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冷酷無慈悲の司令塔~冷酷に演じているけど愛されていいのでしょうか?~

作者: 木ノ村 定

何かしら投稿したくなったのでアイデアからざっと描き上げただけの話です。(保険)

本当に書きたいシーンは入れきれませんでしたが、それっぽいシーンは入れています。

もし…もしもですが、ちゃんと書いたのを見たいという方がいらっしゃったら、書こうと思っています。

隊のために冷酷に振る舞う、実は弱々しい指揮官の主人公。目論見通りに嫌われるも精神が追い込まれていく。しかし、主人公の思惑に気付いた隊員が彼を慕い、励ます。

そんなお話を考えています。


「なぁ頼むよ…一度だけ!な?お前にしかできないことなんだ頼むよ。色々融通するから!頼む!」



……岸島和也きしじまかずや24歳 男

親友にしつこく粘られて根負けした俺は異次元侵略対策軍に指揮官として勤めている。


元々、対策軍に18歳から所属、実力を認められ20歳で特殊部隊に所属していた俺だったが、23歳の時に事故で負傷。

後遺症が残ったために再び戦場に出ることは叶わず、退役することを決めた。

「指揮官として残るのはどうか?」と言われていたのだが、実は軍役に疲れていたので退役を選んだ。

仲間が死ぬのはかなり辛かったし、自分の指揮で人死にがでることが怖かった。

…一度もだしたことはなかったが、プレッシャーが酷かった。


退役後は功績を認められて、口座に遊んで暮らしても困らないほどのお金が定期的に振り込まれていた。

地元の飲食店に店員として勤め、ゆったりとした日々を過ごしていた矢先、軍に所属している親友から連絡が来たのだ。


優秀な指揮官が不足しているから、戻ってほしい。と。

勿論断った。責任重大で俺には過ぎた重荷だ。


しかし、しつこく食い下がる親友。

元々こいつを手助けしたいがために入った軍でもあったため、根負けして指揮官となった。


現在、異次元から襲来する侵略者たちを迎撃する任務の指揮を執っている。

胃が痛い。


「左翼は中央と右翼から離れ、別行動だ。10時の方向に向かい、最初に見える一番高い山で待機。中央と右翼はそのまま直進。敵が見え次第光線を開始しろ。」


声の抑揚を完全に殺して指示を出す。

平地と山脈地帯の境目での戦闘だ。


部隊は全員〈機神〉に乗り込み、空を飛んで進軍している。

異次元と世界がつながった際に、人間側にも特殊能力が開花した。


人間は「サイキック」と呼ばれる能力を持ち個人個人で能力が異なる。

サイキックだけでも抵抗は可能だが、侵略者は同じく機神と呼ばれる機械に乗り込み、高機動、高火力でこちらを制圧するので手も足も出ない。

さらに〈ビースト〉と呼ばれる怪獣じみた巨大な生物をけしかけてくるので、こちらにも勝てない。


そこで、サイキックを機械の体で増強し、対抗する人型兵器〈機神〉が人類側にも発明された。

俺も以前はこれに乗って戦っていたものだが、被弾に伴う機械トラブルで自身のサイキックに異常をきたし、能力行使や機神に搭乗することで命を失うリスクを抱えることになった。


