第3話 第一次ID作戦!
運命!!
あなたは、運命を信じますか?
オレが同じ質問をされたら
答えは即答で『YES』だろう
そんな運命の相手と思い込んでる人に
オレは、今恋をしている!
その相手は、名取 愛子
歳は18。1人っ子
今はプー太郎で
趣味は、カラオケのようだ。
音楽は、ミスチルやモンパチがお気に入りらしい。
今日でメールで出会ってから3日目…!!
この3日間いろいろメールして分かった事である。
でもまだ…顔は知らない。
そう オレはまだ顔も知らない愛子に恋してしまったのである。
性格は、メールしてて今の所オレとすっごい気が合う。
メールも初めてメールをした日からずっと夜中2時くらいまで続けている。
おかげ様で1時間目の授業と2時間目の授業が睡眠学習の毎日だ。
でも愛子に恋してからものすごい充実した日を過ごしている。
知らなかった
恋をすると
こんな気持ちになるんだ!
高鳴る 気持ち...
はにかむ思い...
いろんな感情がすごく新鮮でウキウキな毎日なのだ!。
しかしながらメル友になって
やっぱり気になるのは相手の顔...。
性格さえよければ…とか
性格重視で外見はあまり気にしません!
なんてよく聞くが
オレからしたら
ナゼ?である。
やっぱ顔は大事だろう。
実際の愛子は絶対今、頭の中で想像している愛子ではないのは確かだし、
頭の中にいる想像の愛子は結構レベルが高い。
こんな人だったらいいなぁの想像の人だから
この想像を上回る事はほぼ0の確率といっていい。
そんな事を思っていた夜
ついにビックリなメールが来た。
””剛さん、今度会って一緒に遊びましょう。どうですかぁ??””
…会う?
…それは、マズイだろ!!
何がマズイって??
それは、オレがあまりカッコよくなくて、チョット太っているという事。
…会ってみて、嫌われたらどうしよう。
背中を突きさす最悪なシュチュエーションが想像できた。
…面と向かってブサイクだから付き合えない、太ってる人嫌いとか言われたらもう2度と立ち直れないぞ!
どうするか、、、?
色々考え、出した答えが、、、。
””愛子さん、会う前にプリクラ交換しませんか?次会う時にお互い顔とか知ってた方が話しやすいし。どうでしょう??””
自分でもあまり経験のない恋愛の駆け引き。
でも、プリクラで気に入らなければメールは来なくなるだろう、、、。
いきなり会って直接嫌われるよりはマシと考えた。
それに秘密の作戦も考えていた。
【ピロリロリーン】
””いいですよー(・ω<) テヘペロ
じゃあ、愛子のプリクラと写真一緒に送りますね。私の住所………………なんで、剛さんも送って下さいねぇ。””
…おー。OKでたよ!
…しかも住所GET!!でも今はそれどころではない。
””わかった。オレのも送るよ。オレあまりカッコよくないかもよー。できれば嫌いにならないでほしいかな。住所は、……………です。明後日の昼ポストに入れるよ。””
…はぁー。不安でため息をつきながら送信!
数分すると、
【ピロリロリーン】
…相変わらず返信が早い!
””そんな事で嫌いになるわけないじゃないですかぁ(^o^)愛子も明後日のお昼にポストに入れますねぇ。楽しみですね♥””
…♥マークだ。
…初めての♥マークだ。
…嫌いになるわけないって。
…愛子を絶対失いたくない!
こりゃあ、作戦を決行するしかないな。
オレは、急いでヨネの家へ走った。
【ドンドンドン!】
『おーい!ヨネ。オレの大学1年の頃一緒に撮った写真とプリクラ持ってねぇ?』
そうオレ剛は、大学1年から3年の間で大飯早食の為、8kg太ったのだ。
まぁ、田舎の料理がやたら美味しいせいもある。
1年のころはまだ、何とか見れるが今は8kgも太って見れたもんじゃない。
「あった、あったー!どーすんの?コレ??」
『写真は、貸してくれ!そして、プリクラはくれ。オレの運命がかかってるんだ!』
ヨネが、ぽかーんと口を開けている。意味が分かっていないようだ。
「タケ、運命って、、、えっ??とりあえず両方あげるよー。」
『わりぃ、今度何か奢るわ。あと上手くいったら今度ゆっくり話す!』
そういうとヨネの家の扉を閉めた。
…あっ!そうだ。一言、言い忘れた!
