俺らはただの天才です。
「シュイちゃんは何してても可愛い&美人だねぇ~」
金髪童顔でハートの飾りがチャームポイントのヘアピンをしたセルフィが地図を見ている俺に言った。
と、いうよりも独り言のようにつぶやいた。
「うるせえ!シュイは今地図見てんだから邪魔すんなっ斬るぞ」
隣にいたグレーの髪をした派手な男、ラオがセルフィに怒鳴った。
しかしそんなことも気にせずセルフィはまたしても口をはさんだ。
「シュイちゃんは考え事してるときが一番好きだなぁ~」
「ホモきもっ」
そう言ってからラオはもう一度俺の方に向き直った。
「お前も何してんだよクローンっ!!」
おでこから鼻にかけて黒い仮面をつけており髪の毛は緑色をしていて長身のクローンはラオがセルフィの方を向いている隙に俺の首筋に鼻を擦りつけていた。
「お前もホモかっ!?」
ラオは怪訝そうな顔をして問いかけた。
するとクローンは形の良い唇を3の形に変えて屁理屈をとなえた。
「ホモちゃうよぉ~。ただの匂いフェチなだけ。シュイちゃんっていい匂いするんだもん。
離れられなくてねぇ~アハハ」
ラオは諦めるようにというよりも呆れたように溜め息を吐いた。
「おい。分かったぞ」
そこで俺はやっと地図を解読することに成功して、変人共に声をかけた。
「さっすがシュイちゃん♡」
変人共はぞろぞろと近づいて来た。
地図の片隅に今いるところが星マークで示されており、これから行くところは
星マークで示されているところから一番遠いところに示されている
ひし形マークのところだ。
俺は頭の中で整理してから口を開いた。
「俺たちはこれからこの現在地である星マークからひし形マークのところへ行く。
いや、行くというよりも逃げると行ったほうがいいのかもしれない。
しかしこのゲームはあくまで人を殺し進めていくゲームだ。
逃げるだけでは話にならない。だから・・・」
そこで一応間を溜めてみる。
するとなんとノリがいい変人共は「だから?」と興味津々に聞いてきた。
「だから・・・逃げ殺す。」
さぁぁぁっとあたりに軽く風が吹いた。
俺の長い漆黒の髪は風になびく。
「逃げ殺すって・・・どう言う事だよ」
ラオが一番先に口を開いた。
「まぁ聞け。」
俺はそう言って話の説明を続けた。
「俺たちはこれから2人ずつに別れて行動をとる。
お前たちであれば二人いれば十分かてるだろうから効率よくいくことにした。
二手に別れることでひと組でまとまって戦うよりも得だろう。
俺とクローン。そしてセルフィとラオだ。」
そう言った途端にセルフィとラオが口々に文句を言い出した。
「ボク、シュイちゃんとがいい!!こんな奴と一緒なんかいやだよ!!!」
「なんで俺がこんな変態と組まなきゃなんねぇーんだよっ」
仕方がない・・・。
そう頭で考えた俺は一肌脱いだ。
もちろん自分のために。
俺はスーツ姿に変身?してどこからもちだしたのか学校の職員室によくある
回転椅子に座り口を開いた。
「ラオ君ちょっと来なさぁ~い。」
そう言うとラオは学ランをきっちりと身にまとい黒縁メガネをかけて俺の前に立った。
「なんですか先生」
『ノリいいなぁ・・・』
「ちょっと前に立ちなさい」
ラオは言われた通り俺の前に立った。
「ここからひし形のところに行くまで1日は余裕でかかる。
そんな長時間お前にクローンの相手ができるのか?」
言うとラオは即答で「すいません。むりです」と言った。
「即答か・・・まぁ分かっていたが」
「はい。むりです」
「そうか・・・ではチャイムも鳴るだろうから教室に帰りなさい。」
「はい。失礼します。」
ラオはそう言って舞台から退場した。