俺の指揮する18人の戦闘部隊も全員機神に乗り込んでいる。

今回は、機神複数が発見されたとのことで迎撃に向かっている。


地形を生かすべく、左翼を本隊から離したのだが、中央部隊から意見具申が飛んで来る。


「指揮官!左翼を離すことは認められません!危険です!数は勝っているのです、正面から叩きましょう!」


気の強い女の子の声が指示の撤回を求めてくる。が、認めるわけにはいかない。

こちらも考えがあっての指令だ。


「命令だ。左翼は指示通り離れるように。」


「指揮官!相手に隙を晒すおつもりですか!?」


紗枝月凛香さえづきりんか、意見具申は感謝するがこちらも勝算あってのことだ。命令違反はしないように。」


「くっ…。」


悔しそうな声を最後に通信が終わる。

機神に搭載されたカメラから送られてくる18の映像を見つめ、作戦を立てていく。

緊急出動だったのでろくに作戦会議もなされていない。

一つのミスが隊員の命を奪う。

そんなプレッシャーがずしりとのしかかってくる。




……「あのクズ指揮官…正面から叩きつぶせば絶対勝てるのに何考えてるの?無駄に策を弄する必要はない。策士策に溺れるってしらないのかしら?」


意見具申をした隊員…紗枝月凛香はチーム内の回線で憤りを隠せずにいた。

普段は凛とした雰囲気と黒い髪、美貌でまさに大和撫子といった風情なのだが、今は苛立ちで眉間にしわを寄せている。

機神間は回線を通じた通話で意思疎通を行っていた。


いつもあの指揮官は何を考えているのか分からない。

変な指示をいつもしているが、被害が出ていないのは私たち優秀な隊員のお陰だということに気付くべきだ。


「指揮官も何か考えがあるから指示を出してる。徒に歯向かうのは良いことじゃない。」


感情がないような、抑揚のない声が憤る凛香を諫める。


咲奈さな…あんたいつもそればかりね、あの指揮官を信仰でもしてるの?少しは自分の頭で考えたらどう?」


凛香はモニターに映る白い機体をチラリと見やる。

八重橋咲奈やえばしさな。私と同い年の22歳で今年一緒に軍に入った同僚だ。

色素の薄い髪と目、白い肌が特徴的でいつも無表情で何を考えているか分からない。

部隊から好かれていない指揮官を何故か慕う、数少ない…というか唯一の隊員だ。


「まあまあ、今は仕事に集中しようぜ?文句は後だ。…そら、奴さんお見えになったぞ!」


聞こえてくる男性隊員の声に、全員スイッチを切り替える。

モニターはパイロットを囲む球状になっており、前方に微かに見えて来た敵影が緑色の枠で囲まれ表示された。


敵影は1、2…3…4…。

4機だ。紫と黒を基調にした機体が接近してくる。

こちらは12機、相手の3倍の戦力…いける!


