4話 俺を呼び出した代償酷すぎるだろ
「っな、なに、言ってんだ・・・?」
意味わかんねぇよ、俺が愛月??なに、言ってんだ・・・?
「っ、変な事を言ってるのわかってる!でも!」
「っちょ、ちょっと待ってくれ!」
「!う、うん、ご、ごめん・・・」
ちょっと待てよ、意味わかんねぇよ何で俺が愛月・・・?・・・まさか
「っな、なぁ愛月」
「!ん、ん?」
・・・もしかしたら、いや今の言葉を素直に受け取れ、うん
「お、お前の言いたい事って実は愛月って名前じゃなくて、本当は悠月って名前なんだろ?」
これなら納得がいく、・・・いや、いかねぇよ、もしそうだったとしたら俺と愛月ってなにもかも被りすぎるだろ、これは絶対ない、いや否定してほしい、悠月なんて名前男だけにしてくれ、愛月は愛月って名前で十分だ、うん、自分で考えておいてなに言ってるかわかんねぇわ
「・・・ううん、違うよ」
愛月は期待かなにかしていた表情から何故か興味のない物を見るような無表情な顔になった、おい、その顔やめろよ俺傷付くわ、というかこれが違うんだったら今愛月が言った意味が意味わからないんだが
「っじゃ、じゃあどう意味なんだよ・・・?さっきのお前がお、俺?だって」
いや、正確には俺じゃなくて俺の名前か、すっげえ恥ずかしいというか後悔がくるわ
「・・・信じてもらえない、かもしれないけど」
「あ、あぁ」
信じてもらえるか不安なのか愛月は少しどもりながら言った、その表情は結構辛そうだった。
「・・・ふぅ、私はね、愛月はね、悠月のもう一人の私なの、悠月の住んでいた世界とはまた違うもう一人の私なの」
頭を鈍器かなにかで殴られたように頭が痛かった、なにいってんだこいつどころじゃねぇ、そんな話しを信じろと?
「あ、あ~、なんだ、いくらお前と俺が似てるところがあると言っても外見までは似てないぞ・・・うん、内心も全然似てねぇよ」
愛月、いくら俺と初対面として、ここまで楽しく話させたとしてもその冗談はいくらなんでも引くぞ、そんな冗談はもっと仲良くなってからでなきゃ
「・・・やっぱり信じてもらえないよね」
「あぁ、いくらなんでもいきなりすぎるし、証拠もなにもねぇしな、信じる方がおかしいぞ」
俺はお前の信仰心じゃねぇぞ、確かに愛月は今まで見てきた女の中で一番可愛いと思うよ?でもいくらなんでも可愛くて信じるなんてありえません
「・・・うん、そうだね。じゃあ悠月、平行世界って言葉、聞いたことある?」
「ん?あぁ、聞いたと言うかパソコンで見た事あるぞ」
あ、パソコンなんて言っても意味ねぇか、愛月知らねぇんだし
「パソコンが何かは知らないけど、そっか、知ってるんだね、じゃあ話しは早いけど、悠月、貴方は私のもう一人なの、この世界のもう一つの世界が悠月の世界なの」
「・・・へぇ~」
悪いな、愛月俺は思った以上にバカでな、全然信じられねぇしまず平行世界なんてあったのか、そしてお前は俺が平行世界から来たって何で知ってるんだ
「・・・信じてない顔だね」
「いや、そりゃそうだろ・・・第一平行世界がどうとか俺は知らないし、そんな事言われても証拠でもなんでもねぇよ」
もっと話しが遠くなったわ、平行世界がどうしたよ、俺はその世界から来たって?馬鹿馬鹿しい
「っ、私はね、この道具を使って悠月を呼んだの」
「?なんだそれ?」
愛月は少し表情を暗くし、スカートのポケットからクリスタル?らしき物をだ出した、だがそのクリスタルは割れていた
「これはこの世界にたった一つだけの道具、なんでも願いを叶えてくれる道具、でもその願いを聞いたらこの道具、クリスタルは割れてしまうの」
「・・・え」
ん?つまり愛月の願いを聞いたからこのクリスタルは割れたと?・・・え
「っえ、お、お前そんな大事な道具を・・・っ」
「わたし一人暮らしでね、全然人と話せてなくてね、誰か話し相手、というか家族みたいな人が欲しいなって思ってた時にこの道具の事を思い出したの」
「・・・そういえば、愛月以外に人、全然居ねぇな、家はあるのに」
家族みたいな人が欲しいと聞こえたが多分なにか気のせいだろう、うんきっと気のせいだ、そして別にやましい気持ちなんてねぇぞ
「ここは街から結構離れてるからね、皆家を捨てて街の方へ行っちゃったんだ、わたしはここ以外に家がないからここにしか住めないから」
