CP3 出陣
仕事人のテーマを脳内に流そう。
「確か、ここだったな」
尊はバールを持ち、畳の一部分を指さす。
巫女姿に着替えた十六夜と壱与は頷いた。
「まさか、こんな日が来るとは」
十六夜は呟く。
「そう・・・ね」
畳をバールであけ、床板をずらすと、尊はスコップに持ち替え床下の土を掘り進める。
カツンと物が当たる音がする。
それから丁寧に掘り進めると、土師器の壺が現れた。
新聞紙の上に、壺を置きそっと中身を取り出す。
そこには鏡、勾玉、折れて柄だけの剣が入っていた。
尊は剣を持つ。
十六夜は勾玉を。
壱与は鏡を持った。
しばらくして、
「ごめん、ごめん、遅くなった」
黄河が方天画戟を背中に背負ってやって来た。
「ひと暴れしようぜ」
にかっと笑う。
「ああ、さぁ、行こう」
四人はレンタカーのハイエースに乗り込み、喫茶パレスへ仲間を迎えに行く。
「やっぱり、しっくりくるな」
アルスは鎧兜に身を固め、鏡を見た。
「そうね、アルス素敵だわ」
ローラはグリーンガムの鞭をしならせる。
「そう?」
アルスは恐々と照れる。
「お母さん、この服、もう、ちんちくりんだよ」
「そうね、アリスは育ち盛りだもんね。ちょっとだけ我慢しよう」
当時の装備に身を固めるのは、成長期のアリスにはサイズが合わなくなっている。
母は微笑みながら、寝息を静かにたてているマルスの頭を優しく撫でた。
喫茶パレスの前を車が停まった。
三人の顔が引き締まる。
「来たぞ。さぁ、いくか」
アルスの言葉に二人は頷いた。
「さぁ、いくわよ」
タピオカ店長花々は、レオタード姿となり、愛車カブ号にまたがっている。
「花様、本当にそんな恰好で行くんですか。どうして急に」
蕉蝉は顔を赤らめて言う。
だが、自分はくノ一姿となってる。
「蕉蝉、これはキャッツアイよ、キャッツ」
「はぁ」
「早く乗って、行くわよ。魔物退治」
二人は夜の闇を裂き、カブ号で合流場所を目指す。
集結の場は、ゆいレール旭橋駅。
深まる夜の10時30分、ゆいレール旭橋駅に尊達は到着した。
ほどなく蕉蝉、花々も合流する。
「あっ、そうだとっておきの魔法、使わなくちゃ」
アリスはそう言うと、究極魔法を発動する。
「マジック、タイムストップ(時よ止まれ)」
「なっ、本編作にも出てない魔法を、ここで使うなんて、どうかしてるぜ」
尊は茶々を入れる。
「アリスは成長しているの」
アリスはべーと舌を出して返す。
「タケ、周りに気づかれたら」
ローラがフォローを入れる。
「そうだな」
「これで思いっきり、やれるってことだな」
黄河は久しぶりの戦いに、胸を躍らせる。
「あの、花さん、その恰好・・・」
壱与は、彼女の姿を見て驚く。
「セクシーでしょ」
花々はまんざらでない顔をした。
「目のやり場に困る」
ローラの殺気を感じ、アルスは顔をそむけた。
「私の花様をいやらしい目で見ないで」
蕉蝉は、花々の前に立ちレオタード姿を隠す。
「アルスさん顔、そむけてるよ」
十六夜は、ぼそりと言う。
時を止めた世界は静謐だった。
駅の周辺は、外灯があるものの薄暗い。
魔物や物の怪の気配は感じられない。
「壱与、頼む」
「はい」
尊の言葉に頷くと、彼女は鏡を掲げる。
「鏡よ。魔を映しだせ」
鏡から光が発せられると、闇に潜む無数の怪しい瞳が、尊達を睨んでいた。
尊は念じた。
すると、右手に天ノ草薙剣が現れる。
敵の群れに剣を掲げる。
「みんな行くぞ!」
「おう!」
「はい!」
尊達は魔を討つべく、駆けだした。
次回、まとめます。
よろしくお願いします。