その瞬間、クズ指揮官から回線がつながり、指示が飛んだ。


「中央はそのまま交戦。右翼は一旦離れて、挟撃を狙え。右翼が整うまで中央は遅滞戦闘に努めろ。左翼は指示するまで待機。」


回線が切れる。


「あーもう!慎重すぎるのよ!3倍の戦力差よ?負けるわけないじゃない!?」


「まぁまぁ、リスクはないにこしたことはないだろ?いいじゃないか。」


「陸翔!あんたもあの指揮官を擁護するわけ!?素早く狩ってリスクを最小限に抑えればいいじゃない?」


千藤陸翔せんどうりくと。右翼部隊で飛んでいる男性隊員。先ほど諫めたのも彼である。

15歳で凛香とは同級生だ。


「そうカッカすんなって、頭に血が上っているのは良くないぞ?結局俺たちの実力でカバーするんだ。聞く姿勢だけでも見せておくのが大人ってもんだろ?」


「チッ…。エンゲージ!!」


お互いの射程に入った瞬間にバッと隊列を崩してあちこちに散る。

3機一組を意識して立ち回る。


3機で1機を相手にするのでかなり余裕がある。

味方に誤射をしないように気を付ければあっという間に片付く。


標準が合い止めを刺す。


その瞬間、味方から悲鳴のような警告が飛んだ。


「前方から敵増援!!さっきまで反応は無かったのに!?」


「後方から反応!!不味い、挟撃されている!!」


部隊に動揺が走る。

リーダーとしてこの状況は治めねばならない。

パニックは一番の敵だ。


「落ち着いて!敵増援の数は!?」


「前方10機!」「後方5機!」


小賢しい、恐らく最初の4機を囮に私たちを誘導。

予め、隠密していた10機と、バレないように少数で後ろに回り込んだ5機で挟撃という作戦だろう。


「どうすれば…。」


手詰まりで悩む間もタイムリミットは迫ってくる。

指揮官から回線がつながったのはその時だった。


「左翼、後ろから敵増援5機を攻撃、中央から3機割いて挟撃だ。残った戦力で前方増援の遅滞戦闘を行え。後方の挟撃が終了次第、前方に集中だ。」


他にやり方が思いつかないので、大人しく従う。

あのクズ指揮官がここまで読んでいたはずはない、私より優秀なはずがない。私たちが優秀だから勝てている。

今回は偶然、よく分からない策が決まっただけだ。


やりどころのない憤りを抑え込み、中央である凛香は遅滞戦闘に集中した。



……結果、ある程度の被弾はあったものの、一人も撃墜されることなく戦闘は終了。

人類こちらの勝利に終わった。


基地に帰り着き、空気は弛緩していく。

予想外の事態で危うく全滅という可能性すら見えたのだ。

過度に緊張して全員疲労していた。


凛香は取り巻きを5人引きつれ、指揮官がいるであろう指揮官室に向かった。

…文句を言うためだ。


指揮官室のドアをノックする。


「指揮官、お話したいことがあって来ました。」


すぐに「入れ。」と帰って来たので、ドアを開けて室内に入った。


「失礼します。」


「なんだ。時間が無いから手短にしろ。」


指示するだけの指揮官がそこまで忙しいはずがないでしょ…、あっても被害レポートや戦果の報告くらいだ。

要領が悪い証拠だ。


「それでは…、何故、今回は左翼を途中で待機させたのですか?無駄が多すぎます。今回も最初から戦力を割いていなければさらに迅速に対応できたはずです。」


取り巻きもその通りだと頷く。


クズ指揮官…岸島はパソコンや書類から一切目も上げずに答える。


「そうか、次から気に留めておこう。」


「気に留めておこう…って、以前も同じことを言いましたよね?改善されていないじゃないですか!」


「今回もその場で最善と判断した手段を取っただけだ、状況も前回と違う…他に何か?」


まるで聞く耳を持たない。

本当に無能なくせに頑固という救いのないクズだ。


「…いえ。ありません。失礼します。」


これ以上は無駄だ。

何か起こってからでは遅いのだ。

今度、別の上官にでも相談してみよう。



……紗枝月凛香が部屋から出ていった。

気疲れからため息をつきそうになったが飲み込む。

壁に耳あり障子に目あり、誰かが見ているかもしれない。気を抜くのは自室に戻ってからだ。


…まずは今日の分の書類を仕上げねばならない。

被害レポートを書き、戦果をまとめ、隊員1人1人のバイタルチェック結果に目を通してまとめる。

今回の相手の動きについても報告が必要か。

個人のスコアについてもまとめて提出。

備品や使用した兵器の修理部品などの申請、認可。各隊員の手当の申請。面倒な手続きも込んで、全部終わるのは深夜だろう。


本来隊員個人が書くような書類もまとめて請け負っているので、かなり仕事量が多い。

しかし、隊員が書類に割く時間や意識を訓練や休憩に集中させることでより練度を上げるためだ。

仕方ない。


普通の指揮官は事務も含めた隊員から秘書を選らぶことが出来るが、俺は取っていない。

本来の仕事に集中させるためだ。

秘書と本来の仕事を並行させるとパフォーマンスが落ちかねない。

隊員に普通に書類仕事を任せるというのも信じられない。

もちろん、本人がやらなければならない書類もあるだろうからそれは仕方ない。

だが、指揮官ができるものなら、指揮官がやって、隊員が練度を上げることに集中できるようにした方が効率的というものだろう。



……仕事が一区切りついたのでデスクから顔を上げる。

目頭を揉みながら時計を見ると、短針は10を少し過ぎた辺りをさしていた。

まだ仕事は残っている。

終わるのはいつも夜中の2時から3時くらいだ。


ふぅ…と軽く息をついて、仕事に戻る。

カタカタとキーボードを打つ音と時計の秒針のカチカチという音のみが響く空間に突如、ドアをノックする音が割り込んだ。

こんな夜遅くに誰だ?


