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だからあたしは、嬢ちゃんの問に答える事にした。
「んー。他愛のない話しさ。あんたも飲む?」
「未成年なんで」
「そ、じゃあ茶かな?」
薄暮が置いていった急須を持ち上げて、にやっと笑う。自分たちだけで茶飲みをするタイプじゃない。勿論、薄暮も。だから戻ったついでに嬢ちゃんの湯呑みも持ってくるだろう。
そんなことを考えてあたら、不意に嬢ちゃんの頭に柔らかい布のような物を被せて来た。
「風邪引くよ」
「有難う。今日は来ないんだな」
毛布の他には湯呑み。三人で語らう気らしい。彼女は一言礼を行って、おむすびのように包まる。なかなか可愛い。薄暮も包まれば良いと思う。
薄暮は湯呑みを傾けた後、頭上に疑問符を浮かべている。
「宵闇。薄暮が居るから来んよ」
「そうなのか」
「相変わらず、優しいんだね。宵闇」
嬉しそうに薄暮は言った。人格を見て仕える薄暮らしい。だがあたしから言わせりゃ優しい通り越して、過保護の域だ。なんだい? あんた、子供が傷付くのが嫌で、永遠に室内に監禁する気かい? とでも言ってやりたくなる。
「過保護の間違えだろ。お嬢ちゃんはそんなにヤワじゃない」
「そうだね」
薄暮はきっと理解している。多少乱暴な扱いを受けただけじゃ、嬢ちゃんは折れないと。むしろ逆境程燃える達だと。あたしが今現在契約してないのも、あんたなら諦めないと思ったからだ。全く良い主人だ。
「ところで薄暮、お酒じゃなくて良いの?」
「そんな君だから、仕えたいと思ったんだよ」
酒を煽りながら、目を見開く。あぁ、やっぱ良い奴だよ。あんた。面と向かっては言わないが、なかなか人たらしなところがある。
「そっか。じゃあもっと頑張るよ。お前達から認められるように」
輝く笑顔でそう言った。その裏では霊気を巡らせ続け、幾度となく気をやりかけている。全身の血管が破裂するんじゃないかってぐらいの熱に耐えている。それを毎日だ。あたし達を呼ぶ為に。
「と言わけで、また明日も儀式するか!!」
「あぁ、頑張んな」
はよ認めろよ。宵闇。嬢ちゃんはテメェが思ってる程柔くないぞ。
子供扱い、しないんですよね。色季。
ちゃんと自分より年上だと認識して接してる。
比較的まともな女主人公。




