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9話 助かる助からないじゃない、ただ純粋に好きだから助けるんだ

「っえ、あ、貴方だけじゃないの!?」


愛月は篤姫からの言葉に驚いている。俺は愛月の事だから最初からわかっていると思っていたそうではなかったようだ、あまりに衝撃的な事なのか冷や汗をかいている。


「当たり前じゃん、何言ってるの?あんな大事な代物私だけに任されるわけないじゃん、念には念を、だよ?」


またも篤姫はニヤニヤしながら下から覗き込むように愛月を見た、余裕ぶっている顔だ。


「・・・いや、ちょっと待ってくれよ」


確かに篤姫だけじゃない事はわかったが、重要な事がわかっていない、それは


「ん?なに?お兄さん」


「篤姫だけじゃない事はわかったぞ、でも、お前がこんな倒されてるか倒されて無いかなんてどうやってわかるんだよ?監視でもされてるわけじゃあるまいし」


思う事がある、携帯電話も知らないこの世界に監視カメラ、つまり電気製品が存在するとは思わない、つまり倒されたか倒されてないかなんて分かるはずもない


「!そ、そうだよ!悠月が言う通り貴方監視されてるわけじゃないんでしょ!?そんなのどうやってわかるのよ」


おい、愛月それってなんかすごい嫌な、えっと、フラグだっけか?するんだが


「え、そんなのもうとっくに失敗したから後は任せたって報告したよ、この道具で」


篤姫はそう言いながら舌を出した、その舌には何か黒い文字が書かれている、読めないが


「っ!それって、仕事で失敗した時に使う魔法の・・・!」


・・・これって魔法なのか、へぇ~、凄い置いてきぼりなんだが、それとつまりそれって、もう敵が向かってるって証拠なんじゃ・・・?


「うん、そうだよ~これでお姉ちゃん達の負けだねぇ、私なんか比じゃないくらい強い人達いっぱい来るだろうからね~」


えっ、俺お前だけで十分強いと、じゃなくて


「お、おい!愛月!こいつの言う事が本当だとしたら早く逃げ」


俺は早くこの場から去った方がいい、そう思い愛月に話しかけようとした瞬間だった、愛月の腹にナイフが刺さった


「っうぁ・・・!!」


「っ!!愛月!!」


な、なんだ!?、何がどうなってんだ・・・い、いきなり愛月の腹にな、ナイフが・・・!?


俺が愛月に話しかけようとした途端にいきなり愛月の腹にナイフが刺さっていたんだ、まったく状況が掴めない


「あっ!お~い!弦歌~!」


篤姫が笑みを浮かべながら俺の後ろへ大声で言った、その笑みは今まで見た事がないくらい本物の笑みだった、別にそんな物は今のこの状況にはどうでもいい、不必要な物だが


「うるさいぞ~、篤姫」


っ最悪だ、こいつがこんな顔でしかも親しげに、名前も知っていて、つまり敵、愛月にナイフを刺した本人が俺の後ろに居るんだ


「やぁ、少年篤姫が世話になったみたいだね」


硬直したまんまの俺の肩に手を置いて耳元で言ってきた、背筋が凍った、とてつもない殺気だった、こんなの自殺したくなるに違いない


「弦歌~!早く解いてよ~!」


「ちょっと待ちなよ、その前にこの女を殺さないといけないんだからさ」


!!そうだ、固まってる暇なんてねえぞ!!俺!早く愛月を抱えて逃げないと!いや、その前に!


「っこの!!」


たかが数時間しか話していないやつだけど、こんな気持ちが悪い独り事が多いヤツなんかに話しかけてくれたお前を俺はなんとしても助けたい!いや、違う!そお前はもう一人の俺なんだ!お前は俺なんだ!自分を助けるのに理由なんかいらねえだろ!!


「っと、危ない危ない、いきなり殴りかかってくるなんて君怖いな~」


「っくそ・・・」


無駄に鍛えていた筋肉で思いっきり殴ってやろうとしたが、弦歌という男は俺の拳を軽々と避け、言ってきた


「ちょっと~!弦歌!なんで私を助けてくれないの!?私弦歌の彼女なのに!!」


「だからちょっと待ってって、俺は篤姫に手を出したこいつらをやろうとしてるんだよ?」


弦歌という男はどうやらこの女、篤姫という女の彼氏らしい、いや、そんな事はどうでもいい!よそ見している今が反撃のチャンスだ!!


「っ、こっちもあんたと同じで傷つけられた身だっての!!」


俺はそう言い返しながら今度こそと思い一応殴る素振りをしながら回し蹴りを思いっきり腹へ放った、そして放った回し蹴りは予想外に当たり、その男は2m近く飛んだ、俺は内心結構驚いた、初めてだったからだ


「おっと!、おぉ、結構痛いね」


「っ、やっぱダメか・・・」


くっそ、結構手ごたえあったと思うんだけどなぁ・・・まぁ、当たり前か俺はただの一般人、こいつはおそらく化け物だしな


「おぉ、兄ちゃん結構やるね、さっき私に腹刺されたはずなのによく動けるねぇ~」


・・・そう言えば、そうださっきまで痛い筈だった痛みがな、い・・・?