「指揮官、入ってよろしいですか?」


ドアの向こうから女性の声が聞こえる。

確か…八重橋咲奈だったか。


「入れ。」


「失礼します。」


「どうした、こんな夜遅くに。休養を取るのも仕事の内だ。急を要さないなら明日にしろ。」


「…差し入れに来ました。これ、どうぞ。」


は?差し入れ?

八重橋は手に持っていた缶コーヒーをデスクにコトリと置いた。

困惑は顔に出さなかったが、行動が理解できなかった。

八重橋は続いて口を開く。


「指揮官。今日の作戦、明らかに相手の手の内を読んでいらっしゃいましたよね?…紗枝月たちの話が聞こえたんですが、作戦の内容はお話にならなかったのですか?納得する理由を述べれば、紗枝月たちの態度も軟化すると思うのですが。」


口数が少ない印象だったが、良く喋る。意外だな。

…しかも作戦に関して、理解している上に、紗枝月たちを突き放したことも気づいている。


「どうでもいい。作戦を考え、指示するのが指揮官だ。戦闘員が関知するところではない。」


「…指揮官が誰にも知られず一人で苦労なさっていることは知っています。指揮官が知られたくないならそれでいいのですが、指揮官が悪く言われるのは我慢ならないのです…無理はしないで下さいね。」


失礼しました。と八重橋は部屋から出て行った。

わざと嫌われるように動いていたつもりなのだが、彼女は何故か、それに気づいているらしい。

普段の振る舞いを見直す必要があるな。


差し入れの缶コーヒーに口を付けつつ作業を再開する。

八重橋との時間が程よい休憩になったのかいつもより少し早く終わった。

休憩時間についても検討する必要があるか。


資料の提出を終え、疲れでふらつく体を引きずって、自室に戻った。

本当は大浴場でのんびりしたいのだが、現在夜中の1時半。大浴場は既に閉まっている。

体を洗い、シャワーを浴びた。

疲れているとはいえ、身だしなみは気を使わなければいけない。


歯を磨いた後にベッドに倒れ込む。

そして…


「はあ~~~~つかれたああぁぁぁ~~~……。」


岸島の口から情けない声が放たれる。

指揮官室にいた人物と同一人物とは思えない声だ。


「…わざと嫌われるように立ち回る俺も悪いけどさぁ…必要だからしかたないけどさ…あそこまで歯向かわなくていいよね絶対…なんで取り巻きつれてくんだよ怖すぎる…」


わざと嫌われておくことで、作戦が失敗しても指揮官のせい。仲間が死んでも指揮官のせい。敵を殺さなきゃいけないのも指揮官のせい。とヘイトを一身に被ることで隊員のメンタル保持を図っている。

また、一人が嫌われておくことで、集団の中で団結が生まれるのも事実。

岸島はそれらのためにわざと冷酷に振る舞い、嫌われるように仕向けていたのだ。


「仕事量も馬鹿みたいに多いし…今からまた4時間後にはまた仕事…はぁ…秘書取ろうかな……いやだめだだめだ、何のためにこんな苦労していると思っているんだ…はぁ…。」


ため息が止まらない、情けない姿だが、これが岸島本来の姿であった。


「…八重橋、か。目敏かったし要注意だな…でも…。」


ごろごろしていた体を止め、天井を見る。


「ちゃんと見てくれる人もいるもんだね…もっと頑張るか。」


嫌われるように動いているが、好きで嫌われているわけではない。

もちろん、気づかれてもならないのだが、気に掛けてくれたという小さな優しさはかなり沁みた。


次の瞬間には、岸島からは微かな寝息しか聞こえなくなっていた。

荒い出来でしたがどうだったでしょうか?

下にある☆やブクマをおしていただいたり感想を書いていただいたりして下されば、今書いてる話と並行して連載版にして書くつもりです。

文才、知識、技術向上はそこまでないですが、自分の好きなシチュエーションとかのお話を書きたいと思ってやっています。自給自足。

共感や面白いという意見があるとさらにモチベアップします。

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