…これ重要なんだよな!
閉まったヨネの扉をまた開けて一方的に話した。
『おーい、ヨネー!それと今日からオレを絶対外食に誘わないでくれ。頼んだぞ!』
ヨネは、相変わらずぽかーんと口を開けたまま、気が狂った人を見るような視線でオレを見ている。
そうさ、気が狂ったのさ。
愛子と付き合えるなら何でもするさ。
目はイキイキとしていた。まるで新しい会社に入った新入社員のように。
で、オレが考えた作戦は、会うまでに大学1年の頃の体重まで落とす。
リミットは、だいたい2週間!!
愛子に送る写真は、大学1年の頃の今より8kg痩せている写真。
第一次 偽りの写真!ダイエット大作戦
その名も第一次ID作戦の決行だ!
…詐欺師?
…いや、痩せてさえしまえばそれがオレだ!
…年齢詐称は2年なら大丈夫だろう。
…女の人だって化粧をするんだ!
…これくらい問題無い、、、はず。
都合の良い勝手な解釈をし、やれるだけの努力をすると誓った。
…愛子、お前の為に必死になって頑張るぞ!
それにしても2週間で8kg!
決して楽な事ではない。まして努力が嫌いなオレ。
前にもダイエットをした事もあるが、3日坊主なんてもんじゃない。半日坊主で終わっていた。
そのくらいツライ事は嫌い。
一生懸命も嫌い。
だが、やるしかない!!
嫌われる可能性が少しでも減るなら今のオレには、出来ない事は何もない。
そんな感じだ。
その日の夜もいつも通り夜メシの時間が来た。
いつもならチキン南蛮弁当大盛りに、からあげくんに、ワンタン!これがお気に入り!
愛子と変わらずメールはしていたが、
その裏では夜メシの量はいつもの大盛りとはかなり違いオニギリ半分のみ。
当然お腹いっぱいになるわけもなく、1時間後には、お腹から悲鳴が、、、。
【ぐーーーーーーーー】
ちなみにこれを日本語に訳すると
(お前、良い加減にしとけ!!こんな量で満足できるわけないだろう!)
と、お腹が怒りながら自己主張している。いつもならこの主張をのんで、ご飯を食べるのだが、今はそうはいかない!
なんせ恋の魔法だか恋の病にかかっているオレの意思は固いらしい。
しかも2時間も経つとオレの脳ミソが直接オレに話しかけてくる。
…腹減った!!腹減った!!!
コレはマズイ!!
非常にマズイ!!
立ち上がったら台所の冷蔵庫へ足が勝手に歩いていきそうだ。
…もう寝るしかない!!
それしか手段がなかった。
そんなオレは偽りのメールを愛子に送る!
''''愛子、すまん。今日はバイトが疲れたからもう寝るー。ゴメン(x_x;)
おやすみzzz''''
…送信!!
3日間の間に呼び名は、愛子さんから愛子に変わっていた。
…許せ、これも2人が幸せになる為だ。今メールを楽しくしたらオレは無意識にプリンを食ってしまう!
そう思ったら冷蔵庫に歩いて行って扉を開けて、プリンを手にとった。
それはオレの大好きなビックプッチンプリン!
これにコーヒーにかける生クリームをかけて食べるのがお気に入り!
そりゃ南蛮弁当食べて、からあげくんにワンタン食べてプリンを食べる1人暮らしをしていたら太るってもんだ!
オレは足で踏むと開くゴミ箱を踏んで開けた!
『死ねーーー!!!』
そしてプリンを思いっきりゴミ箱に投げ捨てた!
クリームも捨てた!
何かを得るためには何かを捨てなければいけない!
オレは愛子を手に入れる為に、
大好きなプリンを捨てた!!
『おーい、愛子ー!オレは、愛子の為にめっちゃ頑張ってるぞーーー!!』
恋する男の虚しい1人叫びは、決して愛子には届くわけはなく部屋に響き渡っていた。
1人で言って1人でニヤけ、笑い。
…最近1人でニヤニヤする時間が増えたな。
…ははは。
…だめだ!もう寝なきゃ。
電気を消して空腹の現実から逃げるよう布団に潜った。
…愛子、おやすみzzz、、、。
あれから3日がたった。
そうだ。オレの大嫌いなダイエットを始め、大好きで大好きでしょうがないプッチンプリンを、投げ捨ててから3日が経った。
今日は、オレの運命の相手の顔を見れる日。
そして、昨日送ったオレの写真が愛子に届く日でもある。
今日の朝ご飯は、胃が痛くて喉を通らなかった。
…写真が届いてメールが来なくなったらどうしよう。
これが、胃が痛くなった原因!!
