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11話 やったらやり返されるって知らないの?

自分で思っていてなんだか、実にクソ野郎だと思う、自分の、自分の恋人の刀で傷つけられる、どれだけの屈辱だと思う?さぁ、そんなのは俺は知らない、傷つけた所でこいつらを見てると傷つかなさそうに見えるし、殺せるわけでもないから傷もつかないだろう、あどっちにしても傷つかないのか


「っうあぁぁぁぁぁ!!」


いや、違うそんな無駄な事を考えるな、とりあえず今、目の前にいるこいつを殺す勢いでつっこめ、そうしないと逆に殺されるぞ俺!殺人鬼なんかに容赦はいらない!悪に手を染めた者には死を!


「っ喰らえぇぇぇ!!」


俺は腹から体全体に走る激痛を無視し、男、弦歌の元へ片足に力を入れ懐へ潜りこみ、思いっきり刀を振り下ろした。


「そんな鈍い動き、しかも単純な動きに僕がやられるとでも?」


そんな事はわかっている、でも俺は平和に暮らしていた怠け者だ、戦いなんて、戦争なんて何もしらない、経験ゼロな子供だ、ガキだ、自分と同じ人に向かって刀を振り下ろしてるだけでも精一杯なんだ、本当は自分の手を血で染めたくないんだ、でも違うんだ、今自分が、愛月が殺されそうになってるんだ、こんな状況、無茶だとわかってても、抗うしかないんだ、単純な動きでも、やばい、自分でも何考えてるかわかんなくなってきた


「っ!?ぅぁぁぁぁぁ!!」


俺が振った、刀は見事避けられ、ナイフ、ククリナイフの様なナイフは俺の腕、二の腕に刺さった、これもとてつもない痛みだ、死んだ方がましなんじゃないのかな?と思うぐらい


「おぉ、ただ避けただけでまさかナイフが君の腕に刺さるなんて、君運悪いね、びっくりだよ本当」


激痛のあまり男の皮肉にまみれた言葉を聞き取れなかった、先程まで保たれていた精神は段々と激痛に負け崩れて逝く感じがする。


「ぁ・・・ぁ・・・」


・・・こんなに、も、差がある、のか・・・?なんだよ、これ・・・全然、歯が立たないじゃねぇか・・・くっそぉ・・・


「流石弦歌だね~、何もしてなくても倒しちゃう!憧れるよ~」


「おいおい、篤姫、それは彼に失礼だろう?僕は本当に何もしていないんだよ、彼が自爆しただけなんだからさ」


これもまた皮肉たっぷりの言葉、どれだけバカにしたら住むんだと、こいつらは最低最悪な気持ちが悪い虫唾が走るカップルだと認識した、やっぱりクソ野郎はどこまでもクソ野郎で、クソ野郎にはクソ野郎が集まるのだと改めて認識した、そして俺はこんなクソカップルに負けている、どんだけ屈辱なんだよ、悔しすぎる、こんなんで負けるのか・・・?


「!・・・」


・・・そうだ、こんなクソカップルなんだ、どんな酷い卑劣な行為をしたっていいんだ・・・!悪には悪なりの罪を降ろしたって、何をしたっていいんだ・・・!愛月を傷つけたこいつらには・・・!!


「っ・・・へへへ」


「!ん、君まだ生きてたんだ、凄いねぇ、本当に人間かい?」


「あぁ・・・人間、いや、違うかもな・・・」


俺が今からする行為は実にクソ野郎、こいつと同等な行為をする事になる、でも仕方がないんだ、こうでもしないと生きられないんだから、友達を、いや、俺を・・・?いや違う、愛月を助けるために・・・


「?ん?何を言ってるんだ?」


「っへへっ・・・まぁ、見てろよ・・・」


俺はこれからやる行為に覚悟を決めながら崩れた腰を起き上がらせ、最後の力を振り絞りこいつの彼女、篤姫という女の横に走った


「えっ・・・?」


「・・・おい、それはどういう事だ」


「ははっ、だから言ったじゃねぇか・・・人間かどうか疑うってよぉ・・・」


俺は自分がやっている今のこの行為をなるべく正当化させようとクズ野郎の演技をしている、自分とは違うまた違う自分になりきって、そうすれば自分は汚れないから、そして俺は女の持っていた刀を女、篤姫の首元につけている、十キロはあるはずなのに何故か重たくない、そんな感じする


「・・・貴様、男の僕に勝てないと思ったら女の、僕の彼女に手をかけるか・・・卑劣な野郎め・・・」


こいつにも一応人の心があったのか俺を睨んできている、少し安心したような気が下、こいつにも一応彼女を大切にするという気持ちがあったのかと


「っ、あぁ、そうだ卑劣だ、でもだからどうしたってんだ・・・こっちは俺の大切な人が、友達、が刺されたんだ・・・しかもそいつは女な、お前も人の事言えないんだよ・・・」


「っ・・・」


「げ、弦歌・・・っ」


先程までこの男とバカにしていた女、篤姫は震えている、どうやらこいつにも人の心があったらしい、これもまた俺を安心させる、何故安心させるのかはわからない


「へへっ、あんたには悪いが愛月が味わった分の痛みを味わってもらうよ、そこの汚い薄汚い彼氏さんのせいでね・・・」


俺はできるだけ相手に恐怖を与えようと篤姫の耳元へ口を持っていきそう話した、その直後震えていた体がより震えた、失神でもするんじゃないかというぐらい、にしても不思議だ先程は愛月と戦えっていた時は震えてすらもなかったはずなのに何故か今は物凄く震えている