「そういうことか」
ん?街から結構離れてるってどういう事だ?さっき街の名前はって言ってたのに
「街から結構離れてるってここ街じゃなかったのか?」
「ここは街の中でも一番はじっこのところだよ、家賃も安いから」
愛月は苦笑いしながら寂しそうな表情でそう言った、うん、やけに現実味な言葉を出してくるな、胃が痛くなるぞ
「えっと、で、つまり俺は」
つまり俺は、何でここに居るんだ??愛月の話しを聞いていてもわからなかったぞ忘れてるだけかもしれないけど。
「え、えっと、つまりわたしはこの道具を使って悠月をこの世界に呼び出したの、他人ならともかく自分のもう一人ならわたしの話し相手になってくれるって思って、でも、ごめんなさい、勝手な事しちゃいました」
愛月は目に涙を為頭を下げた、とても綺麗な謝罪の形だった、聞いている側からしたら理不尽にも程がある話しだが、まぁ
「可愛いし、許す」
実に自分は気持ち悪い、この言葉を放った後に思った、寒気がした、だってある意味自分に向かって可愛いって言ってるんだぞ?しかもこれって上から目線で言ってるんだよな?キモすぎるわ
「っ、え、え?」
俺は自分が気持ち悪いと思っていた一方で愛月は何故か結構照れていた、明らかに動揺を隠せていないのか目が泳いでいる。おいおい、仮にも俺が本当にお前のもう一人だとしたら、自分に可愛いって言われてんだぞ?引けよ
「なんでもない、それよりそのクリスタル、本当に使ってよかったのか?この世界に一つしかないのに」
おい、俺、本人が使ったんだから俺が何かいう指図はねぇだろ、しかもこのクリスタルは愛月の持ち物だったんだからな
「っ、え、あ、え~っとぉ」
何故か俺が聞いた直後愛月は顔を青くし顔から汗をダラダラと出している。何故か不吉な予感がするんだけど
「な、なんだよ、そんな顔、青くして」
こんな事思うのもなんだが、もし愛月が本当にもう一人の俺だとしたら、うん、自分可愛いな、ぜひ付き合いたい、じゃなくて友達になりたいな。
「え、え~っとぉ、そ、その、今思い出したんだけど、さ」
「だからなんだよ、早く言ってくれ」
気になるじゃねぇか、早く言ってくれ、ちなみに損害事をいらないからな、俺はこの世界に来てる事自体が損害だから、もう一人の俺?わたし?に会えたことは喜ぶが
「っ、こ、このクリスタル、世界に一つだけってのもあって、かなり大切な物だったんだ、だから大切に誰にも盗まれないように保管されてたものなんだけど」
うん、ちょっと待ってくれ、今最後の方にすっげえ不吉極まりない言葉が聞こえたんだけど
「ん?悪い俺耳悪いからさ、もう一回最後だけ言ってくれ」
「う、うん保管されてたものなんだ」
もしかして愛月って俺に恨みでもあるのか?うん、そりゃそうだ、あんだけ気持ち悪い言葉を言ってたら嫌われるに決まってる、って勝手に妄想して勝手に自己解決してる自分気持ち悪い
「え、えっと、なんだつまり何が言いたいんだ?」
「え、えっとね、つまりね、このクリスタルは」
などと、話しをしている時だった、俺の頬を何かが横切った。そしてその横切った物はナイフだった。
「っ、は、は??」
俺は困難した、いきなり背後からナイフが飛んできたのだ、しかもそのナイフは俺の頬をギリギリ横切ったのだ。
「っ!!ゆ、悠月!?」
「っ、おぃおぃ、なんだよ、これ」
頬からは何故か生暖かいようなぬるぬるした液体が自分の手に垂れてきた、それは、血だった。
「そのクリスタルは何でも願いを一つ叶えると同時に、代償として使った者の命を貰うんだけどね」
俺の背後からはやけに幼い子供の声が聞こえた、そして俺は頬を抑えながら背後を見た、そこには
「やぁ、クリスタルを使った代償として命を貰いに来たよ、お姉ちゃん」
年は12から15くらいまでの女が居た、金髪の髪に白い服、白いスカート、白い肌、整った目に鼻に唇、まさに見た目は完璧、だが、その女の手にはありえない物が握られていた。
「っ、ご、ごめん、なさい悠月」
「っこんな事、ありえんのかよ」
あんな細い腕であんな物、持てんのかよ!?おいおいふざけんじゃねえよ!!
「ふふっ、震えないでよお姉さん、痛いのは一瞬なんだからさ」
女は口元を吊り上げ笑った、そして手は自分の持っている刀へ手を置き引き抜いた。