「っえ、き、傷口が無くなってる・・・!?」


俺は怪我した部分の痛みが無くなっている事に気づき見て見た、そこには斬られた跡も何もなくなっていた


「・・・へぇ~、君ただの人間じゃないんだ」


男は先程まで笑っていた笑みをなくし、無表情になった、いや、今はそんな事気にしている暇はない、一刻も早く愛月を連れて逃げないと!


「愛月!逃げるぞ!」


「っぅ・・・ゆ、づき・・・」


俺は一刻も早く逃げようと愛月の膝に手を入れ、お姫様抱っこのようにし逃げようとしたが、現実はそんなに甘くない、漫画やアニメの場合何かが起こって逃げられるが・・・


「おいおい、どこに行くんだい?君」


愛月と共に逃げようとした瞬間に後ろから蹴りを入れられ見事俺と愛月は地面に転がった


「っ痛・・・!あ、愛月!」


転がった衝撃なのかわからないが、愛月の腹からは大量の血が出てきていた、このままでは確実に死ぬ


「敵を背後に担いで逃げようなんてそんなうまくいくわけがないよ?君、バカなの?」


っ、確かにそうだ、俺は今何しようとした、改めて思うが今のは凄い危なかった、後ろから刺してくれって言っているようなもんじゃねぇか・・・!


「はぁ~、弦歌~、遊んでないで早くしてよ~!疲れた~!」


「ん?あぁ、ちょっと頭にきてね、敵を無視して逃げようっていう選択を選んだこいつがムカつくらからね、ちょっと遊びたくなったんだよ」


何の感情もつまっていないかのような冷たい目で俺を見てくる、凄く冷たい目だ。でもそれがどうしたってんだ、そんな事はどうでもいい、早く愛月の血を血止めしないと!


「っ、これで・・・」


俺は服の端の部分を引きちぎり愛月の腹に巻いた、よくここまで引きちぎれたなと思う。


「っぅ・・・」


「・・・よし」


多分、一応血止めはできたはずだ、それにしても敵さんは随分と優しいな、攻撃してこないとか


「ねぇ、弦歌、何してるの?早くやっつけて私助けてよ」


「ちょっと待ちな、今攻撃したところで楽しくないからね、彼があの女の応急処置をし終えたところでやるよ」


二人はそう言い会話していた、どうやら俺達にも少しは救いがあるのかもしれない、諦めるな考えろ、逃げるためには・・・


「・・・ぁ、そうだ・・・」


確かあの女の近くには刀が落ちてたな、あの刀を使えば少しは戦えるんじゃ・・・?、俺はそう思い女、篤姫の方を見た、予想通りだった、篤姫の足元には刀が置いてあった、あれさえ使えばもしかしたら・・・


「ん、終わったようだね、それじゃ」


相手の会話なんて知ったこっちゃない、こっちは命掛けなんだ、構ってる暇はない!!、俺は弦歌という男が話している間に一気に女、篤姫の元へダッシュした


「っ!君、少しは人の話し聞いたら・・・へぇ」


「もう!!弦歌なにしてんの!?本当に殺す気あるの!?」


俺は中学の頃陸上部に所属していた、主に競技は短距離、100mと走り幅飛びだ、筋力は落ちていなかったのか男に何かされる前に刀は取れた


「っくそ・・・」


この女、軽々ともってたくせに・・・っすっげえ重いじゃねぇか・・・、刀を持ったまではいいが、凄く重い、十キロはあると思う


「ははっ、両手でいっぱいだな、君」


「っ・・・あぁ、そうみたいだ」


・・・この状況、死ぬ確率9割に、生きる確率1割・・・、うん、最悪だ、こんな状況いつ死んでもおかしくない・・・こうなったら今の内に思ってる事をぶちまけよう


「っ愛月、たった数時間だったけど、楽しかったぞ、久しぶりに友達?って言えるようなヤツと話せたよ、本当楽しかった、ありがとうなあ、後俺惚れっぽいからさ、その、好きだ」


「・・・」


恐らく痛みで気絶している愛月へ言った、これだけは言いたかった、だって死んでからじゃ言えないし、何より言いたかったから、それとすっげえ恥ずかしい


「ん?あの女は、君の彼女じゃないのかい?」


「・・・彼女じゃねぇよ、今日会ったばかりだ」


「・・・へぇ、そうなんだ」


「え、彼女じゃなかったんだ、私彼女さんかと思ってた」


愛月が俺の彼女か・・・うん、それだったら嬉しいな、でもそんな事はぜったいありえない、何故ならあいつは俺なんだから、それにあいつは俺の事を何とも思っていないだろう、たかが数時間だ、友達と言えたらそれだけでも凄い方だ


「へぇ、今日会ったばかりの女を助けるか、凄いね君、今命危ないのに」


「・・・あいつは俺のもう一人だからな」


・・・そう、あいつは友達でも彼女でもなく、俺なんだ、もう一人の俺なんだ、家族同然、助ける理由はない、自分を助けるのと同じなんだ、ただそれが女だったから恋しちまったけど・・・、うわ気持ち悪い


「?言ってる事がよくわからないけど、殺させてもらうよ」


男はそう言うと走って来た、とてつもないスピードだ、俺の早さなんか目にもくれないぐらいだろう


「っ、もう一人の俺、いや、愛月、助かれよ・・・」


俺はそう口に出し、刀を鞘から出し、両手で持ち、迫ってくる弦歌へできる限りの力で振り下ろした


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