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ありがとう、、、。(前編)  作者: チャー丸
第2章 苦悩・絶望
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第2話 新しい土地と新しい友達

「今日からこの営業所に来てくれた、久山君と藤原君だ。みんな面倒みてやってくれ。」



オレは単身赴任で愛子とマサを置いて一人でこっちにきた。



オレとヒサさんは右も左もまったくわからない所に来たが、



いつも2人で行動していたため淋しくはなかった。



愛子は愛子で相変わらずマサを保育園に預けパートに出掛けている。



前から保育園の先生と仲良しでオレがこっちに来てからは、



マサと2二人じゃ淋しいから、いっぱい遊ぶんだと言っていた。



二人は離れ離れだけど負けずにがんばろう!と約束したのだ。



そして今日から新しい営業所で仕事が始まった。



「じゃあ三上大吾~。」



「はい。」



何だか30代くらいの人が上司に呼ばれこっちに向かって来た。



「大吾!今日から藤原がおまえの相方だからヨロシク頼むな!」



そう言うと上司が三上さんの肩をポンと叩いた。



「で、どっちが藤原君?」



…えっ?



『あっ!オレです。ヨロシクお願いします。』



「あっそう。よろしく。」



…なんだか無愛想な感じな人だな。



「じゃあもう行くぞ。」



そう言うとスタスタと部屋を出てトラック置場の方へ歩いていってしまった。



…やべーオレも早くいかなきゃ!



オレも用意して事務室を出ようとしたら



「あのー?」



誰かが話しかけて来た。



『はいっ?』



「あの大さんって人結構クセあるから気をつけた方がいいですよ。」



『えっそうなんですか?』



「とりあえず早く行った方がいいかもですよ」



『はぁ~。すいません。』



…そうなのか?クセ者か?大さんって人は。



…やっぱりな。なんか第1印象が「あわなそうだなぁ」と思ったんだよな



どうやらオレの相方になった大さんって人は、かなりの問題児のようだ。



…あーマジかよ!胃がいてー!。



…でも3ヶ月の辛抱だからな頑張るきゃないな!



3ヶ月で道とコースに慣れたら、



前いた営業所と同じように、オレとヒサさんのペアーでまわっていいとこっちの営業所長からOKサインが出ている!



だから何があってもどんな相方でも3ヶ月の辛抱なのだ!



「オィ!藤原!!何してんだよ。客先におくれちまうだろ。

いいか今日は道教えてやるからオマエが運転な。」



…えー初日からかい?



『あー。はい...。』



緊張しっぱなしで胃がキリキリする。



そしてトラックに乗り込もうとすると後ろから怒鳴り声が聞こえた。



「オマエさぁ。乗り込む前にはまずトラックの安全点検だろ?

乗る前に確認すんのは常識じゃねーの?

向こうの営業所ではそんな事もしてなかったのか?」



『……すいません...。』



こうして新しい土地に来て初めての仕事が始まり長~い長~い1日目の仕事が終わった。



今日1日この人と仕事をして何回「すいません」と言ったかわからない。



終わったばかりは、もうグッタリで精神的にかなりきていた!



…はぁー。こんな人と3ヶ月かぁ?耐え切れるか?



そんな事を思いながら一人寮に向けて歩いていた。



「おーい。フジー!」



…んっ?



…ヒサさん。



ヒサさんがこっちに向かって走って来てた。



「フジ今日どうだった?」



『どうもこうも無いですよ。なんなんすかあの人は!マジハンパないですよ。超つかれた!』



「はははは。あの人、大さんとかいう人みんなに嫌われてるらしいよ。

全くフジはついてないな。」



ヒサさんは笑っているが全くもって笑えない...。



『ヒサさんの相方はどうなんすか?』



すると後ろから呼び声が聞こえた。



「お~~~~い。」



…えっ?誰?



誰かが手を振りながらこっちに向かって走って来てる。



しかもなんでか全力疾走!