オレは、すぐ考え込み悪い方に考えてしまい、そして胃を痛める傾向がある。
…悩んでいてもしょうがないか。学校行こっ。
と、外に出ると天気はすこぶる快晴だ、、、。
外には、ヨネとアカが学校へ行く準備をしていた。
08:25 駐車場集合!!
これは、寝坊しないように3人で決めたルール。
「おはよー」
アカがオレの登場に気がつき声をかけてきた。
そのアカの挨拶にヨネも気がつきこちらを向いた。
『いつも最後でゴメン。』
「あれ?!タケなんか最近痩せた?」
ヨネが意外な発言をする。
『えっ?そう?』
でも、よそよそしく知らんぷり!
本当は、お腹と背中が毎日くっつきそうで悲鳴が出そうなくらいダイエットをしてるのだ。
そんな中マブダチにも変化が分かって痩せた?と聞かれると嬉しいものだ。
なぜ、ヨネとアカに言わないかというと、もし愛子と付き合えるようになった時にビックリさせて驚かせてやろうと考えているからだ、、、。
『よし!行くか。』
オレとヨネは、車に乗り込みエンジンをかける。アカは、既に乗って待っていた。
『アカー。今日は前走ってー!!』
「ハィヨー」
こんな感じで、3台で結構飛ばしながら山を1つ越えながら学校へ向かう。
いつもは先頭を走るのだが、胃が痛かった事もあり、心ここにあらずであまり運転に集中できそうもなかった。
それにしてもアカ最近運転上手くなったなぁ。大人しい人程ハンドルを握ると性格が変わるとはアカの為にある言葉かもしれない。
20分のドライブの後、学校に着いた。
危ない、危ない、ガードレールに突っ込む所だった、、、。
ったく、らしくねぇ、、、。
モヤモヤした気持ちのまま1時間の授業。
授業の内容は、夢の中でどうやって好きに動けるか?
なんていうのはウソ(笑)
本当は、英語だ。
オレは、一生外国に行く予定が無い。
だから出席を取ったらあとは、睡眠学習だ。
ノートは相変わらずアカ頼み。
オレからしたら神様みたいだ。
アカ神様。
【ブーブーブーブー】
机に突っ伏して寝ているとマナーモードのケイタイがポケットで震えている。
…ったく誰だよ。愛子には、授業中は送らないでっていってあるからなぁ。
眠い目を擦りケイタイを開いた。
…愛子だ!!!
””剛さーん、写真届いたよぉ””
眠気が一気に吹っ飛ぶ内容だ!
…それにしても届いたよぉってどういう事なのだろうか?
恋愛経験が少ないオレは、頭の中の引き出しを引っ張ってみてもさっぱりわからない。
…どうする?聞いてみるか?
…でも、聞いて嫌われたらどうする?
…聞かなきゃ始まんないよな、、、。
…送るしかない!!
【ポチポチポチポチ】
””それで、どうだった?””
…送信!!
【ブーブーブーブー】
…え?何だ、この内容。
…冗談だろ??
メール内容は、衝撃的だった。
””うん、カッコイイと思うよぉ””
…えっ?カッコイイ??
…何かの間違いだろ?
…目がおかしいのかな?
