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プロローグ


地球が木端になってから数百年。

母なる星と言われたその地域の封鎖も解かれ、自由に航行できるようになった時代。

私は、1枚のフロッピーディスクを手に入れた。


正確には手に入れたではなく、手に入れざるを得なかったというべきだろう。

祖母が死んだ時、莫大な遺産が残された。

その相続によって彼女の一人息子[私のお父さん]、その妻[お母さん]と子供たちにその遺産が分配された。

4人兄弟姉妹の末っ子である私に残されたのは、それこそどう使っていいかわからない量の金額と1枚のフロッピーディスクだけだった。


第1章 過去からの手紙


とりあえず、突然大金持ちになったが、法律上の問題とか言って、非成年後見人とか言う人がついた。

頭痛いから法律の話なんかしないでほしい。

成人になるまでの間、遺産を使うときにはその人に理由を話してほしいとのことだった。

何のことかさっぱり分からないが、遺産を自由に使えるには成人になるまで待てということはよくわかった。


高校に行き、すでに全員がそのことを知っていたが、まったくスルーしていた。

「で、これが問題のフロッピー」

放課後に、部室で友人に見せる。

友人といってもごくわずかしかいない。

部員と同数であるが、私は一向に気にすることはなかった。

部室も掘立小屋のような状態で、数人しか入れないような狭い所に、女1人男2人が入っているのは、かなり息苦しい。

「フロッピーって言っても、現物見るのは初めてだからな…」

数少ない友人の一人、井神直斗(いかみなおと)が話しかける。

「はるか過去の記憶媒体っていう話だね。地球がまだあったころに開発されたっていう話があるけど…」

「詳しくは、辞書を見ないといけないかもね。その中を見るためにも」

もう一人の友人の哉慨匡(かながいまさし)が語りかける。

「とにかく、情報の先生に聞けば何か分かるかもしれないね。次の授業の時に聞いてみる」

心を決めて、私は二人に言う。

「それがいいね」

直斗が腕組をしながらうなづく。

匡は、とりあえずフロッピーを見ている。

「そのほうがいいかも。僕たちが見ても何も分からないから」

私の気持ちも、その方向で決まっていた。


翌々日、情報の授業にて。

チャイムが鳴り、授業が終わるとすぐに、先生のところへ向かった。

「先生、ちょっといいですか」

「ん、どうしたんだ」

珍しいなという表情をして、先生が私のほうを向いた。

「フロッピーを見る装置は、まだありますか」

「フロッピーか…国立博物館にでも行けばあると思うが…」

「惑星国立博物館ですか」

「いや、惑星国家連合立だ」


週末、その情報をもとにして私は船に乗っていた。

土日をかけて、惑星国家連合立博物館に行くことにしたのだ。

「で、なんであんたたちがこんなところにいるのかな」

怒りをあらわにしながら、私は彼らを見た。

「女子一人で行かせるわけにはいかんだろ」

「そうそう、何かあったら男手は必要になるだろ?」

直斗と匡がそこに立っていた。

ばっちり旅行の準備は済んでいるようだ。

「…あんたたち、どうやって情報をキャッチしたのかな?」

「我々の情報網を侮ってはいけない。すべて知っているのだよ。あなたの今日来ている下着の色も…」

その言葉を聞いた瞬間、私は匡に飛び膝蹴りをかましていた。

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