ゆいレールに潜む魔の影を討て~プロローグはじまりの朝~
やっちまった。
俺の名前は山田尊。今年で44歳のでぇベテラン中年だ。
ああ、異世界転生して、悪役令嬢とつるみてぇ。
自分で言うのもなんだが、かなりのこじらせ具合の中二病だ。
つける薬なぞ、ある訳ない。あったら、とっくにまともな人生を送っているだろう。
ふん、人にはそれぞれ生き方がある。こんな生き方も悪くない俺は知っている。
それだけで十分だ。でも、足りない。満たされない。むくりともたげる負の感情。
俺は読みかけのラノベ「異世界召喚されたら、そこは悪役令嬢のハレムだった。~勇者俺様!皆の者、ひざまづけ!チートな俺のハッピーライフ♡」を枕の横に置いた。
ベッドに身を投げ横たわる。
なにが異世界だ。悪役令嬢だ。ハレムだ。勇者だ。チートだ!
俺が知る現実世界には何一つないものだ。
人はないものに憧れる。
ふと、頭にそんなフレーズが浮かんだ。
異世界転生してみてぇ。
でも転生の王道は、一度この世界で死ぬもんな。
そこのところは、俺は古い人間なのか納得出来ない。死んだら終わりだろ。次なんてある
はずがない。そう思ってしまう。
しかし異世界という素晴らしい場所があるなら是非とも行ってみたい。
ウハウハでチートな人生の第二幕を送ってみたい。
なーんて、俺は阿保か・・・。
布団に潜り込み、俺は目を閉じる。
明日も変り映えのない平凡な毎日に備えて。
現実の毎日を送る。
のはずだった・・・。
待ってくれ、俺はまだ眠たいんだ。
まだ起きたくない・・・あとPV164で「二人の勇者と二人の女王そして四人の悪役令嬢おまけに転生者の物語」なげータイトルが一万突破だ?知るか!
これを書く頃には、達成していて本当はPV一万回突破ありがとうの番外編するはずだったって・・・じゃあ、あとちょっと待てばいいじゃないか・・・えっ、作者が待つことが出来ない?知らねぇよ。
あいつマルチエンディング編で、これにて完結なんちゃらって言っていたよな・・・よく、舌の根も乾かない内に番外編なんて考えついたな、一万回ありがとうの感謝をあらわしたい?
はっ、まだ達成してないのに、なに言ってやがる・・・・・・えっ、ここから興味を持った方に読んでもらって達成するって・・・・ほんとまわりくどい奴だなぁ。
でも、そういうの嫌いじゃないぜ。
そうか、しゃあねぇなあ、じゃあ、俺たちの出番だな。
でも、これホーラ―だろ・・・俺、苦手なんだよな。
オホン、これは沖縄を舞台にした物語である。
登場人物
山田尊・・・44歳独身。沖南高校の歴史科教師。
山田十六夜・・・21歳。尊の妹、女子大生。
山田壱与・・・17歳。沖南高校三年生、黄河の親友。
知念黄河・・・17歳。沖南高校三年生、壱与の親友。
花々・・・29歳。タピオカドリンク店長。
蕉蝉・・・22歳。タピオカドリンク店員。
アルス=スレイン・・・32歳。尊と気が合う。自称フランスから来た謎の外国人。
地元糸満で喫茶「パレス」を経営している。
ローラ=スレイン・・・31歳。アルスの妻。
アリス=スレイン・・・9歳。沖南小学四年生。
二人の勇者と二人の女王そして四人の悪役令嬢おまけに転生者のおまけ物語はじまる
「にいにい起きて」
十六夜の元気な声がする、それから階段をのぼる音が聞こえ、
「ほら、壱与も起きて」
妹を起こす声がする。
尊は半身を起こし、頭をかいた後、腹をかく。
「早くしないと、遅刻しちゃうわよ」
二人は寝ぼけ眼をこすりながら、朝食をとる。
尊は新聞に目を通す。
「ちょっと、にいにいやめてよ。食べながら新聞見るの」
「朝の情報は、きっちり仕入れないと」
「ったく」
「ふわー」
壱与は欠伸をする。
「壱与、口、口動かしなさい」
「ふわあい」
「ったく」
「にいにい!箸止まってる」
尊は、十六夜のお説教を手で制し、新聞の記事をじっと読む。
「ゆいレールで数々の怪事件起こる」
記事内容を目で追いながら、アーサ汁に手を伸ばす。
お椀がつるっとすべって中身をぶちまける。
「こらっ!」
十六夜はおかんむりだ。
尊は肩をすくめ、新聞をおりたたみ、こぼれた汁をふきんで拭いた。
自由にもほどがあります。
でも嫌いじゃないでしょう。
う・・・うん。
では、次回もよろしくお願いします。




