3話 どうやら愛月は俺らしい
・・・あまり聞きたくないような、気にしたくないような感じがするが、一応聞いてみるか、最悪この国?で生きていかないといけない気がするし
「・・・なぁ、一つ聞いていいか?」
「!ん?な、なに?」
先程の事で反省でもしていたのか驚いたように振り向き笑顔で聞いてきた、その笑顔は少し無理やりな感じがしたが多分気のせいだと思う。
「あ、いや大した事じゃないんだけど、乙坂愛月って、何で漢字なんだ?国や街の名前は英語なのに」
俺はその事に胸につっかえていたから一刻も早く解決したかった、理由は外国で漢字が使われているのがおかしかったからだ、もしかしたら愛月が日本から外国、ここへ引っ越してきた可能性もあるが
「?かんじ??え、えっとよくわからないかな、そのえいごってのもよくわからないかな」
「・・・え?」
どうなってんだ??さっきの日本ってなに?ってのもおかしいし、漢字も英語もわからないって・・・え?どうなってるの??
「っちょ、ちょっと待ってくれ、さっきから日本も漢字も英語も知らないって・・・」
「ご、ごめん、本当によくわからないよ、にほん?ってなに、かな??」
本当にわかっていないのか苦笑いしながら言ってきた、その表情は嘘偽りが本当になさそうな顔だった、にしても日本だけじゃなく、漢字も英語も知らないって・・・
「に、日本ってのはこの国のえっと、ナジュレリア?って国名と同じで日本って国があるはずなんだが・・・」
「う、う~んわからないかなぁ、本当にごめんね、わからないや」
・・・え、じゃあまさかこの世界って・・・いや、ちょっと待ていくらなんでもそれはないはず、だ
「じゃ、じゃあさ、アメリカって国知らないか?有名なんだが」
「う、う~んそれもわからないかなあ」
額に手を当て考えるようにしているがわからないらしい、どうやら本当にわかっていない表情だ。
「そ、そっか、ごめん無理やりで」
「う、ううん私は大丈夫、だけど、悠月は大丈夫・・・?」
「あ、あぁ大丈夫、だ・・・」
・・・まじかよ、つまりこの世界って俺の住んでた世界と全然違うって事じゃねぇかよ・・・なんなんだよ・・・
「え、えっとぉ・・・!!」
「・・・ん、どうした?」
話しかけられ彼女を見ると酷く驚いた顔をしていた、目は大きく開かれ口は少し大きく開かれ唖然としているようなそんな顔をしている。
「!!あっ、いやっ・・・そ、その指輪のやつ・・・」
「ん?あぁ、これかなんとなくおしゃれ?としてつけてるんだよな」
別に友達も誰もいないから何も言われないからつけてたって意味も何もないんだよなぁ、ただアニメ見てて指輪つけてるキャラが居たからそのキャラのマネしただけだし
「そ、そうなんだ」
「あぁ、!!え、お前、それ・・・」
「!え、あ、うん」
俺は偶然にも愛月の手を見てしまった、別にみる気はなかったんだがついな、そしてその右手にはなんと指輪がついていた、勿論俺はショックだ、まさか俺と同い年ぐらいのやつが結婚してたなんて、いや別に嫉妬してるわけじゃないよ?でも嫌じゃない?せっかく友達になれるような女の子が現れたのに見せびらかされるとか
「え、あ~えっと、愛月は結婚、でもしてんのか?」
「っ!!ち、違うよ!!」
「っ、そ、そうなのか?」
顔を真っ赤にして慌てて大声で言ってきた彼女に俺は結構驚いた、いや、だってさっきまでおとなしそうな癒しのような女の子がいきなり怒ったような顔で大声で全否定されたら嫌でしょ?、って言っても俺は結婚してないってわかって嬉しいんだが
「!え、えっと、うん・・・」
「え、じゃあ何でお前その指輪・・・」
結婚も何もしてないのに指輪つけてるってどういう事だよ、結婚願望でもあるのか?俺にはそうにしか見えないんだが
「っえ、えっとこれは、その・・・悠月と同じ理由なんだけど・・・」
「・・・え」
まさか、俺と同じ理由でつけてるヤツが居たのか、しかも俺と同じ右手に・・・え、というか名前といい指輪といい、被りすぎじゃね??・・・まさかこれが、運命・・・?いや、それは絶対ない、こんな事現実にもありえるだろ
「あ、あはは・・・悠月と私ってに、似てるね」
少し照れながら頭に手をのせ髪の毛をグシャグシャと掻きながら苦笑いして言ってきた、何で照れるの?似てるぐらいで照れてるって純情なんだな愛月って
「あ、あぁそうだな、名前といい、指輪といい、すっげぇ似てんな」
「!っ、う、うん、そ、そう、だね・・・」
俺がそう言った瞬間何故か愛月は、やってしまった、みたいな顔をしていた、目も泳ぎ苦笑いもなし、・・・これは何か隠してるな、よし探りを入れてみるか、別に特にないだろうし
「・・・愛月、お前何でそんな慌ててるんだ?」
「っ!!えっ!?あっ、いや・・・その・・・」
・・・絶対何か隠してる顔だろ、これ。どんだけ慌ててるんだよ、なに、俺と似ててそんなに嫌だった・・・?いや、いくら俺が気持ち悪かったとしてもそれは・・・いや、結構ありえるかも
「あ~、えっと悪い、気持ち悪いな、変な言い方した」
「!う、ううん・・・だいじょう、ぶ・・・」
気持ち悪いと思って誤った結果、何故か愛月は申し訳なさそうな顔をしている、少し期待しちゃいそうになるからやめてほしいんだが・・・
「・・・なんかあったのか?」
「!っえ、え~っと・・・う~ん・・・」
俺は少し気遣ってやろうと思いそう話しかけると今度は悩み始めた、どうやら愛月は感情全てが表情に出やすいらしい、いや、別に悪い事じゃないよ?逆に素晴らしいよ、わかりやすいし、可愛いし、・・・この考えが気持ち悪いんだろ・・・
「む、無理しなくていいぞ、俺はお前にたった数分前に会ったばかりだ、そんなヤツに悩みなんか言う必要はないぞ・・・」
昔から悩んでいる人が居たら解決してあげたいと思っている俺はいつも調子に乗って相手に引かれるからな、ちゃんと言ってあげないと俺が傷つく
「っう、うん・・・えっと、じゃ、じゃあ抱え込んでおくのも嫌だから、言うね?」
「!あ、あぁ」
表情に出やすい愛月は悩んでいた表情から今度は真面目な、真剣な表情へと変わり俺を見てきた、・・・うん、この真剣な顔もまた可愛いな・・・、失礼だけど・・・
「・・・っ、え、えっと、ね、隠してた事があるんだ」
「・・・え、なにが?」
愛月からは予想外の言葉が返ってきた、俺はてっきり俺の外見について何かあったんじゃないのか?と思っていたんだが、違うらしい
「っ、わ、わたし、ね、本当は・・・」
「・・・本当は?」
俯く愛月にこれは尋常じゃないと思い、一息つき、ちゃんと聞き取れるように聞いた、そして愛月から返ってきた言葉は・・・
「っ・・・わ、わたしね、っ、私はね、悠月、なんだ」
「・・・・・・は?」
思考が止まった、愛月からの言葉はこの世界?に来てからの一番の驚きの言葉だった、本当に意味がわからなかった。