「あっ!フジ今走ってきてんのがオレの新しい相方!

ヤノッチって言うらしいよ。

全く変な奴で天然入ってるけどまぁまぁ面白いかな?

確かフジと同期だと思うよ」



「ハァハァ、お二人さん寮なんですよね。ハァハァ。じゃあ僕も一緒に帰ってもいいですかね?」



…あー!この人!事務室出る前に声かけてくれた人かぁ!



…一緒に帰る?うちらと?



オレとヒサさんは目を見合わす。



別に断る理由はない。



『あっいいよ全然!』



「ふぅ。よかった。走ったかいがあった。

あの藤原さんですよね?僕矢野って言うんですよ。多分同期だと思うんでヨロシクです。」



『あーどーも。矢野さん何歳ですか?』



「26です。」



『あっ!一緒だ。』



「やっぱり!ヒサさんから藤原さんの話聞いてそうじゃないかと思ってたんですよ。」



『じゃあ矢野さんタメ口でいいよね。』



「モチ!ヤノッチって呼ばれてるんで、藤原さんはフジさんでいいですかね?」



…フジさん?



…なんか富士山みたいで変だよな。



『フジでいいよ。ヒサさんもそう呼んでるし。』



「了~解!ヨロシクです。フジ!」



「ねぇねぇお二人さん?オレもいること忘れちゃいません?」



ヒサさんが話を割って入ってくる。



『別にわすれてないですよ(笑)』



3人で目が合い自然と笑みがこぼれた!



「じゃあ親睦会を兼ねて飲みに行きましょうよ。僕いい店知ってますから。」



…飲みか?



…オレ飲めないんだよな。



ヒサさんの方を見ると目の中に酒の字が書いてある!



…はははノリノリだなヒサさんは。そりゃお酒好きだもんなヒサさんは。



「さぁフジもいこうか?」



…ほら来た目の中に酒の字男!



…目キラキラ男かな?



…あの?まぶしんですけどあなたの目が!



『オレあまり飲めないんですけど...。』



………………。



「ヤノッチ!フジもいくってよ。」



…まだ何も言ってないし



…OKだしてないし。



…ヒサさん気が早いんですけど!



『じゃあどうしよっかなぁ?』



「じゃあお二人さんこっちです。」



…オイッ!ヤノオマエも人の話を聞け。



二人は笑いながら俺の左右にわかれ両腕を二人にガッシリ掴んで離れないようにしている。



…ひょっとしてラチですか?



…みなさんここにラチ班がいますよー!キャッー!助けてー!



そんな心の叫びは届かず、



オレは「ドナドナ」の子牛のように自分の意思とは関係なく連れていかれるのだった。



…あーれー。


「はぁーい そこの綺麗なお姉さん!ビールあと...うーんと...3つ!」



…3つも?



…ヒサさん飲み過ぎ!



…笑いすぎ!



…こわれすぎ...。



『ちょっとヒサさんオレ気持ち悪いんでトイレ行ってくるっす。』



…はぁ不甲斐ない...



こうなるって解ってるからなぁ。



…だから来たくないんだよな。



…いつ飲んでもビールって苦いとしか思えないなぁ。



…どれだけ飲めばあんなおいしく飲めるようになるんだ。



…あー気持ちわりー。



『うぇ~~~~~。』



席に戻ると顔が、ゆでだこ男2人がジョッキ片手に楽しそうに語り合っている。



「おーいフジ大丈夫V?」



こっちが、ゆでだこ1号ヒサさん!



…顔が全然心配してる顔じゃないんですけど...。



『大丈夫っす。吐いたらちょっと楽になりました。』



「そっかぁ。じゃあフジはもう無理すんなよ!

ヤノッチはまだいけるか?」



「バッチコーイです。」



「じゃカンパーイ!」



…はははは、まだ飲むんですね...。



そして

………30分後…………




「いやーのんだのんだ!」



…ははは。そりゃあんだけジョッキ、ガバガバ飲めばもう充分でしょ?



