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ありがとう、、、。(前編)  作者: チャー丸
第1章 幸福
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第6話 恋と友情

…暑い!!



初めて2人で朝を迎えてから3ヶ月がすぎようとしていた。



あれから愛子は最近仕事を始め、



お互いの休みの日は遊び、逢えば必ず愛を確かめるためにお互いを求めた。



幸せすぎる毎日だ...。



多分世界一幸せなんじゃないか?と自分では思うくらい幸せだった。



アカとヨネにもちゃんと紹介した。



ヨネは先を越されたって顔をしていたし、



アカは自分の事のように喜んでくれた。



今じゃ4人仲良しである。



今日も愛子が家に遊びに来ていたが、

門限が厳しいので今さっき愛子の家まで送って来た。



今はその帰りだ。



…遅くなっちゃったなぁ。



…この時間から自炊は面倒だから、弁当でも買って帰るか...。



オレにはいつも行きつけのお弁当屋さんがある。



相当行きつけなもんで、オーナーのおやっさんとも大の仲良しだ。



『どーも、おやっさん!!』



「オー!いらっしゃい!!また南蛮丼かい?」



『正解!タルタル多めにつけといて~。』



「あいよー。」



ココの南蛮丼は絶品だ。



お金が続けば3食これでもいいくらいだ。



「はい。おまちー。

たまには違う弁当も買ってよー。これ以外もうまいんだから。」



『はいはい!わかってますよ。』



オレは空返事をして外に出る。



南蛮以外は興味はない。



それにしても毎回美味しそうな香りがよだれを誘う。



この香りを吸い込むと冷める前に食べなきゃと頭が勝手に解析を始め、



家までマッハで帰るのだ。



外に出て車のドアに手をかけた時、

目の前をもうスピードの車が走っていく。



【ブァーーーン】



アカのスープラだ。



それにしてもものすごい勢いだ。



…今アカ泣いてなかったか?



なんかただならぬものを感じたオレは、



弁当を助手席に投げ入れ



エンジンをかけ急いでアカを追いかける。



アカは山の峠道を奥へ奥へと走っていく。



アカよりオレの方が速いはずなのに追いつけない。



コーナー1つずつ

ちょっとずつ差が開いていく。



まるで今夜ですべて終わってもいい、



そんな走りだ。



…どうした?何があった?



タイヤのグリップ力をめいいっぱい使い必死に追いかける。



…どこに向かってるんだ?



…こっちの方向は3人の秘密の場所か?



そうオレが愛子に告白した場所である。



ここの絶景ポイントまでキツイ勾配を抜け



キツイコーナーを10分位走らないとつかない。



家から近い為



たまにドラテクUPに練習しに行ったりもする場所でもある。



絶景ポイントから

2コーナー位手前の所で対向車らしきものが見えた。



…違う。対向車じゃない?



それはアカがスリップし

反対車線の壁に激突し、

無惨な姿になったスープラだった。



『オイ!アカーー!!』



嫌な予感がしてアカの車へ走った。



『アカー。大丈夫かー?』



「うーん。大丈夫。

あーあ、ぶつけちゃった

イテテテ、手首痛めちった。」



車から手首を押さえアカが降りてくる。



『アカ。身体大丈夫かぁ??』



「うん。大丈夫!たいした事ないから」



『オイ、どうしたん?』



「ちょっと、一緒に例の場所まで行かない?

