6話 もしかして俺ってヒロインじゃね?
「まぁ、いいか今お姉ちゃんが能力持ってるってわかって内心結構焦っちゃったからねぇ、ありがとうね教えてくれて」
「えっあ、いや」
もう、遅せぇよ・・・っクソ、普通異世界?に行った主人公はこんな傷気にもせずヒロインを助ける筈なんだけどな・・・あ、俺主人公じゃないじゃん・・・それとヒロインって誰だよ・・・
「んじゃ、お姉ちゃん死んでね!」
「っぅ」
女は獲物を仕留めるかのような瞳、そして刀を愛月に向けた、微笑んでいる割には殺気がかなり漂っている。
「っ、お、おぃ、愛月」
おい、俺呼んでどうするんだよ、あの女に勝てると思ってんのか?俺は、こんな怪我してるんだぞ・・・?意識保ってるのもやっとなんだぞ・・・?俺は何に期待してるんだ・・・?
「!な、なに?」
・・・あ、そうだ、愛月の能力?を使えば愛月だけ逃げられるじゃねぇか、そうだ、何で戦うなんて選択をしようとしてたんだ俺は
「っそ、そいつと、戦うな、お前は、その能力を、使って、逃げろ」
・・・今更だけど、俺凄くないか・・・?背後から腹切られて意識保ってんだぞ・・・?凄くね?
「!え、で、でも!」
「見た所、お前、武器になる物、何も持ってねぇじゃねか、そんな状況で、どうやって敵と戦う、んだよ、しかも、能力は相手にもう、話しちまってるし」
悲しい話だが仮にも、多分こいつはもう一人の俺なんだろ、ならこいつに生きてもらって俺の変わりに人生を謳歌してもらおう・・・いや、謳歌は無理か、こんな世界じゃ・・・
「ぅ、そ、それは」
「ねぇ、何二人で会話してるの、後、お兄さんまだ生きてたんだ、凄いねその出血の量で」
女は俺と愛月が話している事がわかり、少し不機嫌そうな表情をした、理由としては自分が空気になっていたからであると思う。
「っ、ほんと、こんな出血の量でよく俺、生きてんな、すっげえ痛いが」
平行世界?に来て俺、人間じゃなくなったんじゃね?いや、そりゃないか、じゃなくて
「おい、愛月、俺の話し聞いてただろ、早く行けって、俺はこの出血の量だ、もう無理だ、お前は仮にももう一人の俺なんだろ?お前は生きて幸せになってくれ、俺の代わりに」
友達が全然居なかったせいか自己愛が俺は生まれたのかな?よくわからないけど、俺は自分が好きだ、他人は好きじゃない、でも自分は好きだ、だから俺はこいつが好きなんだろ、自分だから、だから俺はこいつに生き残ってほしんだろ、多分。
「っ、さっきからなにいってるの?」
俺がそんな事を思っていた時に、声色を変えながら愛月は言ってきた、正直言うと、結構怖い、いや、本当に怖いんだけど
「な、なんだよ、早く逃げろよ、俺は」
「私は自分が好きなんだよ?」
・・・ん?、今何て言った?私は自分が好き・・・?
