覚悟の提示
宵闇が私を惣領として認めてくれた。だからその思いに恥じないように、私も応じなくてはならない。宵闇が姿を消した後、改めて私は最初の式を呼ぶ。彼は呼ばれた事が分かっていたように、姿を表した。
「銀庭。やっぱり男物の服、買いに行くよ」
晴れやかな笑顔で、私は銀庭を見る。彼の目には慈愛がこもっていた。
悩みが全て解決した訳では無い。宵闇だって十割私を認めた訳じゃないと思う。それでも印を結んでくれると言った。だから、これはけじめだ。いつか自分で本当に“時節家当主”だと胸張れる程強くなったら、また女人の服を着よう。
「ほう」
「私は女で人間で、多分お前達からしたら弱っちい奴だと思う。だけど.......いやだから強くなりたい。お前達と肩が並ぶ程に。だからとりあえず、見た目から」
「男装する。というのは今までの自分とのケジメな訳だ」
それで良いのか? と目が雄弁に語っていた。でも避難でも呆れの目でもない。私の決定を心から祝福するが故のからかいの双眸。だからそれに応えて弾けるばかりの笑みで返答した。
「内面あって型を作るって方が理に適っている。でもそれだとまだ甘いんだ。目に見える形で示さないと」
まずはここから。全てはここから第一歩。
「あぁ。でも私が自分を自分で認めれる位強くなったら、また戻すよ」
束の間の格好を楽しめ、と言うように私は銀庭を指さした。それに返事をせず、彼は鷹揚に廊下を歩き始めた。どうやら本当に着いてきてくれるらしい。彼のセンスは認めているから、きっと似合の物を進めてくれるだろう。
「男装、辞めてやる」
「だが君は可愛らしい物を好む。将来の為に勧めることがあるかもしれない」
「相変わらずだね.......」
そして、白無垢の初恋に繋がります。(思い切り宣伝)
雅と共にいるため、同業者と共に走るため、色季は前に進みます。