もう一度メールを読み返す。
…やっぱりカッコイイって書いてある。
ケイタイを見つめたまま、お世辞でも嬉しくて嬉しくて本当嬉しくてニヤケた顔が止まらない。
あまりにも嬉しくて、隣に座っていたヨネに抱きつく。
そして、反対側にいたアカにも抱きつく。
『オィ!お前ら今日は、奢るぞ!後で飲もうぜっ!!ウー!よっしゃーー!』
そんなに大きい声で言ったわけではないのだが、
「コラー!藤原ー!授業受ける気がないなら荷物まとめて帰れー!」
先生がお怒りである。
『はぁーい』
ルンルン気分で扉に向かう。そして、扉の側まで行き、
『先生!オレ先生の授業が1番好きだわぁ』
と、先生の手を握り扉を出た。
ヨネもアカも先生も教室にいた他の生徒もみんなぽかーんと口を開けていた。
最近はもうその顔は見慣れている。
そしてまだ興奮は収まらず外に出た廊下でも
『ウー!よっしゃー!!』
と、叫んでしまった。
つまり叫ぶのを我慢出来ないくらい嬉しかったと言う事だ。
教室から笑い声が聞こえる。
アカとヨネは、今日オレが友達だった事で恥ずかしい思いをしたかもしれないが、張本人は、全く恥ずかしいと思っていない。
むしろ、この幸せな気持ちを世界に不幸せな人に分けてあげたい気持ちでいっぱいだった。
恋する人は輝いているというけど、今のオレは眩しくて見れない。
むしろ、太陽くらい輝いているかもしれないな。
…もう11時かぁ。午後の授業だるいなぁ。バックレっかなぁ。
180SXに乗りエンジンをかけ、MDを入れる。
最近のオレのお気に入りは、ドラゴンアッシュ!!
しんみりしたHIPHOPを低音を聴かせ大きめの音でいつも聞いている。
今日は気分がハイテンションのせいかいつもより更に音量が高めだ。
ここの地元名産でオレの今マイブームのチキン南蛮丼を買って家に戻った。
3日ぶりのチキン南蛮丼といえご飯半分だ。
まだ続けなくてはいけない!ダイエットを。
それでも1人でお祝いしたかった。
弁当屋さんのすぐ側にあるローソンからからあげ君とプッチンプリンの誘惑が半端無い!
…ダメだ!
…愛子が認めてくれているのは、8キロ少なかったオレだ!
…捨てるならゴミ箱に投げ捨てるなら買うな!
…このままエンジンをかけて、家だ家に向かうんだ。
ローソンからの甘い誘惑を断ち切りなるべく見ないようにして、家に向かった。
そして、家に着き、真っ先にポストに向かう。
【パカッ】(ポストを開ける音)
…おー!おー!!おーー!!!
可愛らしい封筒の手紙が!
この為に午後の授業をサボったといっても過言ではない。
ずっと気になっていたのだ!やっとご対面できる。
昼メシそっちのけで封を開けると、
写真とプリクラと手紙が、、、。
写真に写ってるのは2人。
…どっちだ??
写真を裏返すとメッセージが、、、。
“右が愛子だよぉ“
心臓が高鳴る、、、。
、、、、、、。
、、、、、、、、、、、。
、、、、、、、、、、、、、、、、。
、、、、、、、、、?!
…えっ?!
…普通に可愛いんだけど。
食いいるように写真の右側の女の子を見ていた。
この頃のケータイはケータイにカメラがついていない!
写メが取れないんだから当然画像添付すら出来ない!
だからお互い手紙だった。
…えぇーーマジ?!
意外だった。
それは、高校の制服姿でほっぺたの横でピースするその姿は、オレの想像の中の愛子のレベルを超えていた。
2人が歩いている所を想像するとまさに美女と野獣という言葉がピッタリよくハマる。
あまり可愛すぎるというのも逆に不安になるものだ。でも、素直な気持ちで返信する。
””愛子の写真も見たよ。全然可愛いじゃん。かなりタイプだよ。””
…返信。
…自分で送ったメールにしては、かなり大胆な内容だ。
でも何となく、今までのメールの内容でお互い惹かれあっていたのはわかる。
まだ、実際に会った事はないのに友達以上恋人未満ぐらいの所まではきているとオレは感じていた。
【ピロリロリーン】
””あははっ!愛子全然可愛くないよぉ。ねぇねぇ、いつ会おうか?!
明日にでも会っちゃったりする?””
超ノリ気の愛子の様だ。
…それにしても明日??
…明日はマズイ!!
…だってまだ8kg減量計画の3.5kgしか減っていない。
…どうしよー?!
…そういえば、この間25日が誕生日とかメールで言ってたな??
…ヨシ!この日しかないな!!
””愛子さぁ、25日が誕生日だって言ってたじゃん。だからもし予定が空いてたら25日に会ってお祝いしたいと思うんだけどどうかな??””
…送信。
するとすぐ返信が来た。
【ピロリロリーン】
””お祝いしてくれるのー?!嬉しい。全然ヒマだからいいよぉ。1週間後楽しみにしてますねぇ。””