「った、助けて!!弦歌!!弦歌!!」


人としての命の危機が反応したのか甲高い声をあげ男に助けを求めている、先程愛月と戦えっていた時の余裕ぶった顔は今はもうない、涙を浮かべ鼻水を出しと汚い顔になりながら叫んでいる、今目の前に居るのは殺人鬼なんかじゃなく、ただ少女が震えているようにしか見えなかった


「っ・・・」


弦歌は篤姫の声を聞きながらも視線を外し俯いてる、こいつはもしかしたら本当は相当弱いのではないか?そう思った、余裕ぶっているだけで本当は物凄く弱い、卑劣な野郎と


「っ、おいおい、彼女さんに助けを求められてるのに無視すんのかよ?おい?」


調子に乗った俺は男を煽る様に言った、今は優越感に浸っている状態だ、こんなにも気持ちがいいのかと、そしてそれと同時に何故か期待もしている、人の心があるこいつには是非ともこのクソ女を助けてほしいと、何故かそう思っていた、敵なのに


「っ・・・黙れ、クソ野郎っ・・・」


この男は助ければいいだけの事をやらない、何故かはわからない、でもこの男を見ていると大体がわかってくる、こいつは自分のプライドを捨ててまでこの女を助けてやれるほどできていないんだと、そうわかったような気がした


「流石平気で人を殺すことができる人間だ、自分の大切な人すらも助ける事ができない逃げ腰野郎で腰巾着野郎って、そう思わねぇか?なぁ?篤姫?」


「っ・・・」


俺は震えている女、篤姫に大声で言った、大声で言った理由、それは男に聞かせる為であった、自分の大切な彼女を他の男に名前で呼ばれる事によって嫉妬、独自欲によってこっちへ向かせようと


「っ!!き、貴様ぁ・・・!!僕の女を名前で呼ぶなぁぁ!!」


「っぷ、僕の女だってよ、篤姫?どう思うよ、お前の事一回見捨てた男だぞ?気持ち悪くないか?なぁ、そう思わないか?」


俺は篤姫の耳元へ口を持っていき声を小さくし、篤姫だけに聞こえるように言った、こうすることによって精神がズタズタにやられている男なら気になってこっちへやってくると、そう思い


「っ・・・それ、は・・・」


「っ!!何篤姫に吹き込んでるんだ!!!」


等々キレた男はこっちククリナイフを振り回しながら走って来た、精神がやられて怒っているのか振り方はド素人その者だった


「おいおい、そんな振り回したら彼女さんに当たるぞ?」


「うるせぇぇ!!どうでもいいんだよ!!篤姫から離れろぉぉ!!」


他者から見ると今のこの状況は俺が敵であいつが主人公、だと思うだろう。自分でもそう思う、実にクソ野郎の演技をしたなと


「えっ・・・」


「えぇ・・・それ、この女を殺す事になるんだぞ?」


正気を保っていた俺は流石にそれはまずいとそう思った、仮にこいつのせいだとしてもここまで追い込んだのは俺の責任、つまりここでこの女に死なれると俺が殺したようなもんになってしまう、それだけはまずいと


「っこ、この野郎・・・!!」


正気を失っていた男は正気を取り戻したのか止まった、ギリギリセーフだ


「っ、弦歌・・・」


「おっ、止まったな、よしおいこの女の助けてほしかったらお前、大人しくこっちへ来い、解放するからよ」


余裕を持っていた俺だったが出血の量がまずいと思い、話しを早めた、愛月の怪我のためにも一刻も早くしないとと思い


「っ!・・・っ本当に篤姫を開放するんだろうな・・・?」


「あぁ、開放するさ、だから、ほら?」


女の首に当てていた刀を降ろし、そう言った、すると男は信じたのかこちらへ近づいてくる、この時俺は愛月を傷つけた恨みがまだ残っていた、だから俺は


「っ!!ぐはぁっ!?」


「っ!!げ、弦歌!!?」


篤姫を助けようと、縛ってあったロープを外そうとしていた所を俺は思いっきり刀で斬った、手には今まで味わった事がない感覚が全身に回ってくる、人を斬る感触、実に気分が悪くなる感覚だ、肉を千切る感覚、一生忘れないであろう感覚だった


「なぁ、知ってるか?やられたらやり返されるって?昔から言われてる言葉なんだよ、これ」


この時の俺は今まで生きてきた中で一番冷たかったと思う、人を斬ったのに心の中は何故か冷静かつ、何かが晴れたかのような、そんな感じだった


「っ!!あ、悪魔め!!」


「・・・それはこっちの台詞だぞ、おい、よくも、よくも家族同然のもう一人の俺を、愛月を傷つけやがって・・・!!」


確かに今の俺は悪魔だ、でもな、お前らに悪魔なんて言われる筋合いはないんだよ、証拠はないが今まできっと何人も人を殺めてきたんだろう、罪のない人達も殺してきたんだ、これはその今までやってきた分の天罰なんだ、きっと、そして、こんな事を思っている自分、気持ち悪いなぁ













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