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連合立博物館は、私たちが住んでいる惑星から離れたところにある。

数光年以上離れた惑星にある中央政府。

その中枢部分にそびえたつ巨大なタワー。それこそが、惑星国家連合立博物館。

この宇宙の中で最大の規模を誇るその博物館ならば、フロッピーの中を読むための機械があるだろうということだった。

飛行船の中に乗り込み、懐から1枚のフロッピーを取り出す。

この1枚が世界を変えることになるとは、このときは、思いつくこともできなかった。


惑星国家連合中央政府惑星は、宇宙船を使い30分で着く距離にある。

「で、お二人さんはどうするつもりなのかな」

私は勝手に集まってついてくる宣言をした二人を見て聞いた。

「当然、君についていくぜィ」

親指を立てて、こっちをウインク気味に見てくる直斗に一言。

「こっち見てくんなよ」

きっぱりと言って、窓から外を見る。

何も見えるわけがない。

数世紀にわたる技術開発は、外の空間と途絶した状態での飛行を可能にした。

今見えるこの空間は、私たちが生きてきた空間とはまた別の空間。

詳しい事なぞ、一介の高校生が知る由もない。


「惑星国家連合中央政府惑星です。終点となります。これ以上お乗りいただけませんので、ご注意ください」

幾筋の光が窓の外をかすっていく。

放送が聞こえると同時に、船が激しい震動に包まれる。

だが、誰一人として動じることはない。これが普通だからだ。

二人もそのことを心得ているらしく、黙って揺られていた。

ただ、船が着いてからトイレに直行したことは、秘密だ。


「うぉっぷ…」

まだ気分が悪いらしく、顔色が悪い。

「大丈夫?」

ついてきたのはいいが、病院で過ごすことになっては、こっちも夢見が悪い。

「ほら、これ飲んで」

「これ…なに…」

「酔い止め。とりあえず持ってきて置いて正解のようね」

私から薬を受け取ると、近くの売店で水を買って、その場で飲んだ。

即効性だと箱には書いてあったし、事実その通りだった。


「…ねえ、本当に大丈夫なの?」

「当然。大丈夫じゃなかったら、こうやって歩けるわけないだろ?」

そう言いつつ、二人は私の分の荷物も持って歩いていた。

私は空港でもらった地図を見ながら場所の見当をつけていた。

お金は持ってきてはいたが、使わないのに越したことはない。

「で、その博物館はどこにあるんだ」

「えーっと…ここから離れて見えるあの建物」

私が指さした先には、真っ白い巨大なタワーがそびえたっていた。

「宇宙で第3位の人工建造物。惑星国家連合立博物館になるね」

二人は開いた口がふさがらないようだった。

「どんだけ高いんだよ…」

歩きながら見ているが、なかなか大きくならない。

「全高4.3km。さすがに宇宙で3位の人工建造物といわれるだけはあるね」

匡が見上げながら言う。

周りは公園になっていて、色とりどりの花が咲き乱れている。

「これだけにどれだけ金をかけたんだろうな…」

周りを見渡しながら、直斗が私に言う。

「私に聞かないでよ。かなりかかるとは思うけど…」

そんなことを言いながら歩いていると、疲れてきたのか匡が近くのベンチに座った。

「なあ、もうそろそろ休まないか?」

「なんでよ。まだまだいけるでしょ」

私が立ち止まって言うと、匡は手をひらひら振っていけないことを示した。

仕方がないので、私は近くでタクシーを拾うことにする。

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