第8話 すいません...。
「愛子こんな姿になって...。」
お義父さんが愛子の顔に手をあてて、
泣きながら話しかけている...。
オレは隣に呆然と立ってる事しかできなかった...。
「キサマー!!」
お義父さんの拳がいきなり顔面目掛けて飛んできた!
【ゴフッ...。】
『ウッ!!』
「車は売るって約束したんじゃなかったのか!!」
お義父さんの拳が集中砲火のように飛んでくる...。
『………………。』
「なんとか言わんか!幸せにするんじゃなかったのか?
オイッ!!たけ!!答えろ!!」
殴る拳をやめ、オレのえりを掴んで言っている。
『…………………ごめんなさい...。』
「ヒック...謝らなくていいから、
たけ!うちの愛子を返してくれよ
こんな事になる為に、私は愛子を育てた訳じゃない...。
謝るくらいなら...
謝るくらいなら返せ!
元気なままの娘を返せ!」
『ウッ...ウッ...ごめんなさい...。』
「だから謝るくらいなら初めからうちの愛子に近づくんじゃないって言ってるんだよ!!」
またひたすら顔面や体の至る所に拳や蹴りが飛んでくる...。
「これで愛子が幸せだったって言えるのか?」
『…………………。』
「えー!幸せだったって言えるのかって、聞いてるんだ!!!
どうなんだ!!!
オイッ!!たけー!!」
『ウッ...すいません...すいません...。』
「この人殺しー!!」
その後も顔の形が変わるんじゃないかってくらい、
ひたすら殴られた...。
「娘はこのまま私で引き取るから、
お前はもう2度と、
うちらの前に顔を見せるな!!」
そう言うと葬儀屋さんみたいな人達が入って来て、
愛子を連れて行こうとしていた!!
…ちょっと何やっている
『ちょっと!!待ってください。』
運び出されそうになっている愛子に近づこうとすると、
お義父さんの右フックで床にぶっ倒れてしまう。
…愛子と結婚したのはオレだ...。
…愛子は...。
…愛子は........。
『愛子はオレのものだ!!』
「何を馬鹿な事を!!」
さらに怒りを増したお義父さんの拳は、
重く、
硬く、
痛いなんてもんじゃなかった...。
お義父さんに殴られ、愛子のベットにあたり、
愛子から何かが落ちた。
…これはオレがあげたドッグタグじゃんか...。
そう!1番初め愛子に告白した時に、
バラの花束の中に仕込ませたお揃いのプレゼント...。
…お前...まだ着けてくれていたのか...。
『ちょっと待てー!』
必死に愛子を連れて行かれないように抵抗するが、
葬儀屋さんらしき人に取り押さえられ身動きが取れない!!
『やめろーー!愛子はオレのだ!
オレの妻だ!』
「お前がいなきゃ、うちの娘は、愛子は死ななくてもすんだんだ!!
お前に知り合った事すべてが、不幸の始まりだったんだ!
お前みたいなヤローは、どこかで野垂れ死んでしまえばいいんだ!!」
今日1番の渾身の右フックが顔面を捕らえ、
立ち上がる事ができない...。
「こんなもの!!」
お義父さんは愛子の左手から結構指輪を外し、
オレ目掛けて投げ捨てた!
『愛子~~~~!!』
動きたいが痛みで動けない...。
そうしている間に愛子はベッドに乗ったまま運ばれていってしまった。
『愛子~~~~~~!』
オレは必死で愛子を追い掛けた!
足もまともに痛みで動かない!
そんな片足を引きずりながら必死で追い掛けた!
だってまだ大好きだから!
眠っていても、
手は冷たくても、
笑顔なんてなくても、
この人と一生生きていくって教会の神様の前で約束したから...。
だって...。
だって今だって愛しているから...。
『待て~~~!!』
病院の玄関まで足を引きずりながらくると、
愛子は霊柩車らしき車にもう乗せられた後だった!
『待てよ~~~!
勝手に連れていくなよ~~~!
オレの妻だぞ!』
「行ってください。」
お義父さんが助手席でそう指示を出したのか、
オレの声は届かず、
車は走り出した!
『オイ!待てよ~~~!』
必死に追い掛けても、こんな体じゃ追い付く訳もなく、
地面に転がり、そのまま殴られ続けた痛みを無理して走った為、
オレは痛みで記憶を無くし、そのまま地面に倒れた...。




