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第一話 オーラル平原

よくある異世界物を自分なりに物語にしてみました。頭を使わずご覧下さい。


目を覚ますと、そこは一面の原っぱだった。


あれ?私さっきまで自分のアパートの部屋で酒呑みながら、スマホでラノベ呼んでたよね?


昼間でもなかったし、野外でもなかったはずだ。そんなに飲んでなかったつもりだったけど、泥酔して寝てしまったんだろうか?

という事はここは夢の中かな?


ちなみに現在、私は見晴らしの良い原っぱのど真ん中にポツンと立っている。

周りを見渡しても青い空と白い雲、輝く太陽と瑞々しい草が現状視界で入る情報全てで後は何も分からない。


とりあえず私は目を閉じてからカッと目を開くと、手を差し出して唱えた。


「ステータスオープン!」


いや、ラノベの異世界物に状況が似てたからつい…

と私が1人で黒歴史を製造していると、目の前に近未来感のある光のパネルが現れた。




ステータス


【名前】 ユリ・タナカ

【年齢】 29

【称号】 なし

【種族】 ヒューマン

【レベル】 1

【体力】 F

【魔力】 E

【攻撃力】 E

【防御力】 F

【スキル】アイテムBOX 転移

鑑定 自動翻訳

オンラインショップ

【装備】 綿の服 革の靴 100G



夢の中の私…弱過ぎ?

え?ちょっと待って?これが夢か異世界転移かどっちか知らないけど、私弱過ぎない?


とりあえずスキルには不満はない。

大抵のラノベで自分であったら便利だなって思ってたのは揃ってる。

でも戦闘に役立つ物一個もないし、武器すらないのは無理ゲー過ぎませんか?


あと装備の綿の服が気になって自分をよく見たら、見たことないワンピースみたいなのを着ているのに気がついた。

シンプルな村娘が着てるみたいな淡い青のワンピースに、デザインを邪魔しない様に手を差し込むタイプのポケットが付いている。

試しにポケットに手を入れてみたら、百円玉みたいなコインが入ってた。

多分これが100Gなのかな?

Gってなんだろ?普通にゴールドとかかな?


にしてもステータスが低いのは現代人としては仕方ないとして、戦闘に役立つスキルも武器も無いとかもう詰んでる気がしてならない…


でも仕方ないと割り切ろう。

もう無いものは無いし、こんな所でグズグズしてたら夜になってしまう。

夢の可能性も高いけど万が一現実だったら不味いし、何よりこんな何にもない場所ではどうしようもない。

軽くスキルの確認をして、使い物にならなかったら出発しよう。


まずはアイテムBOXだけど、そこら辺の小石で試してみる事にした。

上手く行けば石を投げて敵を威嚇出来るし、失敗してもあまり害はない。


とりあえず拾った小石を手のひらの上でアイテムBOXに仕舞いたいと念じてみると、フッと小石が消えた。試しに反対に出したいと念じれば、シュッと現れる。

どうも手に接触さえしてれば、ある程度自由に出し入れが出来るらしい。

そしてステータス画面のスキルにあるアイテムBOXを押せば画面が変わり、収納した種類と数が一覧となって分かる仕様だった。


次は転移。実は現状打開すると思われる期待のスキルだったりするが、現実は甘くなかった。

どうやらこのスキル、一度行った事のある場所にしか使えないらしい。

現在地がオーラル平原という名前だというのが分かっただけだった。


鑑定は使い方が悪かったのか熟練度の様な物が足りないのか、イマイチな結果だった。

時間があればまた試してみよう。

自動翻訳も比較対象が無いので保留。


最後のオンラインショップは、某密林や某有名ネットスーパーの中間の様な物だった。

試しに100Gを画面のチャージという場所に近づけてみると、コインが吸い込まれ100円チャージされた。

100円ならちょっとした物なら買えるが、現状で何が必要になるか分からないし後で切羽詰まったら買い物してみよう。

ちなみに冗談半分で入れた小石はリサイクル費としてマイナス査定が出たので、慌ててキャンセルした。ゴミと判断されると処分費用がかかるらしい。

これは何か良さそうな物が見つかったら下取りにチャレンジするとして、現状はやっぱり保留にしよう。


うん、とりあえず今は全部役に立たないな…

私は諦めて歩き出すことにした。







歩き始めてからしばらくすると、立派では無いが道らしき所に出る事が出来た。

歩き始めた時は微妙な位置にあった太陽が真上にあるという事は、どうもさっきが午前中で今がお昼ぐらいの様だ。日没が怖いので午後とかで無くて助かった。


とりあえず道に出たのはいいけど、どっちに行けばいいのだろうか?