そして入れ替わるようにセルフィが顔を出した。もちろん学ランだ。
「シュイ先生・・・」
「セルフィ君・・・」
セルフィは曇った顔をしていた。
「先生・・・ボク、ラオ君と修学旅行の班一緒なのいやです。怖いですもん」
今にも大きな瞳から涙をこぼしそうだ。
「ジャンケンで決めたんだから仕方ないだろう・・・」
俺はそばに備えつけられていたタバコの先に火をつけながらそう言った。
するとセルフィは下を向いて小さな声でこういった。
「じゃあボクのお願い聞いてくれる?」
俺はやはりかと思い頷いて口を開いた。
「お前のお願いはだいたい分かる。やってやんよ」
そう言って席を立ちそばにあったダンボールをあさりだした。
セルフィは顔をバッとあげた。
「本当に?!今すぐ?」
「もちのろんだ。」
セルフィに背中を向けて箱をあさり続ける。
「お、あったあった」
俺はそう言って頭に猫耳らしきものをかぶった。
そして・・・
「おかえりなさい。ご主人様♥」
ウィンクしてみせる。
セルフィは漫画でよくみられる
両方の鼻の穴から鼻血を吹き出した。
次には手の指をうごうごさせ、目をハートにして
「シュイちゃん・・・・♥」
今にも飛びついてきそうな犬のようだ。
「発情するな。そして私は先生だ。」
なんとなく危険を感じさっとセルフィから体を遠ざける。
丁度良いところでクローンが監督帽子を被って大きな声で言った。
「OKでぇ~す。カットぉ~」
クローンの横で出番が終わったラオが機材であるカメラを片目で覗いている。
俺はここぞとばかりにその場をまとめた。
「はい。では、これにて一時解散!道に迷うなよ。ひし形マーク地点でまた会おう。」
そう言ってクローンと歩き出した。
少しして、セルフィ&ラオペアも進み始めたのであった。
「はぁぁ・・・」
セルフィは、肩いっぱいに溜め息をこぼした。
「あ~ぁ・・・シュイちゃん大丈夫かなぁ・・・あんな変な仮面やろうなんかといて
大丈夫なんだろうか・・・あ、ボクも変な奴と一緒にいるんだった・・・だって・・・」
セルフィはこっそりと前の方を歩いているラオのほうを見た。
「シュイちゃん達と別れて10分でもう迷子だもぉ~ん!!」
ラオは愚痴られていることに気づきもせずに必死に地図とにらめっこしている。
「おい!セルフィお前も・・・!?」
ラオがさすがにキレてバッとセルフィのほうに振り返った。
するとそこには見知らぬ男に拘束され、喉元に刃物を突きつけられたセルフィがいた。
「うわぁぁ~んっ!助けてよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
セルフィは喚いている。
「おん前何勝手に捕まってるんだよ!」
ラオがそう言うとセルフィを拘束していた男が
「喋んじゃねぇ!」
と言ってセルフィの首元に突きつけていた刃物を持つ手に力をさらに加えた。
セルフィはなぜか殺されそうなのに
「あ~ぁシュイちゃん大丈夫かなぁ~?こう言う輩がいるから心配なんだよねぇ~・・・」
いきなり敵にも聞こえるくらいの声の大きさで言った。
敵の男は、は?と言う顔をしている。
「シュイちゃんに会いたいよ~」
「黙れっ!殺されてえか?まぁどっちみち殺すけどな。少しでも寿命を長くしたけりゃ黙ってろ」
ラオはセルフィの表情が変わるのを見逃さなかった。
少しして遠い向こうの空から雷グモが近づいていることにラオと敵は気づいた。
「なんだ?いきなり天気が悪くなってきたぞ・・・」
セルフィは何かを囁きだした。
「シュイちゃんに届くかな・・・・この想い《かみなり》。」
そう呟いた瞬間にセルフィと敵の真後ろに大きな雷が落ちた。
ドドーーーーンッ!!
