過保護な本心
そんなで数週間が経過した。あれから主と会話を交わしたことは無い。呼ばれることも無い。何かきっかけを作ろうと、俺は契約した娘の部屋の縁側に腰掛ける。気配を全力で消しにかかっているので、恐らく此処に居ることはバレていない.......はずだ。
一人右往左往していると、不意に襖が開いた。出て来たのは華奢な体をしたうら若き娘、ではなく、がたいの良い無骨な式であった。彼は俺と話をするつもりのようで、近くに腰掛けた。
「主が女で不満か?」
世間話でもするように聞かれた。やはり自らが認めた主が他に侮辱されると言うのは我慢ならないのだろう。今まで仕えてきた、俺を含めた式共がそうであったように。
「不満ではない。ただ今まで服侍してきた主に女は居なかった。俺が触れて大丈夫だろうか」
「ほう」
彼に直接は言わないが、認めてない訳では無い。上に仕える者としての技量は十二分にありそうだった。下の気持ちを理解し、その上で指揮を執る。無くてはならないものだ。しかし、仕え続けてきた者に女人はおらず接し方が分からない。その上、対面時に何となく霊力に過敏な傾向があるように思えた。触れた瞬間に神気酔いでも起こしたら気が気じゃない。
考えれば考える程、自身の顔が青ざめて行くのが分かる。まず触れる前に力加減を意識しなくては。次になるべく霊力を抑えて.......。
指折りで不安を数える俺を尻目に彼は笑いを押し殺す。
「残念ながら私が認めた娘はそれ程ヤワではなくてね。図太いものだよ。だが、口で言って分かるものでも無いだろう。お前自身の目で確かめる事だ」
「.......」
元よりそのつもりだ。この部屋の前に出向いたのも、銀庭と話をしたのも、全て主への対応を鑑みての事だ。
大事にされたーーーい。(馬鹿でかボイス)
(読者様のお声:え、メンヘラ.......?)
と、冗談はさておき、全人類、自分をもっと大切にした方が良いと思うのです。
他の人から大切さを貰うのではなく、もっと自分で自分を愛してあげて下さい。
逃げ道も沢山作ってあげて下さい。無理は駄目です。絶対。
頑張った自分を沢山褒めてあげましょう!!