは行けなくなり、兵士が私の家の周りや、私が窓から見える範囲のどこにでも隊列を組んで示威行為を繰り返していた。

「いつになったら終わるんだろう…」

二人は、結局私の家に居候する形で収まった。

彼らの家は市街中心部にあり、テロ予告が繰り返しだされている地域に当たる。

そんなところへ戻るのは危険が大きすぎるというのが、表向きの理由だ。

ただ…私がここで一人になると、同じ年ごろの人がいなくなってさみしいという本音もある。

だからこそ、彼らにはここにいてほしいのだ。

「で、どうするよ。これからさ」

直斗が私に聞いてくる。

「どうしようもないでしょ。ここから出ることもできないし、かといってここで暇を持て余すことも無し…」

そう言って、ベッドの下からでかいパソコンを取り出した。

大きいといっても、12型といわれる種類のものらしい。

詳しいのは、私はよくわからない。

お父さんが数年前まで使っていたのがいらなくなったと言っていたから、それをもらっただけなのだ。

「問題は、ここから出る方法でしょ」

扉のほうから声が聞こえてくる。

顔を向けると、お母さんが立っていた。

「みんな、いらっしゃい。これから惑星国家連合の船を一隻あなたたちに貸すことになります」

何のことかさっぱり分からなかった。

だが、言われるままにお母さんについていった。

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