表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四季神  作者: 秋暁秋季
32/35

春暁

桜華に対して啖呵をきった数日後、彼はふわりと降臨した。薄暮と似たおかっぱ髪。しかし一点違うところが一つ。一本に束ねられた長髪。顔立ちは春の日差しのように柔らかかった。切れ長を通り越した糸目が、常に微笑んでいるように思える。

「こんにちは、貴方が私の惣領ですね。私は春暁(しゅんぎょう)。どうぞ宜しくお願いします」

「君の主となる時節(じせつ)色季(しき)だ。宜しく」

彼は恭しく跪くと、そっと契約の儀を結ぼうとしてきた。そんな彼を慌てて止める。

「いや待って。四神って主と認める基準があるんでしょ!? 良いのそんな簡単に!!」

「私を呼んだこと自体が契約に値しますので」

そう言って、ただでさえ細い目をより細めて微笑んだ。今まで呼んだどの式よりも柔らかく、穏やかだ。名前からしても春が入っているし。

イマイチ彼の基準が分からないが、認めてくれるならお言葉に甘えて儀を結ぼう。改めて左手を差し出すと、彼はそっと自分の両手を重ねた。

焔がぐらり、ぐらりと揺らめく。外の枝がそれに呼応して窓に体当たりをしてくる。何度やっても四神の儀は凄まじい霊圧。突然光の粒が桜の花弁となって、私と春暁を包み込んだ。

「有難う、春暁。後は宵闇だけだ」

実を言うと、まだ宵闇との契約は完了していない。でも少しだけ過保護が和らいだ。その証拠に以前は明昼がいる時には必ず姿を表したのに、今では時折顔を見せる程度に落ち着いた。

ゆっくりでいい。惣領になるのはまだゆっくりで。自分にそう言い聞かせて、私と春暁はその場を後にした。

この子が好きです、春暁。

柔らかくって、ふわふわしてて、しんどい事があったら静かに聞いてくれそうな。

膝ぐらいは貸してくれそう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