「私は自分が好きなんだよ?なのに何で悠月を見捨てる事になるの?悠月はもう一人の私なんだよ?私が私を見捨てるわけないじゃん」
・・・流石、もう一人の俺だ、思考回路まで俺と同じなのか、ここまで同じだと認めないといけない、と言うか認めたい
「ねぇ、そろそろ怒っていいよね、ううん、違う私があの女を殺しにいかないのがダメなの、そうよ殺さないとね」
女はあまりにも自分が空気になっている事が、というより自分をほったらかしにしている事に頭にきたのかぶつぶつと独り言を言っている、言っている内容はかなり危険な様なが気がするが聞こえない。
「うん、殺そう、殺さないとね」
女はそう言いながらこちらへ近づいてくる、完全に怒っているのかよくわからないが危険な香りがする。
「お、おい愛月わけのわかんない事言ってないで早く」
「わけわからないなんて事、ないよね?仮にも悠月はもう一人の私なの、思考回路なんて同じの筈だよ?ねぇ、悠月」
・・・なんか、愛月が怖いんだが、いや、初めて会った時のおっとりとした空気はどこにいったの?後、顔近いぞ、それと俺独り事多いぞ
「私は自分を見捨てる事なんてできない、私は自分を愛しているんだよ、だから私は悠月の事も愛してるんだよ」
・・・・・・・こいつ、今すっげえ事暴落したぞ、俺は耳悪くねぇからな、空耳でもねぇし、ちゃんと聞こえたぞ愛してるって、あぁ、痛いのに恥ずかしいは
「ねぇ、さっきから二人で何話してるの、私も入れてよ、後敵を目の前に何余裕ぶってるの?そういうの腹立つんだけど!!」
女はこちらへ猛スピードで駆け抜けてきた、距離も距離だっため、一歩だけで間合いを詰めてきた。
「っお、おい!あい、ら!!」
「悠月は私が守る、巻き込んでしまったのもあるけど、でもそんな理由よりも私は自分が大好きだから、愛しているから、もう一人の私を守るの」
愛月はそう言うと、組手の姿勢を作った、その姿勢はただの脅しでもハッタリでもなさそうだった。はっきり言おう
「っ、か、かっこいい」
なんだこれ、可愛いくせしてかっこいいとか、完璧じゃねぇか。こいつ本当にもう一人の俺?・・・ぁ、やばい、視界が霞んできてる
「なに組手?そんなので刀に対応できると思ってんの!?」
女は愛月の組手に少々戸惑っているのか、止まった。一方で愛月の表情は何か覚悟でも決めたかのような顔、また大きな目は鋭い瞳に、そして何か誇ったかのような表情をしている。
「私は自分を守る為なら本気になれる、勿論悠月を守るためにも本気になれる、他人なら全然本気になれないだろうけどね」
・・・あぁ、なんだこの顔、すっげえかっこいい、可愛い顔しててかっこいいとか、本当すげえよ、あれ・・・眠くなってきた・・・
「はぁ?さっきから何意味の分からない事言ってるのよ、いい加減うざいんだけど」
「うざいのなら殺せばいいじゃない、貴方は私の敵なのよ?その刀で早く私を殺せばいいじゃない、そんな簡単な事もできないの?」
おいおい・・・愛月、何で相手を煽るんだ・・・かっこいいけど、その刀に太刀打ちできるとは思えないんだが・・・?
「っ、腹立ってきた、さっきまでビクビク震えてたくせに!!」
女はそう言い刀を愛月に振り下ろした、振り下ろしたスピードは尋常じゃなかった、流石異世界、平行世界と言った所か、人間業じゃなかった、だが
「それは私に覚悟がなかった証拠、そして」
愛月はそれ以上に尋常じゃない早業で女の手を掴み、投げ飛ばした、刀は投げ飛ばされた勢いで中を周り愛月の足元へ突き刺さった。
「っぅぅ!!」
「私のもう一人である、悠月は絶対に殺させないし触れもさせない。悠月は私の家族なんだから」
・・・ぁぁ、これ、決定だわ。強いし可愛いしかっこいいし、うん、惚れたわ。いや惚れるの早すぎって言われても仕方ないと思うけど、惚れたわ・・・ぁ・・・もう、無理、だ・・・
「っく、ぅ、つ、強い」
「私は自分の為、悠月の為なら本気で戦える、愛しているから」
「っふふ、変な、お姉、ちゃん」
俺は薄れゆく意識の中、分かった事がある。愛月があの凶悪な女に勝ったんだ、すげえ、あれがもう一人の俺なんだ・・・
「貴方は私にもう勝てないよ、刀は奪ったから」
「っ、わかってるよ、私の負けだよ、お姉ちゃん」
女は愛月を殺すはずだったか負け、何故か満足そうな顔をしている。その顔は何かすっきりしている表情にも見えた。そして、女は悠月と同じく意識を手放した、意識を手放した理由としては打ち所がわるかったのとだと思う。
「さて、と早く悠月を治療しないと!」
愛月は気絶した悠月を家へ背負い、家へ運んび、そして女は念の為ロープで体全体を縛り木へ縛りつけた。