試しに転移の画面を開くと明るい文字でオーラル平原と書かれたマップに赤と青の点があり、見切れてはいるが青の点の近くに暗色の文字でクーリシュ村と見えていた。

おそらく赤い点がスタート地点で、青い点が現在地だろう。

試しに左の道に歩くとわずかに見切れた文字が更に隠れ、逆に右に行くと文字が画面に入って来た。


「これは右一択かな。」


目的地も決まって距離的にも小一時間歩けば到着するだろうと思うと、長時間歩きっぱなしだった足にも力が湧くというものだ。

幸い今の所、獣やモンスターの様な生物には遭遇せずに済んだので何とかなるだろう。

そう自分を励まし、歩き出すのだった。







うん…今思えば、フラグを自分で建ててた気もする。私は今、角の生えたでっかいウサギに襲われていた。

試しに鑑定をすると


【ホーンラビット】Fランクモンスター。


と出た。

村はあともう少しだと思うが、まだ見えてはいないので逃げ込むには遠過ぎる。

だけど現代人が素手で勝てる相手だろうか…


ホーンラビットの大きさはアレだ、昔テレビで観たフレミッシュジャイアントラビットに似ている。中型犬くらいの身体に、鋭いユニコーンみたいな角が生えていると言えば分かりやすいだろうか?

ニホンウサギの様に真っ白な毛と赤い目をしているが、見た目が凶悪過ぎて全然可愛くない。


こいつにはさっき、歩いてる所を横から突然襲われた。

ガサッという音に振り返らなければ、今頃背中を串刺しにされていた所だっただろう。

とりあえず睨み合いに発展したが、これからどうすれば良いか分からず膠着状態になっている。


数秒睨み合いになったが、向こうが痺れを切らして突進して来た。

こうなりゃヤケだ!と角にだけ気をつけて避け、ホーンラビットの背中にしがみつく。

ホーンラビットはめちゃくちゃに暴れるが、こっちだって生命がかかってるんだ。

あちこちに打撲や擦り傷ができるが負けじとしがみつき、拾った小石の中でも大きめなのをアイテムBOXから出してただひたすら頭を殴った。


ガッガッガッガッガッガッガッガッ


血が滲み出してしばらくすれば、あんなに暴れていたホーンラビットも大人しくなった。

…何か女として、知的生命体として大切な何かが終わった気もするが、気のせいだろう。

五分くらい警戒してしがみついてみたが、ピクリともしないホーンラビットに鑑定をかけてみた。


【ホーンラビット】Fランクモンスター。角は工芸品として、肉は庶民の味方として人気。


…これはホーンラビットを倒してレベルアップして情報が増えたのか、こいつが死んだから素材として鑑定したのかどっちなんだろうか?まぁ、どっちにしろ死んだと思って良さそうだ。


のろのろと立ち上がると、身体中が悲鳴をあげた。


「ステータスオープン」



ステータス


【名前】 ユリ・タナカ

【年齢】 29

【称号】 狂戦士

【種族】 ヒューマン

【レベル】 2

【体力】 F

【魔力】 E

【攻撃力】 D

【防御力】 F

【スキル】アイテムBOX 転移

鑑定 自動翻訳

オンラインショップ

【装備】 綿の服 革の靴


ちょっと上がってる…けど、やっぱりしょぼい。しかも攻撃力だけ妙に伸びがいいのが気になる。

…ん!?ちょっと待って?狂戦士?

死に物狂いで戦ったから?

不名誉称号付いてしまったが、私はこれからどうなるんだろうか…?

楽しめたら幸いです。

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