茶屋?
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アルキラの雪と再会 (Arkhilla no Yuki to Saikai)
ある日曜日の晩のことだった。アルキラは冷たい空気に包まれていた。空からは雪が舞うように降り注ぎ、地上で喜ぶ子供たちの幸福をさらに深めていた。夜の寒さにもかかわらず、子供たちは歓声を上げながら雪と戯れている。その楽しさを邪魔できるものは何一つないように見えた。
アルキラに雪が降るのは珍しいことだった。数年に一度、あるいはそれ以上の間隔が開くこともある。五十年間一度も降らなかったことさえあった。そのため、民衆の間では雪は「豊穣の兆し」として知られていた。この地の人々によれば、彼らが神の、あるいは神のごとき者の慈悲を授かった証なのだという。
そんな雪の中、長い白髪が目を引く一人の青年が、祝祭のような賑わいを見せる大通りを歩いていた。足取りは静かで、それでいて確固たるものだった。まるで初めてここに来たのではないかのような。だが、彼は世界中を旅してきたものの、この街を訪れるのは初めてだった。人々の視線がそれを物語っている。まるで見慣れぬ肌と髪を持つ彼が、この雪を連れてきたのではないかと驚きで見つめていた。彼はそんな視線を気に留めなかった。どこへ行こうと、その特異な容姿が注目を浴びるのには慣れきっていたのだ。
「あの男は誰だ?」
「さあ、初めて見る顔だ。聖職者か何かか? あの髪を見てみろよ。」
いいえ、彼は聖人などではない。
青年の足は、煌びやかな装飾が施された茶屋の前で止まった。看板には「暁鐘茶屋」と記されている。彼は迷わず中へ入った。外に比べて室内は格段に暖かく、彼は毛皮のフードを脱いで一息ついた。茶屋の中を見渡すと、そこには男性よりも圧倒的に多くの女性従業員が働いていた。客寄せの手法だろうか。
空いている席へ向かおうとした時、腕に誰かの手が触れるのを感じた。彼は瞬時に振り向き、手は剣の柄にかかっていた。脅すような鋭い視線を向けると、そこには露出の多い服を纏い、怯えた表情を浮かべた一人の女性が立っていた。
「あ、あの…お手伝いしましょうか! 決して変な意味ではなく、ただご案内をしようと…。」
女性の怯えを見て、彼は剣から手を放し、穏やかな気配に戻った。女性は安堵の溜息をつき、彼を空いた席へと案内した。
「何になさいますか、旦那様。すぐにお持ちします。」
「茶を。」
青年は短くそう答えた。女性はそれ以上何も聞かず、足早に去っていった。その時、少し先の舞台で一人の踊り子が舞っているのが目に入った。……いや、男だ。しなやかで流れるような動き、身に着けた装飾品がシャラシャラと音を立てる。胸元は露わになり、筋肉質でありながらもどこか女性的な美しさを備えていた。漆黒の髪に、瞳は……赤か? いや、ピンク色だ。
茶屋にいる老若男女、誰もが彼に釘付けだった。男性たちの顔に浮かぶ卑猥な欲望と、女性たちの純粋な関心の眼差し。青年は運ばれてきた茶を啜りながら、思考に沈むように踊り子を見つめていた。
やがて、踊り子の目が彼を捉えた。踊り子はその特異な美貌に驚いたようだったが、すぐに妖艶な笑みを浮かべて演舞を終えた。彼は他の客の間をすり抜け、青年の席へと近づいてきた。
「いらっしゃいませ。初めて見るお顔ですね。お茶のお代わりはいかがですか?」
青年は仕方なく視線を上げた。踊り子のピンク色の瞳と、青年のエメラルド色の瞳がぶつかり合う。その瞬間、踊り子は息を呑んだ。
「あなたは……」
踊り子は彼の雪のような白髪を凝視した。しかしすぐに気を取り直し、椅子を近づけて青年の胸元に手を添えた。
「……一夜を共にしませんか? もっと落ち着ける場所を知っています。上の部屋で、天国を見せてあげましょうか?」
誘いを断れるはずがないという自信に満ちた瞳。だが、青年は無表情のまま茶を飲み続けていた。
「断る。」
踊り子は呆然とした。「何だって? じゃあ、何しにここへ来たの?」
「茶を飲みに来た。それ以外に用はない。」
踊り子は引き下がらない。彼は青年の首筋をなぞり、顔を近づけた。「でも、あなたの目はそう言っていないわ。私を欲しがっているんでしょう?」
青年は溜息をついた。「私は女性が好きだ。」
「嘘おっしゃい! じゃあどうしてあんなに私を見ていたの? ただ意地を張っているだけでしょ。これも仕事なの、あなたのような素敵な人を放っておけないわ。」
青年は理解できなかった。なぜ自分なのか? 周りには彼を求める男たちが大勢いるというのに。
「断る。他の客のところへ行け。サービスは不要だ。」
踊り子はプライドを傷つけられた。「私が醜いとでもいうの!? そんなはずはないわ!」 彼はついに、青年の膝の上に飛び乗るように座り込んだ。
「お願い、お金を払ってもいい。どんな奇妙なファンタジーでも叶えてあげるから、私を見て……。」
青年は最後の一口を飲み干すと、茶碗を置いた。そして、膝の上の踊り子をまるで「邪魔な猫」でもどかすかのように掴み、そのままテーブルの上に置いた。彼は立ち上がり、懐から代金を取り出して置くと、出口へと歩き出した。
「待って! 行かないで! せめて名前だけでも教えて!」
青年は立ち止まったが、振り返ることはなかった。
「ラファエル。」
その名を聞いた瞬間、踊り子の時が止まった。
「ラファエル……その名前、忘れないわ。」
青年が去った後、茶屋の幼い給仕の少女が近づいてきた。「どうしたの、白夜さん?」
白夜はすぐに表情を繕い、少女の頭を撫でた。「何でもないわ。今の男のこと、店主や誰にも言わないでね、いい?」
少女が頷くのを見て、白夜は出口を見つめた。いつか、彼が再び戻ってくることを願いながら。
楽しんでいただけたなら幸いです。これは私が長年取り組んできた本です。ぜひご感想をお聞かせください。