タケに聞いてもらいたい事あるし、

話さなきゃいけないことがあるんだ。」



…2人は無言で2コーナー先の絶景ポイントまで歩いた。



アカは相当泣いたんだろう。



目が赤く腫れていた。



「やっぱ、タケ、

ココは、いいなぁ。

ここの景色見てると元気貰えるよ。」



『だよな...。』



………。



しばらくの沈黙後、



アカが重い口を開ける。



「あのね、今日バイト終わって裏に回ったら


リナちゃんがヨネに偶然告白してるの見ちゃってさ。


前から何となくリナちゃんは、

ヨネを意識してるんじゃないかと思ってはいたんだけど、


全然付き合ってなかったし、


明後日告白しようと思ってたんだけどさぁ。


2人が抱き合ってるとこ見ちゃってさ、


もういてもたってもいられなくてさ...。


気がついたらここに向かって走ってたよ...。」




あまりの内容に何と言っていいかわからなかった...。



「リナちゃんを想う気持ちはヨネなんかには絶対まけないんだ。


タケ僕1年前からずっと好きだったんだよ...」



オレの肩を両手でガッシリ掴みながらアカが話ている。



「ねぇ!タケ!僕はどうしたらいい??」



『アカぁー...。』



「でもこの景色見て思いは決まったよ


僕、学校辞めるわ!


ちょうどお父さんのとこで人手がたりなくて、


もう学校辞めて農作業手伝ってくれって言われてたんだ。


でも3人で一緒に卒業するまで待ってくれって言ってたんだけど


近くでヨネとリナちゃんが仲良くするの


とても笑顔で見ていられないような気がするんだ...。


別にヨネが悪いわけじゃないのはわかってるのに、


とんでもないこと言っちゃいそうなんだ...。


だから3人親友のまま僕は学校を辞める!


ずっと最近タケが彼女と仲良くしてるのを見て羨ましかったよ...。


僕の好きな人は、僕の方を全然見てくれてなかったみたいでさ、


ちょっと焦り始めて告白しようとしたらこの結果さ...。


あーーでも、ここに来て景色見て、タケに話したらスッキリしたよ。


もう後悔はないや。


あれっ?タケがなんで泣いてんの??」




『だってだってそんな悩んでたなんて...。


オレアカの気持ちも知らないで


アカの前でいちゃついたりしてたし...


ホント何もわかってなかったんだ...


ゴメン...。』



「全然いいって!

1つ親友と見込んで頼みがあるんだ。


僕夏休み入ったら実家に戻るから


それまで普通にしててほしいんだ


ヨネには土壇場になって親が倒れたって事にして戻るつもりでいるから。


僕高校まで勉強ばっかでさタケとヨネに会って、


一緒に車で走ったりして

人生で1番楽しい3年間だったよ


実はまともに友達とかいなかったからさ


いつでも一緒にいてくれるタケとヨネが僕の宝物なんだ...。


タケ僕がいなくなってもずっとマブダチでいてくれるよね?」



『ウッ...ウー...ボチロンだよぉ...。

離れてもどこに行ってもマブダヂだょー。』



「よかったぁ。これで思い残す事はないよ。


ゴメンネ タケ。


3人で卒業しようってここで誓ったのに約束破っちゃって...。


あともう1つ!愛子ちゃんとずっと仲良くね」



『ウッ..ウッ..ヒック』



「タケ泣きすぎだよ(笑)帰ろう車もなんとか動くみたいだし...」



『ウッ...ウン』



帰りは2台ゆっくり帰った。



もうアカの車から怒りのようなオーラは消えていた。



オレは何も考えられず冷めたお弁当を片手に家まで帰ってきた...。



…アカぁ...。



…アカはこの1年ずっと悩んでいたのかな...?



…オレがうかれてたときも一人で悩んでいたのかな??



…ノートとか借りたりするときだけ借りて、



…オレは親友なのに何もしてあげられなかったのかな?



『ウッ...。』



今日のチキン南蛮丼はいつもより、



なんかほんのりしょっぱい味がしたような気がした



アカは恋より友情をとった...。



言葉ににすれば簡単な事だが



実際そんな簡単な事ではない!!



…アカはなんて強いんだ。



…オレならそんな聞き分けよくない!。



…いさぎよくない!



…アカオレは何も助けになってやれなくてごめんな...。



その日泣き虫のオレの枕は何かで湿っていた...。




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