「ヒサさんもう1軒行きますか?」



…アホか!!全くなんて事を言う!コラゆでだこ2号!



…つーかヒサさんこんなもう飲んでんだから行く訳ないじゃんかよ!空気読め空気!



そしてヒサさんの顔見るとまた目が酒マーク!



…まさか...。



「おー!行くか?」



…エッー!行くんかい?



…まだ飲むんかい?



…どれだけ飲むんですかあなたは?底無し沼かい!



『ヒサさんもヤノッチも明日仕事だからもうダメです。

さぁ早く帰りますよ!』



…止めないとホントにいきそうだからな。



…危険だこの2人は!



「ヤノッチダメらってよぉ」



「しょうがないーですね」



…何々?オレ悪役系?酒飲みの気持ちはよくわからん!



「オシッ!じゃあ帰るどー。」



「オーーーー!!」



…何そのテンション?高っ!!



…大変だ!マジ酔っぱが2人!手が付けられん!



「オイッ!邪魔だ!通れないぞ。どけお前!」



…???



…えっ??



…ヒサさんあなた誰に文句言ってるんですか?



…だってそれは...。



…オレが知る限り自転車じゃん!



『ヒサさん、自転車に話しかけてどーすんすか』



「いや!コイツがオレに喧嘩うってるからよぉ」



…自転車が?そんなバカな...



「みてろフジ!今制裁を与えてやるから!くらえ剛腕ラリアット~!」



…キャーー!ヒサさんなんて事を!



【グァシャーン!!】



自転車はヒサさんの怪力ラリアットで1mくらい吹き飛んでいった!



「どうだ思い知ったか?」



「イョッ!ヒサさん日本一!」



ヒサさんはガッツポーズをし、



ヤノッチは拍手で讃えている。



…バカか?この2人は?



『まったくダメですよー』



そう言って自転車を起こすと、もう二人はスタスタと先に行っていた!



…コラー待てー!



二人がスタスタ行った先で今度は誰かとモメている。



…はぁ?次はなんだ?まったく世話がやける!



モメてる相手は怪しい看板を持ったお兄さんだ。



「今の時間 60分6000円ですよ~。」



「ねぇそこの看板持ってる兄さん!1000円にまけてーな。」



「そうだヒサさんがいってるんだ、まけろまけろ。」



…まったくこのゆでだこコンビはもうー。



『いくらなんでも千円は無理ですよー。』



お兄さんが困りまくっている。



そりゃそうだこんなタチ悪い2人!オレも知り合いじゃなければ他人のふりをしたいくらいだ。



『あっ!すいません。この人達酔っぱらいなんで、気にしないでください。』



そう2人の代わりに謝っているとタコ2人組はもういない!



…オイッ~~~~!!



…自分勝手だなもう!



「ヒサさん何か飲みたいなぁ」



「そうかヤノッチ。じゃあ寛大なオレが二人にただで、おごってやるからそこで待ってろよ。」



「うりゃーーー」



そう言うと全力疾走で自動販売機、目掛けて1直線で走って行った!



…ただで??



…まさか!!??



「喰らえ!ダイナマイトキック!」



…バカだ。バカ過ぎて手におえない。



【バッキーン!...ウーウーウー】



「ヤッベー警報機だ!おまえら逃げるぞ!」

自動販売機の警報機が繁華街の夜の街やかましく鳴り響いている



…ヒサさん自分で蹴っといて、逃げ足早っ!!



3人は猛ダッシュで寮まで走って帰った...。



『ハァハァ、もうヒサさんもヤノッチもいい歳なんだから、ハァ 勘弁してくださいよ。』



「ハァハァ。もう無理死ぬー!。吐きそう。オレもうここで寝てくわ。」



地面にヒサさんが寝転がり始めた。



…本気でここで寝る気かな?