「なんだっ!?」
敵は驚いて後ろをみた。
その隙を使ってセルフィは敵を投げ倒した。
セルフィは何気なく人差し指を立てた。
よく見るとその指先にはパチパチと静電気が流れているように黄色く光っている。
その指先を敵の目に突き出して不気味な笑顔で口を開いた。
「この指がさぁ~・・・お目目に当たったらさぁ~・・・・・痛いのかなぁ~?ははははははは」
「お前キャラ変わってんぞっ!!てかお前何もんだよっ!?」
ラオは焦って忠告したがその瞬間周りから3人の男たちが現れた。
「なんだ・・・お前らあいつの仲間か?」
ラオは一瞬焦って尋ねた。
「だったらなんだよ。怖くなったのか?」
ラオとセルフィは戦闘態勢に入った。
その頃のシュイ&クローンペアはというと・・・
「スイカ」
「カラス」
「スイカ」
「カラス」
・・・・・・しりとりをしていた。
残念ながらセルフィさんの想いは全く持って届いていないようです。
「しりとり楽しいねぇ~」
「あぁ・・・。」
二人は廃墟に囲まれた道をひたすらしりとりをしながら歩いていた。
そこに敵が現れた。
「おっ一人は変人でもう一人は美人かぁ~殺しがいがありそうだなぁ~」
「スイカ」
「カラス」
「スイカ」
「カラス」
シュイとクローンは前に出てきた敵を全く気にせずしりとりをしながら
突き進んでいた。
「おいてめぇら聞いてんのかっ!!」
リーダーらしき男が怒鳴り声を上げた。
「クローンくん。教えてあげなさい。」
シュイは大きな声が不愉快だと言わんばかりの顔をしてクローンに命令した。
「了解ぃ~」
クローンは張り切って男の前に言って男の頭に手を乗せた。
「道の真ん中にいると通行の邪魔だよ。」
笑顔で言った後、頭に乗せていた手をどけた。
「な、なにした・・・・っ!?うわっ・・・痛いっ」
男は苦しみながらその場に倒れ込んで最後には死んでしまった。
仲間たちが口々に怒鳴っている。
「何したんだよっ!?」
そんな質問にクローンは口の端を上げて答えた。
「頭蓋骨&脳みそにヒビをいれてあげたんだよ。やって欲しい人いる?
死んじゃうけどね」
残された仲間たちは焦ってシュイのほうを見た。
「こっちの弱っちいのを狙えっ!!」
男たちは一斉にシュイのほうに飛びかかってきた。
「面倒くさい。まぁたまには運動も悪くないな。」
そう言ってシュイは目を閉じた。
「氷」
シュイがそう言うと足元に氷という文字が現れて周りから青白く眩しい光が出た。
腕を広げて手のひらを敵に向けた。
その手のひらからは大きな氷の塊が何粒も出てき、敵の腹や胸、頭などにあたっていく。
「シュイちゃんなかなかやるじゃん。」
クローンがシュイの技を見ても驚くどころか褒めている。
「お前も殺されたいか」
シュイはクローンに手のひらを向けながらそういった。
数秒後には敵は全滅していた。
「行くぞ。」
シュイはそう言ってさきさきと歩いていく。
「スイカ」
「カラス」
「スイカ」
「カラス」
しりとりは続くのであった。
「3対1ってどういうことだよ全く」
セルフィにはかなわないとわかった残りの敵の3人はラオを取り囲んだ。
「まぁいいや。お前らこの俺様に喧嘩売ったことを後悔すんなよ。」
「ふざけるなっ!後悔するのはお前だっ」
敵がそんなことを言っている間にラオは目を閉じて口を開いた。
「炎の獣よ俺のために姿を表せ」
そう言うとラオの周りに火が取り巻き始めた。
少しして現れたのは大きな獣だった。
「さぁっ!やっておしまいっ」
ラオは敵に指を指してそう勢いよく言った。
「キモ~・・・」
隣にいたセルフィが心底気持ち悪そうに言った。
「うるせぇ黙れっ。とにかく出陣だっ!行けっ」
そう叫んだにも関わらずなぜか獣は動かない。
後ろを振り返ってみると獣は大あくびをしていた。
「行けよっ!俺今超恥ずかしいじゃんかっ!!やるきねぇなら最初から出てくんなよ」
ラオは顔を真っ赤にして怒った。
獣ははぁ~とため息を一つ吐いて動き出した。
「こらっ面倒くさそうな顔をするんじゃないっ!!」
獣は次には目つきを変えて敵側に食いついて行った。
5秒程度で全滅。
「あんたボクのこと何者とか言っておいてお前も何もんだよって感じ。」
セルフィは歩きながらそう言った。
「俺は天才なんだ。お前こそ誰だよ。」
「ボクも天才なんですけど。」
ラオはセルフィの頭を軽く叩いて一緒に歩き出した。
続く
こんにちわんこそば。
久しぶりの投稿ということですみません。
とても遅くなってすみませんでした。
最近は漫画を描いたりするのにハマっていてなかなか
小説に手を出すことができませんでした。
漫画といってもクソみたいなもんですけどね(^_^;)
誰か私の小説のキャラを描いてくれないかなぁ~なんて
思ってます。
気が向いたら描いてやってください(´∀`)
そして私に見せてやってはくださいませんか?
ご意見なども受け付けていますのでよろしくお願いします。