CP2 迫る影
おしおきよっ。
アリスは友達と別れ歩きだした。
ここから先は自宅の喫茶店まで、およそ徒歩五分一人で帰る。
アリスは自ら秘密の道と称した狭い路地を駆けだす。
建物との間が、子どもの身体やっと通れるぐらいのすれすれの所を潜り抜け、
狭い道に出た。
「おじょうちゃん」
背後で声がする。
アリスが振り返ると、黒マントを着た男が立っていた。
「あなた誰?」
「おじちゃんかい、おじちゃんは、ただの変態それとも怪人どっちに見える?」
「こっちが聞いているんですけど」
「正解は・・・へ」
アリスは黒マントが台詞を言い切って、マントをはいでストリートキングになる前に、懐に飛び込み、彼の無抵抗な股間を蹴りつけた。
ジャストフィットアタック、アリスは黒マントのスティックを折った事を確信した。
「ぐふふふ」
普通の男子ならば、のたうち回るほどの衝撃の蹴りをお見舞いしたはずだが、黒マントが平然としていて、どことなく気持ちよさそうにしているのにアリスは悪寒を覚えた。
「正解は・・・変態・・・ではなくホントに怪人でした」
怪人黒マントはマントを広げる。
黒マントは大きく広がり、アリスを覆った。
彼女は目を覆う。
変態ではないと言ったのに、彼のマントの下は全裸だったのだ。
「おじょうちゃん、二人っきりだね」
マントに覆われた世界は、どこまでも広がる薄暗い闇だった。
「しょうがないなー」
アリスはランドセル(天使のリュック)を降ろすと、がさごそと中を漁る。
全く動じず驚かない、小学生に怪人は唖然とする。
「あった、あった」
アリスはマジックハンドを取り出す。
「よーし、おしおきすっからね」
アリスの目が光った。
「おじょうちゃんは、いったい・・・」
「私?私はただの勇者だよ!せーのっ!」
アリスはマジックハンドを振りかぶる。
その時、
「アルスブレイク!」
アルスは黒マントを覇者の剣で切り裂いた。
闇の世界が切り裂かれ、元に戻る。
黒マント喉元に、アルスは剣をつきつける。
「アリス、無事だったか」
「おしおきするところだったのに」
「無事で良かった。さて、変態」
「私は変態ではない!怪人黒マント!」
「よく、そんな姿で言えるな。生まれたての子豚のような、よくそんな素○ンで、よくもそんな〇かむりで、人前で晒しているのにもかかわらず、上クリ(上野クリニック)にもいかずに、のうののうといけしゃあしゃあと・・・」
「うわーん」
アリスはマジックハンドを巨大化させ、泣きじゃくる黒マントを捕まえた。
「お父さん、この人どうしよう」
「この変態怪人に聞きたい事がある」
「じゃあ、家に連れて帰る?」
「ああ、おい変態怪人、お前に聞きたい事がある。正直に吐いた方が身の為だぞ」
「・・・ごっ、拷問するのか・・・」
怪人は嬉しそうにアルスを見つめている。
「とんだ変態ヤローだ」
「アリス」
「ほい」
アリスは、マジックハンドを怪人ごとリュックに詰め背負った。
二人は手をつないで、家路につく。
喫茶パレスにて。
ローラの鞭がしなりをあげる。
「とっとと吐いた方が身の為だよ」
「ああ、女王様」
怪人は恍惚の表情を浮かべる。
「一体、なんだこれ?SMショーか・・・嫌いじゃないけど」
尊は呆れかえっている。
「最近、沖縄で起こる不思議な怪事件、お前達の仕業か」
「あ・ぁ・あ・ぁ・ああああ」
怪人は興奮しまくっている。
「吐け!」
ビシッ!
「もっと」
ビシッ!
「そこっ!」
ぴたっ、ローラは鞭打ちを止める。
「あーなんでやめるの。分かった言うから、言うからもっとしてっ!」
「なんだこいつ」
尊は呆れかえっている。
「アリス、いい子だから、マルスと一緒に二階に行っていなさい」
アルスは子供たちに退出を促す。
「はーい」
「じゃあ、答えてもらおうか」
アルスが本題に入る。
「いやん、女王様がいいっ」
「・・・ローラお願い」
エンジンがかかってきたローラは、怪人の薄い髪の毛を掴むと、引っ張り上げ顔を近づける。
「早く、言いな。そしたら、もっと気持ちよくしてやる。このみじめなオス豚っがっ!」
「おお」
尊とアルスは彼女の迫真の演技にぞくっと震える。
怪人は観念しつつも、目を輝かせ、
「今日は満月の夜。俺たちの王がゆいレールに乗って現れる」
「なんだとっ!」
「もっと、おねがいしまっス!」
「うるさい!」
ローラのグリーンガムの鞭が火を吹く。
あらぬ方向に(笑)。
次回は、きっとホラーかな?
では、よろしくお願いいたします。