『だめですよ。風邪ひいちゃいますよ。ヤノッチヒサさん部屋まで運ぶから手貸してくれよ。』



「いやいいです。僕もヒサさんの隣で寝ますから。じゃオヤスミなさい。」



…コラーーーーーー!!



「おーヤノッチオレの腕枕貸してやっから。」



…オイーーーーーー!!



「あっヒサさんいつもすいませんねぇ」



…「あっすいません」じゃねーーーーー!!!!



…しかもいつもって今日初対面だろーーーー!!



『まったくダメですー!部屋で寝てください!』



…ダメだ揺すっても起き上がりそうな気配もない。



『ったく。しょうがないなぁ。ヒサさんしっかりつかまってくださいね。』



「う~~ん...」



…お、重い...。



…今日1番疲れてんのオレなんですけど。



なんて思いながら肩に掴まるヒサさんを運び、



次にヘトヘトになりながらヤノッチも運んだ。



…ふぁー疲れた!



やっと自分の寮の部屋に帰って来た時には日付が変わっていた。



…あの二人酒癖あんな悪いんだ。



…まるで酒飲むとクッパとワリオだな。悪の帝王そろい組って感じか?



…っていうか1つはっきりしたことがあるな。



…もう絶対あの2人とは飲まん!



…体がいくつあっても足りやしないよ!



疲れがどっと体中にまわってきて、耐え切れずベットに倒れ込みながら携帯を手にした。



…愛子なにしてっかな?つーか起きてっかな?



離れ離れになってから毎日10分くらい仕事が終わって帰って来たら電話する約束になっている。



【プルルルルルルル】



「はぁーい。たけたん?」



…おっ!?出た!



『おー寝てなかった?』



「起きてたよって言ってももう寝るとこだったけどね。たけたん随分遅くない。」



『あのさ、今日....』



新しい相方の話、

新しい友達ヤノッチを入れた3人で飲みに行った話!

酔っておかしくなったヒサさんの話などを話した。



「そうなんだぁ。いろんな事があったんだね。

新しい相方の方は大丈夫なの?」



『うーん...。いや微妙だよね。』



「まぁ無理しないで頑張って!たけたんなら大丈夫だよ。」



『うん!頑張ってみるつもり。マサはどうした?』



「もうとっくに寝ちゃったよ。」



『だよなこんな時間だもん。

オレも明日仕事だからもう寝るよ。』



「えっーー!?もう切るの!サビシイ!!」



『じゃあどうすりゃいい?』



「えーとね。じゃあ毎回切る前に大好きって言ってよ」



…????



…毎回切る前になんだって???



…大好きってって??



『エッーー!!毎回??』



「なにっ!!嫌なの?」



声のトーンが一気に下がったのがわかった。



『嫌じゃないけど...。』



「じゃあ ほら どーぞ。」



…ほらどーぞって言われたってな。最近あまり前みたいに言わなくなったからな言った心の準備ってもんが...。



…ヨシッ!言うぞ!



『ダ...ダィスキ...。』



「あはっ。本当に言った。うけるぅ(笑)」



『何だよ!愛子が言えって言ったから...。』



「だってさたけたん結婚してから、あまり言ってくれなくなったからさ。さっきちょっと笑っちゃったけど嬉しいよ。

愛子もたけたんが大好き!」



…ハハハ、寝る前になんて会話をしてるんだ?



…なんか顔が熱いな。



…オレもひょっとしたら今だけゆでだこ3号かな??



『じゃあまた明日な。オヤスミー。』



「はぁーい。また明日ねぇ。」



いつも側に居て当たり前だった愛子。



すぐに会えず、手が届かないとこに行くと、相手がどれだけ大切かを思い知らされる



でもちょっと相方で悩んで凹んでいたオレはこの電話でちょっと元気を貰ったような気がした。



…愛子サンキューな。



…明日ももう少し頑張って見るか!



そう思いながら眠りに着いた。



(この時2/2! 12/30の帰還まで約334日くらいの出来事)






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